ヒナゲシに砌と騙る万愚節

どこに書こうか彷徨ったけどここがあったね。

2018年の4月1日はいやに暑い日で、花見の帰り道、3月が終わったばかりだというのに早々に咲き始めたナガミヒナゲシを見かけた。

私はナガミヒナゲシが好きだ。あの優しい色で、静かに何もかもを塗り潰していく暴力性が。

私はエイプリルフールが嫌いだった。"今日誕生日なんだ"と言っても、"はい、ウソー"と流されてしまうから。

私は22歳になった。なってしまった。今頃かつての同級生は新社会人をやっている。そう他人を気にする質ではないが、それでもこういう節目には、己の駄目人間具合を顧みてしまい気が滅入る。

車窓から珊瑚色が見えたのはほんの数秒だったが、半日見て回ってきた桜よりも、酷く鮮明に記憶へ焼き付いた。

下の句がついた。

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