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北へ向かう編隊 マカピーの日々 ♯1545

割引あり

マカピーです。
ティラピア養殖をやっているピーターの番小屋の上空をツルらしき編隊が行くのでした。

3年前ピーターはハナさんの患者さんで糖尿病が悪化してげっそりやせてしまったとの事でした。

現在はティラピア養殖池を見張る番小屋に暮らしているのは、盗難防止もあるのですがそもそも体調がすぐれないので、かつてのように働けないのでした。

だいぶ体重も戻ってきましたが、いまだに「力が入らない」そうです。


朝の散歩が出来るって幸せ!

それで,日長椅子に座って「ママ(ビンロウ檳榔)」をたしなんでいます。

ビンロウ - Wikipedia

日本の方にはあまり馴染みでないビンロウ(またはビンロウジ)はヤシの実の一種で古くからこれを噛む嗜好品として東南アジアや南アジアでは知れ渡っています。

マレイシアにあるペナン島は中国語では「檳榔島」と書いてマレー語ではPulau Pinangと表記します。


このヤシが檳榔樹です。Wikipediaより 

実はマカピーもピナンをやったことがあります。

ボルネオ島北部マレーシア国サバ州のクダット地区に青年海外協力隊(現JICA青年協力隊)に参加した際、そこのルングス族の村人から勧められて嚙んで見ました。

インドやネパールではカチカチに固い実を削って他の味付けを足しながら「パン」を楽しんでいましたがマレーシアでは若いビンロウの実をハサミで切ってそれに石灰とキンマの葉を足して食べるのです。

いや、食べるのじゃなくて噛んでその味を楽しむのですがこの石灰が化学反応を起こして唾が赤くなるのです。

決して美味しいとは言えないような刺激ですが、確かに慣れるとそれなりに「イケ」るようになるのでした。

博物館などに行くと、婚礼の品として銀製のピナンのセットが展示されていて昔から由緒正しい嗜好品であったようです。

ところが、ルソン島中部のイフガオ州など少数民族の多いところでは紙巻きたばこよりも圧倒的に「ママ」と呼ばれるビンロウをたしなむのでした。

親子でも各自が小さなビニル袋にビンロウの実、キンマの葉それに海の貝を焼いて作ったと言われる「純正」石灰を大事そうに指先に付けて楽しむのでした。

マレーシアのそれとの違いは、ビンロウの実が相当熟成しているのでした。もはや外皮が腐って繊維状の筆先のようになった中から小さな実を取り出してそれを歯で割っていました。

「フィリピン政府は紙巻きたばこ(シガレット)の公共の場での禁煙を言ってるだろう。あれは体に悪いから、ここではみんなこれをやるのさ!」

とピーターは解説していましたが、ハナさんはマカピーにこっそり教えました。

「そんなの嘘よ!イフガオの丘陵地から山地にかけての少数民族は老人から子供まで男も女もみんなママをやっているのよ!タバコの吸いさしもみっともないけど彼らのところかまわず吐き散らす赤い唾の方がよっぽど不衛生だわよ」

まあ、人によっていろいろ意見が異なるようです。

グアバ茶を作るために新葉を摘んできました

ハリー叔父の家から25㎞程離れた丘陵地にあるピーターのティラピア養殖池のほとりの番小屋にいると「時間がゆっくり過ぎて行く」のを実感します。

犬がいて、アヒルがいて、ニワトリがいて、ネコがいて、ヤギがいて・・・大きな池に夕陽が揺らめくころになると大きな鳥の編隊が北に向かって飛んでゆくのでした。

そうだ、数年前ヨルダン渓谷で仕事をしていた際にペリカンの群れがやはり死海とヨルダン川に沿って編隊を作っていた事を思い出しました。

もっともペリカンたちはマカピーの仕事関連で「ティラピア養殖」をしていた生け簀に舞い降りて大きくなったティラピアをごっそり掬い取ってしまう「盗賊」ではあったのですが。

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