サイクリストは観光の潜在顧客層になりうるか

こんばんは。観光ライターのMasanoriです。

来月7日の二度目の緊急事態宣言解除を見据え、GoToトラベルの段階的再開などが話題になっています。GoToトラベルの影には、あまりクローズアップされずに各地で停止になっているGoTo商店街イベントなんかも控えているので、一斉に解除することによる観光客集中の懸念が指摘されています。

しばらくはマイクロ＆少人数ツーリズムか

GoToトラベルがピークの頃は、ANAのダイナミックパッケージを何度か利用しましたが、基準便の乗車率がほぼ満席でした。なので安くなる分、追加料金を支払って便を変更したりしましたが、これまで通りなら、おそらくANAやJALが就航している国内のエリアを中心に観光客が戻るでしょう。
※GoToの恩恵を最大限受けるため。

・ANA トラベラーズ GoToトラベルキャンペーンサイト
URL：https://www.ana.co.jp/ja/jp/domtour/go_to_travel/

しかし、いぜんとして飲食店には時短を要請とのことで、表向きは企業も個人も大勢集まっての飲み会などは自粛せざるを得ない状況が続きます。旅行においては、“中途半端な距離”（飛行機で行くほどでもなく車で行くには面倒な距離）を敬遠されるようになり、GoTo恩恵を受けるための遠出か、マイクロツーリズムのそれぞれ両極端な方向に寄っていきそうな気がします。後者においても、グループでは女子会以外はあまり目立たず、ソロ旅か、DINKs夫婦のみ、という小規模単位での旅行シーンがこれまで以上に増えると考えています。

じわじわ浸透しつつあったスポーツツーリズム

スポーツツーリズムとは、観光庁が平成23年に「スポーツツーリズム推進基本方針」としてまとめていますが、プロ野球やサッカーなど「観るスポーツ」、そしてランニング、ウォーキング、サイクリングなど「するスポーツ」、地域に密着したスポーツの推進「支えるスポーツ」として分類されています。今回テーマに選んだのは、2番目の「するスポーツ」です。

ランニングとサイクリングは需要が高い

実際に、コロナ禍前、各地に取材招聘された際には、確実にアクティビティとしてスポーツ項目が入っていました。海辺のエリアではシーカヤックやシュノーケリングなどマリンスポーツ、高地ではトレッキングなど。しかし、観光客視点では、機材やルールなどがあって、講習を受ける必要があるものは、おそらく実施までのハードルを高く感じているはずです。ここにも、前述の“中途半端”が関与しており、1泊や2泊しか滞在しない場所で、わざわざ講習を受けるという手間を時間のロスとしてネガティブに捉えます。
そのため、原則的には必要な機材をレンタルだけした後は、観光客自身の行動に委ねることができる、自由度の高いランニング、サイクリングといったものが好まれる傾向にあります。

以下は、Cyclistが昨年、n数約4,000人に対しておこなった、アンケート結果です。（出典：https://cyclist.sanspo.com/513499）ランナー人口はいわずもがな、サイクリストも首都圏を中心に人口に比例して割合が多いことがわかります。

また、サイクリストの職業としても会社員が最も多くを占めるなかで、単独で8.5%の公務員が挙がっていることも特徴の結果となっています。ガチ層、ライト層も含め、潜在ターゲット層は、“いつかはしまなみ海道”という憧れを抱きつつも、輪行するほどの情熱はなく、健康的に旅行先でライトなスポーツを楽しみたい、という層です。普段会社勤めで運動不足を気にしている方が大半なので、ガチ向けではないことが重要です。

ランナーに関しては、自分自身も何年もジム通いしており、トレッドミル（ランニングマシーン）でのランも習慣化していますが、取材先でも早朝ランニングを積極的に実施しています。おすすめのコース（歴史や史跡を巡れたり、景勝地がゴールにあったり）があれば基本的には走りにいきます。距離はガチ勢ではないので、5km～12kmぐらいの範囲で十分かなと思います。どちらかいうと、広範囲の距離を巡ることができて、途中の立ち寄りも容易で、性能差に大きな開きがない自転車での観光スポット開発やモデルプランに着手するほうが、アフターコロナは無難と思います。

こちらは自前のロードバイク。ビアンキ乗りです。
NHK BSでたまに放送している番組“ふらっとあの街　旅ラン10km”とか、テレワーク中につい真剣に見ちゃってるんですが、あれはスタッフがいるからこその快適さかなと少し思います。

自転車なら、大きなカメラを肩にかけようとも、バッグを背負っても、そんなに苦ではないので、ゆったりと旅先をポタリングするには最適です。