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最高のパートナーに300%引っ張ってもらった。だからこそ、ここまで頑張れた――友國麻衣子さんインタビュー

友國麻衣子さんは2018年2月から本格的にフレスコボールを始め、初代女子チャンピオンの芝有沙さんとペアを結成。仕事などでなかなか時間の取れない中で、やり方を工夫し、7月のミウラカップでは女子部門で優勝を果たしました。

元チャンピオンである有沙さんとペアを組むというプレッシャーもある中で、「有沙じゃなかったらできなかった」という言葉が何度も出るなど、ペアへの思いを強く実感。「フレスコボールはペア競技」ということを再確認できるインタビューになりました。

表彰式を見て、はじめて芽生えた「悔しい」気持ち

― フレスコボールとの出会いはいつですか?

友國 2017年の頭に、お台場でマラソン大会をやっていたんですけど、私は南さん(南隼人:フレスコボール大会MC)に依頼されてそこで MC をしていて。たまたまそこでフレスコボールの体験会もやってたんですよ。寒いし、MCで忙しくてなかなか行ける時間もなかったんですけど、そんな中でちょろっと行って打ったのが有沙だったんです。

― なるほど。その後ビギナーズカップか何かに出てますよね?

友國 そう。体験会の場で有沙とだけ連絡先を交換して、あやっぺ(小澤彩香)たちも出ていたビギナーズカップに出ました(2017年2月)。でもその後は、有沙がフレスコできなくなっていたのもあって連絡もなく、全然やらなくなってました。

― やりたい気持ちはあったんですか?

友國 やりたい気持ちはあったけど、コミュニティに1人で行くのが本当に苦手だから、チャンスがないなっていう感じでしたね。

― 今年は、有沙に誘われてやってみようと?

友國 はい。去年の末ぐらいに有沙から「フレスコボールやってますか」ってメッセージが来て、「私、来年大会に出ようと思ってるんですけど、良かったら一緒に出ませんか」って言ってくれて、出ることにしました。

― 本格的にやり始めたのは今年(2018年)の2月からなんですよね。

友國 そうですね。年末に声かけてもらったけど、1月は丸々動けなかったから。

― 私は、お台場カップの後に2人が泣いてたのが結構印象に残ってるんですけど、あの時の思いは?

友國 単純に勝ちたいと思いました。表彰式を見てて、あそこに行きたいなって初めて思った。私は結構競技スポーツをやってきてるんですけど、そういう風に思うことってなくて。

― 負けん気があまりないって言ってましたもんね。

友國 競泳をやっててもコーチに「お前は勝つ気があるのか」って言われたし、テニスも「何とかして相手の打てないところに打ち込んでやろう」みたいな、その最後がこだわりきれないというか。だから表彰台の一番上に上がったことがなくて、それに対して悔しいっていうのもそんなになかったんです。

でも初めてお台場の時に、真彩ちゃんとかあやっぺとかが前に出て、思いを話すじゃないですか。それを見て、「超悔しい、そこに私も行きたい」って思ったんです。それでふと横を見たら、有沙がすごい泣いてて、もろにそれをもらった感じでした(笑)。

優勝して嬉しかったけど、ものすごく悔しかった

― 今年は4大会に出ましたが、一番印象深い大会はいつでしたか。

友國 やっぱり優勝した大会(ミウラカップ:7月)かな。最初に有沙が声をかけてくれた時に、「私もう1回チャンピオンになりたいんです」って言ってたんです。でもまだそこまで行けてないって自分の中では思っていて。その大会の前にたまたま、有沙のインタビューを読んだんですね。

そこに、「唯一の心残りがまいさんだった」って書いてあって。嬉しくもあったけど、それを読んだ時に、「申し訳ない」ってすごく思いました。「なんとかして有沙を優勝させてあげたいな」って。
(〇有沙さんインタビューはこちら

― そうだったんですね。

友國 私たちはジャパンオープンで勝ちたいっていうのが強くて、ミウラカップは、その次の大会で勝つって思っていた中での大会だったから、いい意味で力が抜けたプレーができて。それと、周りのペアの調子とかのバランスの中で、たまたま私たちが上に上がったというか。

その“タイミング”というのを痛感しました。「誰でも1位になる可能性がある」ってこういうことなんだなって。だから優勝して嬉しかったのはあるけど、ものすごい悔しくもあったんです。

― 悔しかった?

友國 難しいですけど、ちゃんと勝った気はしなかったんですよ。たとえばペアが違ったりとか、調子が悪かったりとか、そういうのが重なってたから。これは実力で勝ったわけじゃない。有沙にも「次は実力で勝ちましょうね」って言われてました。だからものすごく悔しかったし、そういう意味で印象に残った大会でした。

― ジャパンオープンまではどのくらい練習してたんですか?

