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はじめまして、訪れてくださりありがとうございます!主に、詩、小説、絵本や日常の文章など…

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はじめまして、訪れてくださりありがとうございます!主に、詩、小説、絵本や日常の文章などを載せていきたいと思います。楽しんで書いていけたらと思いますので、良かったら読んでいただけたら嬉しいです✨

最近の記事

ループ

世界が私から離れてく そんな気分になるのは 大抵夕暮れ 私はザラザラとした質感になって 自分が気持ち悪くて 人間でなくなるのではないかと 怖くなる あと少し、もう少し待てば 世界が元通りになると どうにかやり過ごす日々は 涙で錆びついていく正円 ※画像はyusuke Tatsumi様の作品を使用させていただきました。素敵な作品ありがとうございます。

    • 嘘月

      まんまるの月に あなたの幸せを祈る 嘘つきな心がズキンと痛む 活躍するあなたは 私のことを忘れてしまうでしょう? 狼が乗り移って 下心でも、思い出してくれたらいいのに かりそめの情でも 抱かれたいと 叶わぬ夢を見るのです ※画像はK様の作品を使用させていただきました。素敵な作品ありがとうございます。

      • 追悼

        空が泣いている 大粒の涙が屋根を打つ あなたが旅立ったことが 辛いと 悲しいと こんなにも愛され たくさん困難を抱えても 自分らしく笑っていたあなたと この世で会えて嬉しかった あの世でもたくさん笑って 愛されてくださいね 雨に紛れるように しずかに しとしとと 泣かせてください ※画像は「モリコハル」様のイラストを使用させていただきました。素敵な作品ありがとうございます。

        • フルーツサンドの天使、あるいは㉑

           あれから5年が経った。 僕は今秋、岡崎まきこと結婚することになった。  一度街ではるかを見かけたことがある。 3歳くらいの子供を連れて歩いていた。一瞬混乱したが、子供の大きさから新たなパートナーとの子どもだろう。  彼女はあの時と同じように、透き通るような美しさだったが、目は「どこか」ではなく、この世界をしっかり見つめていた。  周りを包み込む柔らかなオーラは明らかに大きくなり、彼女そっくりの小さな娘を温かく包みこんでいた。  今でも僕は金曜日にフルーツサンドをひとつ

          フルーツサンドの天使、あるいは⑳

          ※今回の内容は、妊娠、堕胎に関する辛い表現を含みます。おつらい経験のある方、受け入れがたい方はご自身の判断で閲覧の可否を決めていただけたらと思います。 ※出産、妊娠についての考え方を問う記事ではなく、小説として、出来事の一つの側面を記したものです。 (本文)  駅の南口で待ち合わせ。20分前についた。  はるかの姿は見えない。  いつもの場所、いつもの風景なのに、みんなが自分のことを見ているように感じた。あいつは、最悪なやつだと、彼女を捨てたやつだと、罵倒されているような

          フルーツサンドの天使、あるいは⑳

          フルーツサンドの天使、あるいは⑲

           これまで、はるかと喧嘩することなどなかった。  少し険悪な雰囲気になることはあったが、時間が経った頃に、恋しくなって連絡をして、彼女も、何もなかったかのように対応してくれた。 僕が拗ねて連絡しない場合もあったが、その時にははるかから何気ない連絡が来て、自然と元の関係に戻っていた。  しかし、今回ばかりは、明らかに「少し険悪」の範囲ではなく、あやまらなくては、と思いながらも、先延ばしにしていた。今までどおり、僕のことを許し、癒してくれるのではないかと、どこか甘えもあった。

          フルーツサンドの天使、あるいは⑲

          フルーツサンドの天使、あるいは⑰

          今にも振り出しそうな雨を想像すると、靴の中がびしょびしょになるあの気持ち悪さが蘇ってくる。    休日昼下がりのカフェ・アラートは、ランチ時を過ぎ、気が抜けたような空気が漂っていた。 トイレから戻ってきたはるかが、向いの席に座った。 「素敵なお店でしょ?」 「そうだね」 彼女のほうを見ることが出来なくて、くもり空を見上げ、また靴の中の不快感を思い出した。  「この前ね、この店の前を通ったの」 「……」 「明人さんが居たから、入ろうかと思ったんだけど、だれかとしゃべってた

          フルーツサンドの天使、あるいは⑰

          フルーツサンドの天使、あるいは⑯

           目が覚めると、香ばしい匂いがした。 はるかがキッチンで何かを作っているようだ。しばらくベッドでまどろんでいたかったが、だんだん前日までの記憶が戻ってきて、不快感が身体を包み込んだ。油っこい匂いとともに漂うコーヒーの香りが昨日の岡崎さんの顔と重なる。 最悪だ。僕は自分のことしか考えていなかった。何の覚悟も決めずに、彼女の気持ちなど考えもせずに、ただ心を満たしたいがために彼女を呼び出し、傷付けた。 ――先輩にとって、あれは間違いだったってことですよね―― あれは本当に間違いだ

