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【ミラクル】普通は悩みの種になるDD費用で…|M&A BANK Vol.162

DDは「手弁当」で

島袋
今日も、ご実家の事業を売却された、株式会社Loco Partners川口さんに来てもらっています。
事業承継もM&Aなので、買い手から法務DDや財務DDを受けられるんですよね。

川口
されますし、自分でしちゃった部分はあります。

島袋
それは誰にお願いしたんですか?事業承継の場合どうすればいいんでしょうね。

川口
通常なら、法務DDは弁護士さんに、会計は税理士さんといった専門家にお願いするべきかとは思います。
私の場合は本当に手弁当のM&Aだったんですよね。


お酒の「コンテンツ力」で…

島袋
手弁当のM&A、と言いますと。

川口
日本酒はけっこう特殊ですよね。どこの業界にもお酒好きがいると思うんですよ。
まず僕自身、案件をもらったら会計の部分は何となくわかるので、自分でDDができる。
でも、特に法務DD、契約の部分はわからない。

それで、それこそ酒蔵見学で知り合った同じ大学の弁護士さんに、「ちょっとこういうのもらっちゃったんだけど…」と話を持ち掛けて、「どちらかというとお金にはならないけど、終わったら美味いお酒やいいコネクションができるんで…」と口説いて、私とその弁護士さんと二人でやりました。

あと、ディールが進む中でタックスとか免許の論点が入ってきたら、免許に関しては日本酒好きの行政書士さんを同じロジックで引き込み、タックスに関しても日本酒好きの税理士さんを探して引き込んで、手弁当のチームを作りました。
それでディールが終わったら、打ち上げをすると。

島袋
じゃあ、町の小売さんの2代目3代目が会社を売却したいけど、DDの予算が取れない場合は、知人の会計士さんや弁護士さんに、安くDDをお願いできないか相談してみるのがよさそうですね。

川口
顧問税理士さんや顧問弁護士さんがいらっしゃればその方に腹を割って相談するといいかと思いますし、そこからさらに紹介してもらうのもいいと思います。

島袋
なるほど。
なかなか誰に相談したらいいかわからないと思うんですが、大手のファーム相談する以外にもこういう選択肢があるわけですね。


破格で請け負ってもらえた

冨岡
それで、DDは結局いくらでやってもらったんですか?

川口
10万円です。(笑)
実績を作りましょう!!って意気投合しちゃったんですよ。

島袋
それぐらいでやってくれるんですね。

川口
やってくれましたね。
本来依頼したら数百万いくと思いますが、やっぱりコンテンツ力もあったので。

弁護士さんと二人で先方の会社に言ってディールの詰めをしている時、百光の試作品ができたんです。
それを持ってきたら、飲んだ瞬間、「あぁこれはやらないとダメだ、このお酒はちゃんと出さないとダメだ」となるわけです。

それで二人で帰りながら、「あれ美味かったっすね~」と。

島袋
いや~それはすごい。コンテンツの魅力がそんなことも可能にするわけですね。

そろそろお時間になってしまいましたので、今回はここまで。
次回は川口さんご出演最終回になりますので、どうぞお見逃しなく!


出演者

■川口 達也:株式会社Loco Partners-経営管理部 ゼネラルマネージャー(現:部長)/公認会計士

小売酒屋の長男として生まれる。新卒でディー・エヌ・エーの経理部に配属され、同年に公認会計士の論文式試験に合格。2017年、株式会社Loco Partnersへの転職を契機に実家の小売酒屋の再建に着手し、2018年に株式会社Clearに株式と旧酒販免許を譲渡。NPO法人3keysの支援も行う。

【有限会社 川勇商店のM&A概要】

川口達也氏が3代目となる、創業50年超の小売酒屋。通信販売でも事実上制約がない酒販免許の旧免許を保有していた。2018年に、日本酒専門WEBメディアSAKETIMESを運営するClearが発行済み株式の全てを取得し、同社を完全子会社化した。

■島袋直樹:IdeaLink株式会社-代表取締役

シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。