友國 多い時で平日週に2回ぐらい。でも私が10日間出張に行くとかもあるから、2週間空いちゃうときもあったし、朝練もだいたい2~3時間しかできなくて。私の仕事前の時間に有沙が合わせてくれてました。

― 他の人に比べて練習するのは大変でしたよね。

友國 たまたま有沙もそういう時間の使い方をしていたからこそできたっていう。でも、大会のために結構2人で話し合いもしましたよ。

どういうスタイルにしようかとか、動画を撮って数を数えて、「この動画だとまいさんのアタックはこうなってるんでこうしたほうがいいと思います」とか。LINEとかでもコミュニケーションはたくさん取ったので、すごくやりやすかったです。

― 考えて練習してたんですね。

友國 すごく考えました。フレスコボールノートをつくったりとか。

― え!どんなことを書いてたんですか。

友國 リズムの取り方とか、重心を落とすとか、カウントしながら打つとか、有沙が私に言うことを忘れないように。大会の前はそれを見てから入ってました。

ジャパンオープンで優勝すれば、選択肢をあげられる・・・

― やっていく中でプレッシャーはなかったですか?

友國 自分が勝ちたいとかよりも、有沙を勝たせてあげられてないっていうプレッシャーがすごかったですね。

― ミウラカップでは勝たせてあげられたとは思えなかった?

友國 そうですね。でも7月に優勝しちゃったから、8月に向けてときどき周りから「行けますよ」みたいなことをちょいちょい言われるようになって。そういうプレッシャーはあったかなと。「私次第だな」ってすごく思ってました。

― ジャパンオープンで有沙が優勝してたら、私点数並ばれてたんですよね。むしろランキングは1位だった。

友國 それは有沙も私もわかってて、何かの時にも有沙がポロっと言ってたんですよ。「これでジャパンオープン優勝できたら、私一番になれると思うんです」って。その時に、「やっぱり有沙はそこにいる人なんだな」って思いました。

ただ、有沙には海緒(娘)がいて、芝さん(芝卓史:日本代表)がブラジルに行くこともほぼ確定してたから、「たとえ日本代表に選ばれても、私はブラジルに行くかはわからない」って言ってて、すごく複雑なんだろうなと。

でも、どうせ行けないんだとしても、勝てば選択肢をあげられる。自分の意思で「行かない」という選択をするのか、「行けない」のかっていうところの違いはすごく大きいですよね。

― そうですね。そこのプレッシャーは結構あったんじゃないですか。

友國 今年は、有沙も私とずっとやるって言ってくれてたし、捨てずにやってくれたから。なんとか頑張りたいなっていう気持ちでした。

― ジャパンオープンの出来は自分たち的にどうでしたか。

友國 よかったですよ。ジャパンオープンはフォアフォアになってお互いに打ちやすくなったラリーだったから、これでやっていけたらまだ伸びるかもしれないなって思いつつ、でも「最後だな」って思いつつ。。

7月は勝ったけど、やっぱりみんなが実力出した中で勝ちたいねって言って、できる限りの練習はして。だからジャパンオープンは、みんなの成長が私たちの成長よりも上回ったというだけ。

その点では、あきらめじゃないですけど、“優勝したけど悔しかった”ミウラカップよりは、悔しくなかったというか。納得できた感じはありました。

私にとって有沙は“120%のパートナー”だった

― まいさんの今年のフレスコボールは有沙一色ですね。

友國 有沙とは、フレスコボールの優先順位が同じところにあったからできたんだと思います。出るからには勝ちたいと思うけど、子どもがいたり仕事があったりしてお互いに時間が限られてる中で、できる限りのことをやろうっていう。だからバランスが良かったんです。

― 優先順位が同じというのは大事ですね。

友國 ペア競技ってこういうことだなって思いましたね。ただ仲が良いだけじゃたぶんできないし、どううまくなりたいかとかも話し合わなきゃ伸びない。自分のスタイルで勝手に関わるだけだと、ペアとしては伸びないんです。

だからそこの感覚が一緒のペアはやっぱりうまくいくと思ってます。それこそカミーラとシルビア(ブラジルの女子トップ選手)もそう言っていたので。

― 何て言ってたんですか?

友國 「私たちはお互いに言いたいこと言う」って。相手は違う風に思ってるかもしれないというのは構わず、「あなたの今のプレーはこうよ」「でもそれはあなたがこう打ったからよ」っていう話をする。そこで解消していくスタイルですね。

でもブラジルにも、全然言い合わないペアもいるらしくて。プレーのスタイル自体も大事だけど、ペアとしてのコミュニケーションをどう取るのかが大事だなって。

― 個人レベルじゃなくて、ペアとしてどう伸びるか。

友國 2人でやっていく競技なんだな、というのを実感しました。だから本当に有沙には感謝しかないし、有沙じゃなかったら私ここまでやってないと思うんです。有沙がどう思ってるかはわからないけど、私にとって有沙は120%のパートナーだったから。

― うわぁ、これ、見出しだなぁ……すごいですね、そう思わせる有沙って。

友國 でもたぶん、どのペアも少なからずそうだと思うし、そう思ってるところが勝つんだと思います。私は、300%引っ張ってもらってたから、何もしてないですけどね。

― 今後はどうしていこうと思ってますか。

友國 どうしよう。と思ってます。今年は有沙と組んでたから時間的にも調整できたし、出る大会があったからそのために練習してたっていうところがあったので。今年みたいに1人と組んでがっつりっていうのはできないかもしれないですね。

でも、ちょっと体験会や練習に呼んでもらうとかはすごく嬉しいし、出られる大会があれば出たいと思ってます。どういう方法があるのかなって探しているところですけど、自分のできる範囲で関わっていこうかなとは思いますね。

次回のインタビューもお楽しみに!

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