きみがよかった

DMで声を掛けてきた女が
目の下を赤く塗って会いにきた
あなたの言葉が好きです
わたしには分かるの
詩集は買ってないんだけど

ひとつでも間違えれば
すぐにでも怒られるから
他人の感情が何もわからないまま
ただ怯えるだけだった

だから
誰かに好かれたいだけの
真夏に長袖を着ているきみを見つけた

ぜんぶが間違っていれば
誰にも怒られないから
意味のない言葉を重ねて
詩を書いているってことにした

だから
すぐにでも死にたくなるような
自信のないきみがよかった

ひびの入ったスマホで自撮りしてるだけの
ぼくに興味のないきみがよかった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?