見出し画像

どうしてわたしはエンターテインメントが好きなんだろう。

わたしにとって、とっても大切な作品が、この絵本。

画像1


『オルゴールワールド』

ふたつにわかれてしまった世界で別々に生きる男の子と女の子が、偶然出会うお話。お互いがそれぞれの世界について語り合い、ある「魔法」によってそのふたつの世界をつなぎ合わせようとするお話です。

「戦争はどうして起きるのか」
「エンターテインメントは何のためにあるのか」

そんな問いを突きつけられます。

西野さんのさまざま作品の中でも、わたしがずーっといちばん好きな作品です。

ちょっぴり遅れましたが、おはようございます。
最近、Facebookで「#bookcoverchallenge」(ブックカバーチャレンジ)に挑戦していて、自分にとって大切な本や心に残った本を一日一冊あげるという取り組みをしています。

今日は、その中で取り上げたこの絵本について、投稿では書ききれなかった「どうしてこの絵本が好きなのか」について書かせてもらおうかなと思います。

ちょいと長くなってしまうかもしれないけど、最後まで読んでもらえるとうれしいです。


まず、この絵本を読んだとき。
わたしは「これは東西冷戦の話だ」と思いました。
そして、ベルリンの壁、ドイツのことを思い出しました。

わたしはもともと、ドイツに何の縁もゆかりもなかったけれど、ここ数年なぜかふしぎな縁があって、3回ほど行かせていただいています。前からちょくちょく「ドイツが好きだ」みたいなことを書かせてもらっていますが、何が好きかというと、「ドイツの文化」です。正確にいうと、「ドイツの文化のとらえ方」です。

ドイツは、第二次世界大戦のナチスへの反省や、東西冷戦の影響から、歴史の「記憶」を残すことに対する意志がとても強い。そして、それと同じくらい「文化」というものが社会の中で重視されていて、価値が置かれています。

ドイツに行くたび、博物館や教会、歴史の跡地などにたくさん行かせてもらいましたが、そこに刻まれた歴史の重さや人の意志に圧倒されました。

負の歴史を隠さない。そして、そこにアートが強く結びついている。

合理性や効率性を追い求めた結果、「全体主義」という悲劇を引き起こしてしまった。だからこそ社会の中で、文化の倫理観や感性が大事にされているような気がします。

このコロナショックになってから、ドイツの文化大臣が「文化は贅沢ではなくて、人間の生存に必要なものだ」と宣言したけれど、まさに水や食べ物と同じように、わたしたちの生活にとって必要不可欠なものとして認識されているんだと思います。

そして、わたしがこのことを強く感じたのが、強制収容所の博物館を訪れたときです。わたしはこれまで、ザクセンハウゼンミッテルバウ=ドーラのふたつの収容所跡地に行きました。(収容所跡地は、ドイツ国内外にたくさんある!)

画像2

「博物館(ミュージアム)」といっても、綺麗に飾られた空間じゃなくて、奴隷として働いていた人たちの部屋(とも呼べないような小屋)が再現されていたり、ガス室の跡地だったり、ダウン2枚でも寒いような洞窟に置かれているベッドだったり。

思わず言葉を発するのをやめてしまうような、衝撃的で切実なものがたくさん置かれています。

画像5


その中ですごくわたしの印象に残っているのが、この「ハーモニカ」です。

画像3


画像4

これは、収容所の中で、囚人たちがこっそり隠し持っていたものだそう。着るものも履くものも十分にない、スプーンひとつでも持ち込んだら処罰されるような環境で、「音楽」が選ばれていました。

これを見たとき、やっぱり文化は水や酸素と同じで、それなしに人間は生きていけないものなんだと感じました。


そして、絵本の話に戻ると。

『オルゴールワールド』の中で描かれているのも、そんな「音楽」のこと。物語の中でそれは、「世界をつなぐ『魔法』」と呼ばれています。

人間同士の争いがなかった時代はないし、たぶんこれからもなくならない。でも、そんな中でも一瞬だけ、それを止めることができるのが音楽なんじゃないだろうか。

ひょんなことからのぞいてしまった隣の世界。
理解できない言葉や習慣。
それでも偶然出会ったふたりが、知らない世界があることを後世に語り継いでいこうとする。

この作品を読むたび、「だからわたしは音楽が、エンターテインメントが好きなんだ」と思います。

インターンの最終面接のとき。
資料もなにも用意していなかったけど、唯一お守りみたいにリュックにいれていたのが、この絵本でした。そして、面接の時間になるまで、近くのカフェでこの物語を読んでいました。

西野さんから学びたいと思ったことは、リーダー力、マーケティング力、脚本力、もちろん一流の芸人さんだったり、いろいろあります。
でもそのどれよりも、「こんなエンターテインメントを作る人と一緒に働きたい」。そして、「こんな風に世界をみている人とエンタメを届けたい」と思いました。

そしていま、本当にその環境で、エンタメに向き合わせてもらっていることは、本当に幸せだと思います。と同時に、この時期にインターンをやらせてもらうことになったのに、運命的なものを感じています。

いま、コロナで世界が分断されていて、いろんなところで見えない「壁」ができている。でも、一瞬でもそれをつないでくれるのがエンタメ、アート、文化なんだと思います。

この際、呼び名はなんだっていいけれど、ただ、そんな風に世界がちょっとでもつながる瞬間。

そんな「魔法」を少しでも届けたいです。

そして、いつかドイツで、ベルリンの壁で個展ができたら、光る絵本だけじゃなくて、現地の人にこの物語を届けたい。そして、世界の「壁」と「魔法」について話してみたいです。

そんな風に、『オルゴールワールド』を読み返しながら、「どうしてわたしはエンターテインメントが好きなんだろう」と、あらためて考えていました。

今日もがんばります。


--------------------------------

実は、この話を書こうと思ったきっかけがもうひとつあって。
ドイツ在住の『西野亮廣エンタメ研究所』サロンメンバーの大矢さんと、対談させていただくことになりました。

大矢さんは、ドイツで和牛レストランをやられていて、去年のエッフェル塔個展では、最高級の料理を提供してくださるなど、とても支えてくださっている方です。

そんな大矢さんが、いまコロナのなかでがんばる世界中の人と対談するYouTubeチャンネルをやられています。

プロサッカー選手だったり、放送作家さんだったり、ものすごい方たちばかりで、わたしなんかがお話しさせてもらうのは大変恐縮なのですが、

前々からドイツでの光る絵本展やそれ以外の様々な活動について相談させていただいていたので、今回お声がけいただきました。

ドイツのこと、エンタメのこと、そしてこれからの未来の話をたくさん聞かせていただこうと思います。

今日対談して、動画はまた後日アップされるとのことなので、そのさいはお知らせさせていただきます^^

大矢さん、そして西野さん、こんな素敵な機会を与えていただき、ありがとうございます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?