大学院の研究生を志望される方へ(特に日本語・日本語教育系)

大学院担当をしていると、たくさんのメールが来ます。それは「先生の研究生になりたいです」というメールです。関心をもっていただくことはありがたいのですが、その多くは的外れなもので、返信をしないことが多いです。

しかし、研究生になりたい方は必死なのだろうと思います。そこで、私が、こういう学生なら見込みがある、と思う傾向を下に書きたいと思います。

★履歴書と研究計画書がきちんとできていることが前提です。

<なぜ自分がそのテーマに興味があるか、十分に説明できている>

 一番大切なのは、テーマかと思います。よい研究テーマをもっていると、私はかかわりたくなります。いろいろなテーマ希望の方がいますが、どこか流行に乗っているようなテーマの方、志望教員の専門に寄せて書いているだけの方などが見られます。面接してみると、全くそのテーマについて説明できず。自分で書いたのだろうか、と疑われる人もいます。本当に自分の中からでてきたテーマは、説明の具体性や問いの説得力が違います。そして、本当に興味があるかどうかは、見ていてわかります。そのテーマに使命感をもっていたり、楽しそうに語っている人をみると、いいなあと思います。

<なぜ自分が大学院にいきたいか、十分に説明できている>

 なぜ大学院に行きたいのですか?ときくと、かなり多くの学生が「親のすすめ」で大学院進学を考えています、と答えます。また、就職に有利であるということで、修士号・博士号の資格取得の手段として日本の大学院への進学を希望している人もいます。そのこと自体は、否定されるものではありませんが、学習意欲、研究意欲というものは、自発的なものでなければ、継続しません。そして、興味が別にところに移り、なんとか修士号をとっても、別の道に進みがちです。それは、一生懸命指導している教員にとっても残念なことです。

よく、「自分は明朗活発な性格で・・・云々」と自己PRを書いてこられる方がいますが、こうした説明は全くアピールになりません。それは、修士での学習に関係が薄い情報ですし、メールの文面からだけでは、これらの人物説明の真偽判断ができません。

むしろ、なぜ自分はこのテーマに興味があるか、なぜ自分は日本語・日本語教育の大学院に興味をもつようになったかをエピソードと共に書いていただいたほうが、ずっと、人間性をみることができます。

<希望する先生の論文をほとんどすべて読んでいる>

おそらく、いろいろな大学のいろいろな先生にコピーペーストで依頼メールを送っているのだろうと思います。そのため、分野だけで志望先を選んでおり、先生の研究内容についてきちんと理解していないように思います。

自分が何に興味があるかをしっかり考えれば、領域は絞れると思います。そしてそこから論文を読んでいけば、興味の沸いた論文に同じ先生の名前がでてくるのではないでしょうか。そうすると、今度は人にフォーカスして何本か読んでみてはいかがでしょう。

少なくとも、私が在職する大学院の修士課程というのは、コースワークだけでなく、自分の研究テーマをもってオリジナリティのある修士論文を書くことを期待されます。また、私は研究者の育成にも力を入れているため、在籍中に必ず研究会や学会発表を課しています。さらに、研究会の主催も多いため、研究会の実施運営にも興味がある方のほうがいいだろうと思います。

そのため、このような私と研究活動がしたいかどうかをきちんと見極めていただきたいです。研究は自分でするものなので、概ね専門が似通っていれば、先生はよき聞き手、支援者でもよいのかもしれませんが、効果を最大化させるためには、本当は指導教員と研究領域が重なり、協力的、対話的に研究活動ができるほうがいいと思います。

そのため、先生の論文はきちんと読んで、もっとその先生と議論がしたい、先生の追いかけている研究テーマを自分も研究したいと思う先生を指導教員として希望したほうがいいと思います。

そのときに注意してほしいのが、「責任著者の学術論文を読む」ということです。多くの希望者が「先生の論文を読みました」という時、その論文は、First authorではないものが多いです。さらに、インターネットでも読める紀要論文や学会の予稿原稿などが多いです。これらも私が関与したものには違いありませんが、別の人がメインで書いたものです。そのため、単著があればまず単著を、そうでなければ、共著で、一番左側にその先生の名前のある論文を読んでほしいです。そして、学会誌などの学術雑誌の論文にアクセスしてほしいです。

<先生の論文の良い点と課題について、要約し、感想が書ける>

先生の書いた論文について、要約し、感想が書けているといいと思います。きちんと要約ができていると、論文を理解する力がある、優秀な学生だと思います。その感想が的外れであっても、きちんと自分で考えたのだとわかることが重要です。もちろん、その感想がどれだけ的確にかけているかは、今後の研究生活を占う上での重要な手がかりとなります。

<先生が発表・企画する研究会に出て、先生にコンタクトをとっている>

海外からアクセスする人には難しいかもしれませんが、できればやってほしいことが、先生に実際に会いにいくということです。おそらくどの先生も一年間で数回は発表していると思います。インターネットで名前を検索すればプログラムに名前が載っていることがあると思います。そのとき、その先生の発表を聞きにいくといいと思います。そして、実際に本人と本人の研究内容をみることで、本当にこの先生のところで指導を受けたいか、よく考えることができると思います。

私自身、3か月に1度、オンラインでのオープンゼミを行うことを計画しています。こうしたオープンゼミで、私自身の興味関心を話そうと思いますので、それによって判断してもらえればと思います。

研究生になりたい方にとって良い出会いがありますように!



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研究とアートの間に生息
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