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今までの練習を思い出し、2人の世界に入れた"最高!"なラスト1分――松浦孝宣さんインタビュー

松浦孝宣さんは2017年5月のオダイバカップからフレスコボールの大会に出場し、2017年ジャパンオープンでは総合6位。2018年はミウラカップ(7月)で総合優勝、ジャパンオープン(8月)で準優勝、年間ランキングで6位となり、上位6名の日本代表枠に滑り込みました。

当初から日本代表を目標とし、今年の5月からは7,8月の大会に向けて年間1位の芝卓史選手とともに猛練習。見事に逆転で代表の切符をつかみ、12月のブラジル大会に出場します。ブラジルで30歳を迎えるという松浦さん。特に、芝さんとのエピソードは必読です。

ひそかに練習を重ね、ジャパンオープン2017で6位に

― フレスコボールとの出会いは?

松浦 2年前の今ごろに、同じ会社の山下(山下祥:松浦さんの最初のペア)にこんなスポーツがありますって言われて。その時は「あーそうですかー!」って言ってやらなかったんですけど、山下はちょこちょこ会社の人とやってて。それで何番目かに僕のところに来て、去年(2017年)の2月に初めてやりました。

― もうすぐ2年ですね。1回やってもう、楽しい!みたいな?

松浦 もともとラケットスポーツは好きなんですよね。部活はバレーボールでしたけど。

― 本格的にやってきたのはバレーボールだけですか?

松浦 小学校の時はサッカーとフットサルをやってました。意外と僕、愛知県で3位とかになってるんです。左サイドバックで。まあ、フレスコに生かせているのはバレーな気がしますけど。

― 基本はやましょーと2人で練習だったんですか?

松浦 大会出るまではちょこちょこやってて、最初にオダイバカップ(2017年5月)に出てから、結構やりはじめました。たぶん、毎週練習してました。ひそかに。

― みんなのいないところで。

松浦 みんな長くやってる人たちだったので、そこに行ってもいいのかわからなかったんです。何かのタイミングで一緒に練習して、飲んで、芝さんとは仲良くなってたんですけどね。

でも今考えると、もっとうまい人たちと練習したほうが良かったなと感じてます。だってたとえば今抱えてるアタックの課題とかも、最初からやってれば直ってたかもしれないし。何にも教えを乞わずにやってたので。

― それでも結構練習してジャパンオープン出たんですね。ブラジル銀行のTシャツで!(笑)

松浦 そうでしたね。とりあえずブラジルのスポーツだからあの服着ていきました(笑)。

― 最初から、「上をめざそう!」って感じだったのは何でですか?

松浦 たぶんそれは、山下が「一緒に上めざしましょう」って言ってくれたからです。それでハマったというか、日本代表になれるならなりたいなと思いました。

動画やライン、熱心なアドバイスのおかげでうまくなれた

― 芝さんとは何で仲良くなったんですか?

松浦 去年のオダイバカップ後くらいに、亀戸でみんなで練習した時、そのあと飲みに行ったんです。べろべろに酔っ払ってみんなは帰ることになったんですけど、「僕らもう1軒行きましょう」って、山下と3人で飲みにいって。そこから仲良くなりました。

― そんなころから仲良かったのは知らなかったです。ペアを組んで出ようとなったのは、どういう経緯があったんですか?

松浦 あれは、芝さんから「7月の大会出てみる?」って言ってくれて。でも7月の大会は、僕が友だちの結婚式で出られないかも、っていうところで話は終わってたんです。そしたら、ああなりました(笑)。

― サクラカップの?(笑)
(※サクラカップの優勝コメントで芝さんが、松浦さんとペアを組みたいと思っていることを電撃発表)

松浦 そう。急に言うから、「えっ!?」ってなって。でも出たいなとは思ってたので、「じゃあ出ましょう」って。

― 松浦さん的には芝さんから言われないと、「組みませんか?」って言うにはまだちょっと……みたいな?

松浦 まあ、言えないですよね。だって、歴も立場も違うし、僕自身もまだまだのレベルだったし。でも言ってくれたから、それは嬉しかったです。やっぱり日本代表にも入りたいから、結婚式に呼んでくれていた友だちにもそれを伝えたら、「頑張ってきて」って言ってくれました。

― 日本代表には今年こそなろうという意識だったんですか?

松浦 最初に山下と(代表に)なりたいなと言ってたのもあるし、広まってきたらちょっと怖いので(笑)、今年なっておきたいなっていうのはありましたね。

― ビッグチャンスが舞い込んできたと。実際芝さんと組んでどうでした?

松浦 良かったです。さっきも言いましたけど、それまではやみくもに素人同士で練習してたから、フォームもなにも、誰も指摘しないし。もったいないなっていう。やっぱりうまい人と練習しないと、どうしたらうまくなれるかわかりづらい部分もあるので。

― 結構いろいろ指摘されてたイメージはありますが。

松浦 言われてましたけど、愛がありますから、芝さんの教えは。動画とかも送ってきてくれるし、こうしたほうがいいとか、ラインでも毎日のように言ってくれる。それのおかげで、前よりはうまくなってると思います。

― たとえばどんなことを言われるんですか?

