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いつか「おいしい」を言える日のために。

わたしは、外でご飯を食べ、お酒を飲む時間がすごく好きだ。

いつもより早起きした朝も、昼のおでかけついでにも、仕事でちょっと疲れた夜も、身体のなかから癒されたい時にお店を訪れる。
ゆるっと飲める居酒屋も、じっくり考えことができるカフェも、ちょっとおしゃれして行くようなレストランも、みんな大好きだ。


仕事柄、様々なエリアのたくさんのお店に行くけれど、その中で私が「また来よう」というお店はこんな特徴がある。素材ひとつひとつにこだわった料理やお酒がおいしいお店、サービスの行き届いたお店、店主のこだわりがぎゅっと詰まった居心地のいいお店。
どこか私の琴線に触れると「きゅん」の胸が高鳴り、また訪れたいお店になっていく。


けれどそれ以上に、私が心から好きになれるお店は決まって「人」がとっても魅力的だったりする。


カウンター席の向こう側で料理をしながらも「今日はこれ食べなきゃだめですよ」とおすすめの逸品を教えてくれるオーナーシェフ、ひとりで飲んでいる私に「おつかれさまです〜今日休みですか?」と笑顔で話すスタッフさん、いつもスタンプカードを1.5倍で押してくれるうえにお土産までくれるおちゃめな店長……。

大好きなお店を思い返せば、いつもそこに人がいる。

その人たちに心惹かれ、お腹が空いてなくたってつい会いにいきたくなってしまうパワーがそこにはある。


厳密にいえば「人」だけではない。

日本橋にあるモロッコ料理店「ダリア食堂」というお店の店長は、猫さんだ。

IMG_5528のコピー

おとぎ話のなかに出てきそうな、様々な国の雑貨が店内中に散りばめられたときめきだらけのお店の中で、一際目立つ存在の店長猫「まるちゃん」。

まるちゃん、という名前がぴったりのぽってりとしたボディに、くりくりの目。そして人がいたってお構いなし、自由気ままに店を歩き回る姿に癒されてしまう。(そしてお客さんの机には一切上がらない、とってもお利口さんなのです)


ああ、またまるちゃんに会いたいな。いますぐには行けないけれど、またいつか絶対。そんなことを思ってお店のことを調べたら、そこには「閉業」という文字が書かれていた。


ショックだった。


きりきり、と身体の中心でちいさな音をたてる。この自粛を求められている事態が原因なのか、それ以前の問題なのかもわからなかった。

けれどなにより、もう、まるちゃんや、ダリア食堂のあたたかで柔らかな空気や、とびきりおいしいごはんも、スタッフさんのおだやかな笑顔をもう2度と味わうことができないのかと思うと悲しくなった。

だ

もちろん、こんな風に思うのはこのお店だけではない。

私の大好きなお店たちは、いま、この事態の正解のない道を歩み続けている。休業することを決心したお店、今までやってこなかったランチやテイクアウトにチャレンジするお店、ネットショップをスタートさせようと頑張っているお店もある。


そんなお店の人たちに、私は一体何ができるだろうか。


いまはどうしても、物理的な距離や移動手段の問題もあり、行きたくてもいけないお店がたくさんある。食べたくても食べれない料理がある。会いたくても会えない人がいる。大好きな外食をお店のなかの食事を心から楽しむことが、なかなか難しくなってしまい、応援できる手段がお店によっては限られているのは事実だ。

私たち食べ手は、お店のために出来ることを、応援を、出来る範囲でやるしかない。私はそう考えている。

いつになるかはまだわからないけれど、きっとこの先、飲食店で自由に、遅くまで飲み明かすことができるような日を待っている。

いまはその日のために、いますぐに会うことができるお店のテイクアウトやデリバリーを頼んで、家で食べている。いつか私のいる街に、「おいしい」を言いに来るひとたちのためにも、いまは私がたくさん食べてたくさんのおいしいを伝えることが、できることだと思っている。

もちろん今は、遠くにいても応援できる手段もある。クラウドファンディングやお取り寄せの注文だってある。お店が頑張っている情報を、SNSで拡散することだってできる。私たちにできることはきっと、まだまだあるはず。


私は、大好きなお店の、大好きな人たちの笑顔を見るために、少しでもお店のが続くための小さな力のために、この街がいつまでもおいしいご飯が溢れる街であるために、自分がいまできる一番の応援として、今日もすっぴん姿でテイクアウト料理を買いにレストランを訪れています。


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WEB編集者。心地良い生活と、ときめくデザインと、おいしいに出会える場所について、日々考えています。小麦をつかったクラフトビールが好き。猫と観葉植物と暮らしています。 / コルクラボ
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