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「EVトランスフォーメーション フォーラム」―LIGAREビジネスセミナーレポート

こんにちは。MaaSHack編集部の中村です。

1月12日(水)、弊社LiB Consultingおよびパートナー企業の株式会社AMANE様の共催でビジネスセミナー「EVトランスフォーメーション フォーラム」を実施いたしました。

本日はセミナーについて簡単にレポートした内容を御共有させていただきます。


今回の「EVトランスフォーメーション フォーラム」セミナーは、弊社が先日発信いたしましたEVX(トランスフォーメーション)のカオスマップのうち、「EV+電力小売り」「EVフリート」「VPP」に焦点を当てた内容になっており、

  • コスモ石油マーケティング株式会社様

  • 富士通株式会社様

  • 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ様

    にご登壇いただきました。

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1.セミナーの概観

セミナーの前半ではコスモ石油マーケティング株式会社様に「EV+電力小売り」事業について、富士通株式会社様に「EVフリート」事業について、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ様に「VPP」事業についてご紹介いただきました。

セミナーの後半では、株式会社AMANEの井上社長から「EVによるバリューチェーンの変革」についてご講演いただきました。

2.コスモ石油マーケティング株式会社様 事業内容紹介

コスモ石油マーケティング様は、コスモホールディングスのうち、石油販売事業を運営している会社様です。

今回ご登壇いただいた吉村様は次世代事業推進部に所属されており、EV関連のサービス開発を手掛けられている方です。

多くの自治体・企業様が、カーボンニュートラルへの取り組みとして「導入を検討はしているが、何をしたらいいかわからない」と戸惑っている現状を打開するためのトータルソリューションパッケージについて、今回はご紹介くださいました。

「コスモでんきビジネスグリーン」・「ソーラープラン」と「コスモのカーリース」・「カーシェア、エネマネ活用」を組み合わせたパッケージプランが今回ご紹介いただいた「コスモ・ゼロカボソリューション」になります。

この「コスモ・ゼロカボソリューション」は、パッケージプランとすることによって様々な便益が相乗効果で得られる仕組みとなっています。今回は自治体様向けのパッケージとしてご紹介いただきました。

①    グリーン電力の導入

政府は2030年のCO2排出量46%削減を表明しましたが、国内の再エネは現在18%の状況であり、再エネ電力の供給不足が今後予想されます。このような状況の中で、自治体としての再エネ活用の目標を達成するにあたっては、再エネを潤沢に有している電力事業者を今から選択することが重要です。

②PPAモデルを活用することで、初期投資不要で太陽光パネルの設置が可能

PPAモデルとは自家消費型太陽光発電(Power Purchase Agreement)のことを指し、太陽光パネルをリース化することで、初期投資不要で導入できる仕組みです。 メリットとして下記の3点があります。

  • 太陽光発電の投資が要らない。

  • リーズナブルな料金で再エネが買える。

  • 契約期間中、需要家はノーメンテナンスで使える。

③グリーン電力+EVのセット購入で補助金獲得

今年度からはEV購入に対して補助金がかなり手厚く支給されます。

ただし、グリーン電力+EVのセット購入が条件になっており、今回のコスモ・ゼロカボソリューションの場合は該当補助金が申請可能です。CO2削減・事業用車両のコスト削減・BCP対策にもなるという一石三鳥とも言える仕組みとなっています。

④EVカーシェアリングへの展開により休眠資産も活用

ご購入いただいたEVを常に稼働させるケースは稀で、必ず非稼働時間が存在します。資産の稼働率を上げることで、元手をより取ることができます。
具体的には、下記の2つの方向性が考えられます。

-休日に公用車EVをカーシェアとして開放
休日は公用車EVに乗車する方は基本的にはいらっしゃらないため、カーシェアとして貸し出す方が資産稼働率を高めることができます。

-地元企業と公用車EVをカーシェア
平日においても、公用車EVが稼働していない時間帯は生まれる可能性が高いため、地場の企業様と共有することでも、資産稼働率を高めることができます。


3.富士通株式会社様 事業内容紹介


2番目にご講演くださった金子様が所属する富士通株式会社様では、EVフリートマネジメントのサービスを展開しております。

富士通様がサステナブルな社会を実現するにあたって、モビリティという観点では下記の2領域が重要であると認識されております。

①エネルギーの脱炭素化と産業・運輸部門の電化

②ライフサイクル上の炭素排出量把握~削減/回収/リサイクル(LCA:Life Cycle Assessment)