松浦 ラケットの持ち方とかも言われるし、ディフェンスはめっちゃ言われてました。「こうきて、こう!ここでこう!」みたいな(笑)。アタックを地面にたたきつけちゃうやつは、いまだに直ってないですけど。

たくさん教えてくれたから、行けるところまで一緒に行きたい

― ジャパンオープンの出来はどうでしたか?

松浦 悪くはなかったです。前日は微妙な出来だったんですけど、本番は自分たちの中ではできてた方です。もうちょっとできそうっていうのはありましたけど、その時出たものが実力なので。悪くはなかったね、とは話しました。

― 大トリで出る気持ちはどうでした?

松浦 なんすかね、僕はそんな緊張してなかった気がしますけどね。

― 改めてYouTubeにあげてる動画見てたら、私ちょっと泣きそうになりましたよ。2人で「最高!」と言いあってるシーン。南さんのMCとか、ラストのペアだったこととかあったのかもしれないですけど。

松浦 あれはなんか本当に、2人の世界って感じで。ラスト1分くらいは、やりながら、「あ、この感じ気持ちいいな」と思いました。今までの練習を思い出して、すごく幸せな感覚になって。最初にあまり調子が上がらなかったのが悔しいですけど、最後の方は良かったですね。

― SNSにも感想書いてましたね。すごく雰囲気が良かったです。

松浦 あとはまあ、次から組むかわからないし、いっぱい教えてもらったので、「ありがとうございます」と思いながらラリーしてました。勝ちたかったですけど、一緒にやってきて良かったなと思います。

― その後2人でどういう話をしたんですか?

松浦 良かったね、という話はしました。みんなでの打ち上げの後、カラオケ屋に行ったんですよ。そこで実は僕、泣いちゃってましたもん。これ、泣いてるのマジでダサいなって言いながら…。そしたら道代さん(五十嵐道代)がめっちゃなぐさめてくれました(笑)。

― 何でそんなに頑張れたんですか?

松浦 単純にうまくなりたいのもありましたけど、芝さんがすごく教えてくれたから。一緒に行けるところまで行きたいなっていう気持ちは大きかったですね。

― 芝さん、「まっつんを3位にする!」みたいなこと言ってましたもんね。

松浦 たしかに。優勝してたら僕3位でしたよね。結果は6位ですけど、良かったですよ。組んでなかったら日本代表になれなかったので。

人生の節目をブラジルで。来年はさらに上へ

― 来年のことは考えてますか?

松浦 来年は、どうなるんでしょうね。まあ僕としては変わらず、来年も代表になることですかね。今年より順位を上げてうまくなって、とは思ってます。ペアがどうなるかはわからないけど、フレスコ歴が長い人たちじゃないところで組んで上に行けたら、遅れてやり始めても可能性あるんだっていう風になるんじゃないかなと、少し思ってますけど。

― 夏にブラジル人と触れ合って得たものはありましたか?

松浦 ブラジル人は最初サマソニで一緒にやったんですけど、教えるのがうまいですよね。

― 何を教わったんですか?

松浦 ルイス(ブラジルフレスコボール界のレジェンド)に。言葉は全然わからないですけど、「ラケット外に向けずに振れよ」って教わって。考えたら、芝さんもまったく同じこと言ってたんですよ。

でもルイスに聞いてできるようになって。芝さんが、「何でまっつん、俺から聞いてできないのにルイスに聞いたらできんのー」って(笑)。なんかあれですかね、ブラジル人っていうフォルムの説得力ですかね?(笑)

― (笑)。ルイスに教わってひとつ習得したんですね。

松浦 その時は、フォアが良くなりました。最近ちょっと、力をこめはじめて悪くなってるんですけど、今はブラジルで一緒に組む予定のキングタカ(倉茂孝明:日本代表)にも悪いところ指摘してもらって。日本代表になっといて言うのもなんですけど、うまい人と組むと自分の悪いところも指摘してくれるからやっぱり良いですね。

僕は人に教えるのがあんまり得意じゃないんですよ。適当にこうやってやればいいんだよーって言っちゃうから。たぶん教えるのがうまくなったら、もっと自分もうまくなれるんじゃないかなと思います。

― フレスコボールが広まっていってほしいなっていう想いはありますか?

松浦 それはあります。広まっていってみんなが知るようになったら、日本代表っていうのも「すごいですね!」ってなるじゃないですか (笑)。それは冗談ですけど、でもやっぱり楽しいから、みんなにやってもらいたいです。

― 社会人になってこんなに打ち込むことはなかったですよね?今年とかは特に、それまでと生活変わってると思いますし。

松浦 体質とか体型も変わりましたね。腹囲が12センチ少なくなったんですよ(笑)。結構ジム行ったりしてるので。あと僕、今年ブラジルで30歳を迎えるんです。しかも大会の日(12/16)に。だから人生的にはすごい素敵な節目だなと思います。

― そこで優勝なんてしたら、それこそ何十年後に語れますね!ぜひ結果を出して祝いましょう!

◎ジャパンオープン2018での芝・松浦ペア動画はこちら。

今年のインタビュー記事はここまで!読んでくださったみなさん、ありがとうございました!次回はいつになるのか……お楽しみに!

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