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「EVを起点とした フリートマネジメントとは」―LIGAREビジネスセミナーレポート

こんにちは。MaaSHack編集部の中村です。                

11月17日(水)、弊社LiB Consultingおよびパートナー企業の株式会社AMANE様の共催でビジネスセミナー「EVを起点とした フリートマネジメントとは」を実施しました。
本日はセミナーについて簡単にレポートした内容を御共有させていただきます。

今回の「EVを起点とした フリートマネジメントとは」セミナーは、 弊社が先日発信いたしましたEVX(トランスフォーメーション)のカオスマップのうち、EVフリートマネジメントに焦点を当てた内容になっており、株式会社マクニカ様、株式会社CUBE-LINX様にご登壇いただきました。

EVXのプレスリリースはこちらhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000042601.html

1.セミナーの概観            

セミナーの前半では、マクニカ様・CUBE-LINX様が主たる事業内容として、   自動運転およびフリートマネジメントシステムについてご紹介いただき、 セミナーの後半では、AMANE社の井上社長がモデレーターとして2社とのパネルディスカッションを実施し、事業推進上のハードルや今後の発展像について議論が交わされ、非常に盛り上がりました。

セミナーの終わりには弊社LiBコンサルティングの横山が本日の総括としてエネルギー×モビリティ領域の中でのフリートマネジメントの立ち位置や    今後の事業発展可能性について言及させていただきました。

※フリートマネジメントとは「法人や団体でもつ車両を適切に管理し、運行管理を行うこと」を指します。

2.マクニカ様 事業内容紹介     

  マクニカ様は電子部品関連の専門商社です。

近年は新事業にも力を入れており、スマートインフラやヘルスケアをはじめとして既存のコアアセットを活用しながら事業の多角化を図っております。その中の一つの領域として、自動運転領域のソリューション事業を推進されており、具体的には、フランス製自動運転バス「NAVYA」の取り扱いをしながら、自動運転車を活用するためのサービス開発・コンサルティングも手掛けております。自動運転と一口に言っても、車両・センサー・ソフトウェア・地図などの自動運転実現のための構成要素は複数存在するため、顧客のニーズや課題に合わせて要素を組み合わせ、最適な自動運転ソリューションの提供をされているそうです。

この一連の価値提供の中で、顧客の要望に応じてソーシング・エンジニアリング・コンサルティングを使い分けて顧客に貢献していらっしゃるようでした。

また、上記のソリューション提供をしながら「モビリティデータプラットフォーム」の構築・開発も推進していらっしゃいます。

プラットフォームにデータを蓄積させ、活用することにより自動運転のフリート管理やユーザーの行動分析によるマーケティング、異常検知による地物管理(スマートメンテナンス)など様々なデータ活用ソリューションが提供できるようになるとのこと。エネルギーマネジメントシステムとの連携も視野に入れており、まさにモビリティのデータプラットフォームとして裾野を広げていく挑戦をしている最中とお話してくださいました。

3.CUBE-LINX様 事業内容紹介

CUBE-LINX様は輸送現場への商用EVの円滑な導入や最適運用を支援すること目的として、今年2021年5月に設立された日野自動車と関西電力の合弁会社です。商用EVを導入する際に、供給元の電力メニューをどれにすべきか?設置するバッテリーのタイプはどうすべきか?整備や車検はどのようなメニューが望ましいのか?そもそも電力事業者や工事業者はどこがいいのか?など、新しい領域であるために現在、様々な課題が発生しております。

その課題解決をするために、CUBE-LINX様は商業モビリティ利用のオープンプラットフォームの創出に尽力しております。なお、ソリューションは日野自動車・関西電力に限らず、様々な事業者のものを利用することが可能とのことでした。

具体的には2つのサポートメニューが存在します。

1つ目は、ハード+ITシステムをパッケージ化してユーザーに提供するメニューです。ユーザー側からすると、一括でソリューションを提供されるので手間がかからずわかりやすいのがメリット。

