見出し画像

過去のレイプが私をつくる①


わたしの初めてのセックスは

知らない人からのレイプだった

 




中学3年生のとき、私には恋人がいた。


同じクラスの仲の良い男子。

しかし、

高校に入ってすぐに私から別れを告げた。


別れた理由は、
年頃の女子にはよくありがちな


性に対する嫌悪感だった。


思春期の男子は、興味だけで抱く「やりたい」

という感情を誰ふり構わず剥き出しにし

精神的にも身体的にも迫りくることがある。



彼が私に対し好意を寄せてくれたことは
とても感謝していたが、

そんな未熟な感情で抱く憧れや興味だけの

対象にはなりたくはなかった。


彼に身体を求められたとき
そこに愛を感じることはなかったこともあり、
心と身体を委ねられるほど
当時、それほどその人のことが
好きではなかったのだと思う。




ことが起きたのは、別れてからすぐのこと



下校中、一人で自転車を漕いでいると
通りすがりの若い男性が声をかけてきた。

引っ越してきたばかりで
道がわからなくなったから
教えて欲しい、と
そのまま住宅街を自転車を押して一緒に歩いた。


年齢は、20代半ばくらいだろうか。
今考えると、
年齢のわりには地味な人だった。



しばらく歩くと会話が弾むようになり、
気がつくとその人の家の前にいた。



「せっかく仲良くなったから
お茶でもしていきなよ。」


そんな言葉を断る理由もなく、
警戒もせず家に上がり込んでしまった。




初めて男性の一人暮らしの家に入った。
嗅いだことも無い色気のある香水の匂い

男性特有のシンプルなワンルームで、
シックな色で統一された部屋の中央には
大きなウォーターベッド。


ドキッとした


「あ、やばいかも…」と思った時には
もう遅かった。


その瞬間に押し倒され口を塞がれると、
すぐに制服のスカートの中に
男の人の手が入ってきた。

上はワイシャツ1枚、
直ぐに手が伸びてボタンを取られた。


男の人はニンマリしながら馬乗りになり


「逃げたら、どうなるか分かってるよね?」
と耳元で囁いてきた。





あー

もう、だめだ
殺されるかもしれない…


そこで一瞬、

ベッドに横たわる、死んだ目の母が脳裏をよぎった


━━そうだ
私は今まで悪いことをしてきた
いけない子だったんだ。

どうせダメな人間だから
どうなってもいいのかもしれない


私がここでどうなっても
悲しむ人は誰もいない…




と思うと、一気に身体の力が抜けた。
私はそのまま無抵抗を貫き、目を瞑り、
ことが終わるまで必死に耐えることにした。



これがわたしの、初めてのセックスだった



その後のことは、あまり覚えていない



行為後は、下半身に感じたこともない

刺されたような、切り刻まれたような痛みを覚えた。


出血もしていたが直ぐに着替え、
男がタバコに火をつけたあたりで
ぐしゃぐしゃになった制服のまま
家を飛び出していた。




私にもっと危機感があり
自尊心があったなら、この男を無視して
声を上げ、早くに逃げることが
出来ていたのかもしれない。



ただあの頃、

母の苦しみや他人の痛みに比べたら
私の痛みなど、本当に小さなことだと、

自分の感情を押し殺し

必死に我慢していた自分がいた。




━━━━━もしもあの時、
私が誰かに話せる勇気があったら

なんでも話せる母に
泣きながら打ち明けることができてたら

私のことを本気で思ってくれる
誰かに出会えてたら

「我慢しなくていいんだよ
自分を大切にしていいんだよ」

と、抱きしめてくれる人がいたら
未来は変わっていたのかもしれない






✱ ✱ ✱


この過去は、未だに両親にも今の夫にも
話していない。
一生をかけて隠し、

あの時の判断を罪として自分に謝罪し

そして何度も忘れようとしたが
それはもうできないほど、私の脳裏に
こびりついた記憶。



だからいっそ、この記憶と
これからも一緒に生きていこうと

今は心に決めている。





ただ、そんなショッキングな事件が起きても
何故かわたしは、当時その瞬間

笑っていて、少し嬉しくて
いま思い出しても変な懐かしさを感じる


怯えるほど怖くて痛くて、
これ以上の苦しみはないと
その時は思っていたはずなのに
行為の後も、私はその男の前で
笑顔を振舞っていたのだ。




あの時、あの瞬間から私は、

身体だけでも求められること、
誰かの欲求を満たす存在

悦びを感じるようになっていったのかもしれない

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?