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一人暮らしの80歳が、「みんなのおばあちゃん」になるまで。

こんにちは。川上真生子(かわかみまきこ)です。

キッチハイクという会社で、みんなの食卓というサービスを作っています。(『みんなの食卓』については、この記事もどうぞ。)

(2020年1月追記)
『みんなの食卓』は、2019年7月をもって残念ながらサービス終了となりましたが、ヨネばあちゃんの手料理が食べられるイベントは今も開催されています。


所沢に、「ヨネばあちゃん」と呼び慕われている80歳の女性がいます。都内から電車とバスを乗り継いで1時間以上かかる場所にもかかわらず、ヨネばあちゃん会いたさに訪ねる人が続出しています。

今回は、『みんなの食卓』の最高齢のCOOKでありながら、ニコニコ笑顔で多くの人を惹きつけてやまない、彼女のことを書いてみたいと思います。

彼女が『みんなの食卓』と出会ったのは、今から半年前のこと。もともと人と接するのが大好きで、近所のお友達を招いてもてなすことも珍しくないそうですが、ご主人亡きあとは、ひとりで食事をとることが多くなっていました。

娘のアユミさんと二人三脚ではじめた『みんなの食卓』。

きっかけは、娘のアユミさんでした。

もともとアユミさん自身が自宅開催を検討していたものの、ペットがいるのでどうしようかなぁ、という話に。
冗談まじりに近くで一人暮らしをしているお母さんに相談したら、うちを使っていいよ、と二つ返事で了承してくれたとのこと。トントン拍子に話が進んで、「所沢のヨネばあちゃん家」が誕生しました。

料理はヨネさんが準備して、参加者との予約のやり取りなど、ネット周りはアユミさんが担当します。母娘の共同作業です。

▽これまでの開催記録

「おばあちゃんち」の要素が詰まった空間に、心安らぐ。

私も、遊びにおじゃましました。バスを降りたら、そこで待っていてくれたアユミさん。はじめての街で、日も暮れて心細くなっていたところ、実家に帰ってきたような安堵で包まれました。

玄関に飾られた招き猫、畳の居間、お仏壇、使い込んまれたちゃぶ台に、ちょっぴりレトロな食器。「おばあちゃんち」の要素が凝縮された空間に、ますます心が緩んでいく私。ヒマワリみたいな笑顔がそっくりの、ヨネさんアユミさん親子に迎えられ、すっかり親戚気分です(笑)


『みんなの食卓』では基本的な献立は決められているのですが、食卓いっぱいに並んだお料理は、どうみても品数が多いみたい……?聞くと、ヨネさんがすっかり張り切って、得意料理を追加で作ってくれたとのこと!

ポテトサラダ、お味噌汁、食後には自家製のゆずジュースにフルーツポンチ、そしてなぜだかゆで卵(ヨネさんちでは定番らしい)。「家庭の味」をぞんぶんに楽しめる、贅沢な食卓でした。

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右から、ヨネさん、アユミさん。左は私と見せかけて別の人です(笑)

130年続くぬか漬けが登場。

そして驚くことに、ここには明治時代から代々受け継がれてきたぬか漬けがあります!
ヨネさんが若かりし頃に親から受け継いで、絶やさず手をかけてきたぬか床。アユミさんいわく、あまりに当たり前にあったから気にも留めていなかったけれど、この『みんなの食卓』がきっかけで、価値を再認識したのだとか。こんなに貴重なものが日の目を浴びずにいたなんて、勿体なさすぎて信じられません。

私も含め、行った人が口を揃えて「ぜひ行くべき!」と言うので、キッチハイクの中で口コミが広がり、訪れる人が増えています。

今日は遠足気分で所沢のみん食へ。
所沢のおばあちゃんち、というその名の通り、かわいらしいよねおばあちゃんと向日葵のように明るく爽やかなあゆみさんが迎えてくださいました。すっかり涼しくなった気候も手伝って、ごはんを食べる和室はエアコンいらず、途中から梁に取り付けられた扇風機を回す程度で快適〜本当におばあちゃんちに遊びにきた気分になりました!
80歳には到底見えない、元気いっぱいのよねちゃんがお茶を入れている姿に、今は亡き自分のおばあちゃんの姿が重なってちょっとうるっときたりもしてました(笑)。また遊びに行かせていただきます♪ありがとうございました〜!!

こんなレビューがたくさん届いています。

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参加者から投稿された写真。アユミさん手描きのポップが可愛い。

生きてて良かった・・・ 『みんなの食卓』が生きがいに。

『みんなの食卓』を通して、いろんな人とのつながりを楽しんでいるヨネさん。アユミさんの代筆で、こんなレビューを寄せてくれました。

今日は若い人達に80歳のお誕生日を祝っていただきました。本当に嬉しいです、生きてて良かった〜😄

まだまだ元気で キッチハイクのごはん会を続けていきたいです。
みなさんが来てくださるのが 本当に幸せ。ちょっと遠いけど、是非 所沢のばあちゃん家へいらしてくださいね。

「生きてて良かった」だなんて、そんな嬉しい言葉はないですよね。お母さんにこんな機会を作った、娘のアユミさんにもホロリとしてしまいます。

『みんなの食卓』がきっかけで、料理をふるまうことにハマっているヨネさん。最近は、献立が決められている『みんなの食卓』の枠を超え、オリジナルの田舎料理をふるまう、こんなイベントも登場しました。

ヨネさんファンや、噂を聞きつけた人たちがすかさず予約を入れて、1ヶ月以上先ですが、あっという間に満席になりました!

第2弾もさっそく公開されています。

(2020年1月追記)
ヨネさんのオリジナル田舎料理はその後も人気を博し、すでに30回を超えるイベントが開催!以下のページからイベントをチェックできます。
https://kitchhike.com/portfolios/5b026db9528beb63828834aa


その家のストーリーに出会える面白さ。

『みんなの食卓』のプラットフォームを使うと、出会うはずのなかった人たちが知り合い、家族のような交流が生まれます。

家という閉じられた空間をパブリックにすることで、外の人の視点から、その家のもつ価値が引き出される。ヨネばあちゃんのぬか漬けはその一つの例です。

そして、そんなドラマが、他のいろんな場所でも生まれています。

▽『みんなの食卓』開催マップ(2019年7月サービス終了)

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