また、ソリューションを提供する事業者側からすると、商材単体で差別化しづらい場合にもパッケージに入り込むことで、競合優位性が出てくるというメリットがあります。

2つ目は、稼働/エネルギー利用の最適化マネジメント(エネルギーマネジメントシステム、以下EMS)のメニューです。

CUBE-LINX様は、今後は特にこの稼働×EMSの領域に注力していく予定とのことで、稼働×EMSの融合ができれば、様々なメリットがあるとおっしゃっておりました。たとえば、稼働マネジメントを最適化することで充電器の設置数を減らすことができ、逆に自社のものを設置する必要がなく、公共充電器のみで事足りる状況を実現し、充電器を置く余力がない中小企業でも商用EVの導入ハードルを下げることができるなど、EVを活用する上でのインフラの拡充に寄与します。

稼働×EMSの可能性を広げていきたいとCUBE-LINXの桐明様は想いを込めて語っていらっしゃいました。

※エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは工場やビルなどの施設におけるエネルギー使用状況を把握した上で、最適なエネルギー利用を実現するためのシステムを指します。

4.パネルディスカッションの内容

パネルディスカッションでは、先進的な取組みをする中での事業上の課題についても両社の登壇者様に赤裸々に語っていただきました。マクニカ様は、パーソナルモビリティ側のデータ取得基盤がない点について、CUBE-LINX様は、バッテリーなどのハードウェアの導入コストが高い点について言及。

また、両社の今後の描きたい未来についても意見が交わされました。両社とも強調されていたキーワードは「共創」

CUBE-LINXの桐明様は「共創関係を築いていきたい。EVの流れを消さず、しっかりの形にしていきたい。EVのみならずデータ連携を変えていこうという形になれば。」
マクニカの福田様は「自動運転はあくまで課題を解決するためのソリューションの一つ。データ連携で新しい事業ができて、もしくは様々な企業と連携しながら、共創して、過疎地などをはじめとする移動課題を解決していきたい」
と語り、両社ともデータ連携による事業創造および社会課題の解決への想いを強く発信されておりました。

5.総括       

セミナーの終わりに、弊社LiB Consultingの横山が全体を総括しました。モビリティ・エネルギーの領域の相互乗り入れが発生している状況を踏まえ、事業領域を整理したカオスマップ「EVX(呼称:EVトランスフォーメーション)」において、本日はその中でもEVフリートマネジメント事業の部分をテーマとしたことについて解説しました。

その後、横山はEVX領域の事業開発について、「自社のコアアセットを見極めながら、EVXのどこの領域からどこの領域まで事業を展開していくのかを検討していくことが重要」と参加者の皆様に筋道をお伝えしたうえで、「EVフリートマネジメントの領域においては、キャッシュレス戦争と構図が非常に近似している」と語りました。

キャッシュレス戦争における本質は購買情報の争奪戦であり、EVフリートマネジメントの領域も本質的には同じだからです。EVフリートマネジメント領域の事業の発展可能性は大きく分けると2つ存在し、1つはデータ活用による最適化提案であり、本日特にCUBE-LINX社がご紹介くださったモデル、もう1つは蓄電池の電力調整力の確保、いわゆるVPP(ヴァーチャルパワープラント)構想です。

横山は「自社の事業規模に合わせてどの領域(個別最適・全体最適)・エリアで戦っていくかが勝負の肝であり、ここをまず決め、いちはやく動くことが勝利の条件である」とEVX領域の事業開発の成功要因について触れ、会を締めくくりました。

※VPP(ヴァーチャルパワープラント)とは点在する小規模な再エネ発電や蓄電池、燃料電池等の設備と、電力の需要を管理するネットワーク・システムをまとめて制御するシステムを指す。

■EVX領域のカオスマップおよび各領域の事業紹介資料のDLはこちらから
https://www.libcon.co.jp/abc/download/detail_59/


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