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「『テロ』なのかどうか二分法では論じられない」日本語探偵|飯間浩明

国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。

【て】「テロ」なのかどうか二分法では論じられない

安倍元首相銃撃という衝撃的な事件の後、「この事件はテロか、テロでないか」が議論になりました。事件直後に「卑劣なテロを糾弾する」との社説を載せた新聞もあれば、容疑者には暴力で社会を変える政治的な意図がないとして「テロとはちょっと違うと感じる」と述べたテレビコメンテーターもいました。

この事件がテロであるかどうかで社会的・政治的意味がどう変化するか、私には分かりません。ただ、辞書を作る立場として、議論を追いながら、ある違和感を持ちました。というのも、「テロの定義はこうだから、これに当てはまらない事件はテロではない」のように断定する発言が複数あったからです。

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