今回ご紹介くださったのは、上記のうちの①の領域におけるソリューションです。

EV普及にあたっては、「社用車・商用車のEV化と業務運用」の領域がまず市場形成されるのではないか、ということで商用車向けEVフリートマネジメントを現在は展開されております。

上記のようにEV利用者やEVリース提供者のフェーズごとに様々な課題が存在します。富士通様は「バッテリーカルテ」「EV運行支援」機能を核としたEVクラウドシステムをサービスとして提供しております。

上記のEVクラウドシステムによって、充電スケジューリングを実施し、 電欠を防ぐ形で効率的な運行+充電計画を策定することができます。


また、『将来的なカーボンニュートラル・持続可能社会』に向けた富士通様のMobility×エネルギービジョンについてもご共有いただきました。

「電動化」の重要ファクターである「バッテリー・EV・エネルギーデータ」をベースに各プレイヤーを情報で繋げて価値を生み出すことを構想されており、ステップバイステップでデータ活用を通じてゼロカーボンシティに近づいていくことを計画されております。

4.株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ様 事業内容紹介


株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ様は、エネルギーを「創る・繋ぐ・減らす・活かす」ソリューションを統合的に提供しており、様々なエネルギー関連事業を営んでいらっしゃる会社様です。

現在、気候変動をはじめとした外部環境変化の中で電力システムが従来型の「集中一方向モデル」ではなく、次世代型の「分散双方向モデル」への転換が求められております。

一方で、分散双方向モデル実現にあたっては、「再エネが天候により発電が不安定」「需要側も含めたレスポンスが不可欠」という2つの課題が存在するが、解決にあたってはデジタルを活用し、需給一体となった新しいプラットフォームが必要になってきます。

そのソリューションが、今回ご紹介いただいた「R.E.A.L. New Energy Platform®」です。いわゆる商用VPPプラットフォームで、需要家側法人や家庭と供給側である発電事業者をつなぎ最適化するシステムです。

メリットとしては下記の3つが存在します。

  • 太陽光導入量を最大化できる

  • 不安定な太陽光の需給管理を安定化

  • 電力を買う事で再エネ導入に貢献できる

また、スーパーマーケット事業を営む株式会社ヤオコー様と埼玉県にて実施した「太陽光発電と宅配用EVをAIで最適制御するエネルギーマネジメント」の実証実験についてもご共有いただきました。

今回は、ヤオコー社様のネットスーパーの配送車両のうち1台をEV化する取り組みで、AZAPA株式会社と連携してダイハツハイゼットカーゴをEVに改造し、実証されたとのことでした。

5.株式会社AMANE 井上社長 ご講演


最後に、株式会社AMANEの井上社長に「EVによるバリューチェーンの変革」についてご講演いただきました。

EVというテーマでバリューチェーン変わるのは主には下記であるとご解説いただきました。

①商用EVが中国から参入してくることによるバリューチェーンの変化

②EVのフルメンテナンスリースモデル販売

→販売時の車両価格がどんどん下がっていく状況が予想され、残価設定は難しいため、フルメンテナンスリースのモデルでの販売となり、金融商品としての観点でみると電気代や賃貸住宅とセットの販売も想定されるところです。

③EV製造が主流になることによる、部品メーカーの役割の変化

④エネルギー×MaaSで、移動+エネルギーのセットサービスが登場

また、新事業としてのVPPやフリートマネジメントシステム、EVカーシェアなどについて改めてご紹介いただいたうえで、モビリティハブについてご紹介くださいました。

モビリティハブとは、モビリティサービスの結節点を指し、将来的には小売りなども含めて様々なサービス提供をできるハブ構想を目指します。

事業者サイドから見ると、充電インフラの設置に際してはコストが高いので、様々な付加価値を同一の土地に更に乗せたいというニーズが強く、不動産会社等から注目されています。

物流の拠点として軽貨物の集配所としての利用なども検討されており、近年、軽貨物のギグワーカーも増加しているため軽貨物EV向けサービスの需要も高まる可能性があります。

6.総括


セミナーの終わりに、弊社LiB Consultingの横山が全体を総括しました。

昨今のモビリティ・エネルギーの領域の相互乗り入れが発生している状況を踏まえ、事業領域を整理したカオスマップ「EVX(呼称:EVトランスフォーメーション)」において、前回のフリートマネジメントセミナーに引き続き、今回は複数の事業領域について各社よりご紹介いただきました。

市場が拡大する中で、どのような領域に参入すべきか、参入する際にどのようなアセットを自社が保有していて、どのようなアセットを確保する必要があるのかを明確化していくことが重要であると述べ、会を締めくくりました。

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