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ゲームにおける3要素 フォーマル、ドラマチック、ダイナミックとはなにか

いま上杉カレーさんがサイトにて紹介されていた中ヒットに導くゲームデザインを読んでいます。この本にはゲーム作りの基礎と実践が網羅的に書かれており「ぼくにもゲームが作れそう」と思わせる力があります。

この本の中には練習問題がたくさん出てくるのですが、その中にゲームを3要素に分解するというものがありました。フォーマル/ドラマチック/ダイナミックの3要素です。

既存のゲームを分解することで、各要素がどんな役割を持ち、要素と要素の組み合わせがどんな化学反応を生み出すのかを知識として蓄えていくことができます。

なるほど。この練習方法は実践したいなと思いました。さっそくはじめたいのですがその前に、この本の中で紹介されているゲームの3要素 フォーマル/ドラマチック/ダイナミック のそれぞれについて自分なりにまとめ直すことから始めます。

フォーマル要素

すべてのゲームが共有する要素であり、ゲームの本質を作り上げる要素。本文中では6つの要素が紹介されています。

プレイヤー、目的、手順、リソース、対立、境界、結末

これらのフォーマル要素がゲームには必ず存在します。スーパーマリオブラザーズを例に考えてみようと思います。

ここでいうプレイヤーはマリオを操作する自分自身です。プレイヤーについて考えるとき、そのゲームは何人で遊ぶものなのか、プレイヤーの役割は何なのか、他のプレイヤーとどのように関わるのかについて問いかけます。マリオの場合、プレイヤーは一人で、マリオの役を演じ、ゲームそのものと対決することになります。

目的はレベルをクリアすること。ストーリーの側面から見れば、クッパを倒しピーチ姫を助けることです。目的は困難であるが自分ならなんとか達成できそうだと思わせる内容であるとよいです。

手順はマリオをコントローラーを用いて操作すること。目的を達成するためにプレイヤーがとれる行動のことです。

リソースはマリオの残機、キノコやフラワーによるパワーアップなどがあたります。

対立はレベル中にある穴や壁、クリボーといった障害物のことです。この対立を手順とリソースを駆使し、乗り越え、目的を達成します。

境界はゲーム画面です。遊びとその他を区別するために用いられます。自分は今ゲームをプレイしているとプレイヤーにしっかりと認識させるものが望ましいです。それは物理的なものに限らず概念的な手続きかもしれません。

結末はレベルを達成するか、マリオが死ぬかです。そこには成否があり、プレイヤーは結末を完全には予測できません。確実に成功することがわかっていることには興味を失ってしまいます。逆もまた同じです。

これら6つの要素が動き出すとき、人はそれをゲームと認識します。

ドラマチック要素

プレイヤーを感情的にゲーム体験にひきつけ、物語性をあたえ、フォーマル要素を覆い、ゲームを意味ある体験にするものです。本文中では5つの要素が紹介されています。

チャレンジ、プレイ、前提、キャラクター、ストーリー

フォーマル要素である、目的と対立があってもチャレンジにはならないかもしれないというのが面白いです。チャレンジは個別的かつ動的なもので、ある人にとってのチャレンジはほかの人にとってはそうではないかもしれないし、ある人にとってチャレンジだったことも、スキルの向上によりチャレンジではなくなるかもしれません。

プレイは決められた手順の中でプレイヤーが自由に行える活動のことを指します。十字キーを右に倒せばマリオが右に進む。この決まり自体を変更することはできませんが、いつマリオをどのくらい右に進ませるのかはプレイヤーにゆだねられています。ゲームが何を手順とし、何をプレイ可能にするのかを調整することで、体験させたい内容をデザインできそうです。

前提、キャラクター、ストーリーによりゲームに意味をもたせることができます。単なるデータのやりとりでは楽しくないことも意味があることによってドラマが生まれるのです。

ダイナミック要素

ゲーム内のオブジェクトがプロパティ、振る舞い、関係をもち、それらが相互に作用することで複雑で予測不能なシステム力学が生まれます。重要なのは次の4つのワードです。

オブジェクト、プロパティ、振る舞い、関係

ゲーム内に登場するものをオブジェクトと呼んだとき、そのオブジェクトには様々な性質(プロパティ)があります。

オセロにおける駒をオブジェクトとしたとき、プロパティは白と黒の裏表があること、盤面のどこに置かれるかという位置情報です。

さらにオブジェクト間には振る舞いと関係性が決められています。オセロの駒は駒の隣にしか置くことができませんし、白い駒を黒い駒で挟めば裏返して白い駒にすることができます。

このようにオブジェクトが持つプロパティと振る舞い、関係性を定めただけにも関わらず、オセロは多様な盤面を見せ、そのぶん戦略の幅も広がるのです。

まとめ

ゲームにおける3要素、フォーマル要素/ドラマチック要素/ダイナミック要素を整理してきました。

ゲームにおける目的の達成が意味あるものであり、チャレンジしがいのある対立で、相互に作用しあうオブジェクトがプレイされ、予測のできなかった結末を迎えたとき、人は楽しさを感じるのかもしれません。勝っても負けても楽しいのがゲームです。


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