          フルーツサンドの天使、あるいは⑯

          フルーツサンドの天使、あるいは⑮

           岡崎さんは午後9時を過ぎた頃にやってきた。 「ごめんなさい、思ったより時間かかっちゃって」  息を切らせてやってきた彼女だが、いつもの明るい声色で話すから、ほっとした。 「今日の取引先との仕事?」 「そうなんです。今日企画案の説明に行ったんですけど、結構ダメ出し多くて。今週中に修正して持っていかないといけないんです」 「そうなんだ。外部とのやり取り多くて大変だね」 「忙しいですが、企画の仕事やりたくてうちの会社入ったので、楽しいですよ」 そういって、鈴のように笑う。 そ

          フルーツサンドの天使、あるいは⑮

          フルーツサンドの天使、あるいは⑭

           「お前、結婚するんだって?」  時間帯がずれ、ガランとした社食。 席に着いたとたん、宮島がニヤニヤしながら近づいてきて隣に座った。  はるかとの婚約についてはまだ会社に報告したわけではなかったが、班の飲み会で話したことがちらほら広まっているようだった。宮島には、改めて話そうと思っていたが、このところお互いに予定が合わずにいた。  「まだちゃんと決まったわけではないんだけど。まあ、もう付き合って五年も経つし、そろそろかなって」 「なるほどね。これから一生フルーツサンド食

          フルーツサンドの天使、あるいは⑭

          フルーツサンドの天使、あるいは⑬

           それからの一週間は、気が気ではなかった。    仕事の間は集中しようと、いったんスマホを鞄にしまう。 が、やはり気になり、5分後には取り出して内容を確認する。はるかからはたまに日常の何気ないメッセージが届くが、一向に受診結果についての報告がないまま金曜日となった。  岡崎さんとはその週、会うことはなかった。宮島によると長期の出張に出ているようだ。 正直ほっとしていたが、なぜ言ってくれなかったのだろうと怒りのような感情も沸いてきた。はるかのことも、岡崎さんのことも気がかりで

          フルーツサンドの天使、あるいは⑬

          フルーツサンドの天使、あるいは⑫

           弁当を食べた後の公園散策は、ピンクのコスモス畑。 はるかが楽しそうにはしゃぐ隣で、なんとなく相槌を打ちながら過ごした。  家に帰ると、くたくただったが、頭が冴え渡り横になっても眠ることが出来なかった。彼女がコーヒーを入れているのを横目で見ながら、次受ける資格試験の参考書を眺めていた。 「明人さん」 「はい、何?」 「ううん、なんでもない」  やっぱり、今日のはるかはおかしい。いつものかみ合わなさではなく、何かをちらつかせながらも確信をつかない。 昨日のこと、問いただした

          フルーツサンドの天使、あるいは⑫

          フルーツサンドの天使、あるいは⑪

          弁当の中身はミートボールだった。  「ごめんね、昨日仕事でトラブルがあって、遅くまで会社に残ってて、それで今日寝坊しちゃった。」 約束の時間より1時間も送れて待ち合わせ場所に現れた僕に、はるかは不思議そうな顔を向けたが、怒らなかった。    「昨日、何時くらいに帰ったの?」  「11時くらいかな?結構遅くまでかかって、まいったよ。」  「大変だったね。眠いでしょう?」  「大丈夫、ピクニック楽しみで、仕事頑張れたんだから」  とってつけたような自分の言葉に内心ひやひやした

          フルーツサンドの天使、あるいは⑪

          フルーツサンドの天使、あるいは⑩

          3人の時間はすぐに過ぎた。軽く飲んで帰るつもりが、日をまたいでのお開きとなった。飲みすぎてつぶれた宮島を居酒屋から担ぎ出し、待っていたタクシーに詰め込んだ。  「さて、どうしよう、岡崎さんは中野方面だっけ?」  「先輩…、ちょっと、私気分が悪いかも。」  岡崎さんはふらふらとしゃがみこんだ。顔が明らかに青白くなっているのがわかった。そういえば、彼女は酒に弱いといっていたが、今日は結構飲んでいた。  とりあえず、運転手に宮島の家を説明して先に行かせ、彼女を近くのベンチに誘導

          フルーツサンドの天使、あるいは⑩

          フルーツサンドの天使、あるいは⑨

           「岡崎さんは、どのくらい彼氏いないの?」 「私、実は1ヶ月前に彼氏と別れたばかりなんです」 「本当に最近だね。何で別れたの?」 「振られたんです。他に好きな人ができたって。その子が大学時代の私の友達で。最悪ですよね。」 「それは…災難だったね」 「その子、なんかつかみどころがないと言うか、ふわふわした雰囲気で、なに考えているのかわかりにくいタイプなんですよね。男の人って、何で不思議ちゃんが好きなんですかね」 いつものあっけらかんと明るい発言とは違って、ふてくされているような

          フルーツサンドの天使、あるいは⑨

          フルーツサンドの天使、あるいは⑧

          明日は、はるかとピクニック。 仕事は予定通りで、万が一呼び出しがかからないように、ピンチヒッターを同僚に頼み、準備万端だった。 のはずが…トラブルがおこった。 パソコンのサーバが急に接続できなくなり、部署内が大混乱となった。理学部だった僕は、得意というわけでもないのに、パソコン関係の担当であり、トラブルシューティングは暗黙の義務だった。お願いだ、直ってくれと願いながら必死に作業に当たったが、就業時間になっても事態は収束せず、残業してサーバ復旧作業を進めた。結局、目途が立っ

          フルーツサンドの天使、あるいは⑧