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資本主義や営利主義を否定する福祉ワーカーへの違和感と精神福祉のアップグレード

初めましての方は初めまして。
僕は地域活動支援センターで所長見習いをやっています。こちらは精神疾患や精神の病気を持っている人たちの日中作業・交流の場所や地域のボランティアさんの育成を目的とする社会資源です。

よく就労継続支援A型・B型と比較されて、何が違うの?と、言われてますが、A型・B型は将来的な就労を目指していて、年間計画も立ててくれたりします。

地域活動支援センターでは就労を目的としていないので、とてものんびりした雰囲気になることが特徴の一つかもしれません。

さて、本題の資本主義や営利主義を否定する福祉ワーカーは結構多いです。
彼らの言い分は、福祉の世界は功利ではない・営利主義の世界にいたストレスも精神疾患・病の元凶とのことらしい。また、あらゆる福祉サービスは無料で受けられることが多いことが説の後押しをしている。
だから、変化しなくても良い。今のままで良い。下手に変えない方が良いという主張である。

しかし、僕は違和感を覚える。

まず、精神障がい福祉の歴史については日本はまだまだ浅く、発展途上であることは間違いないし、諸先輩方はガンガン伸びている時期を過ごしてきているからこのまま何もしなくても良いと思っているのだろう。

本当にそうだろうか???

数年前までは精神の福祉施設は社福やNPOのみだったが今は一般企業も参入できるようになっている。施設を運営する会社や団体が増えているが、人口は毎年100万人ずつ減る見込みだ。
毎年単純計算すれば1%ずつ人口が減るなら、1%ずつGDPが下がり、年収が下がり、税収が下がり、結果として福祉サービスの質も低下するはずである。

10年たてば年収は10%さがり、サービスの質も10%下がることが当然では?と思う。高度経済成長期に、遊ばずに・お金を使わずに勉強したり資格を取ったり新しい挑戦をする人は馬鹿にされたという。

しかし、生き残っているのは変化し続けた会社や組織である。

実際、日本では10年前にあった会社が今の残存している数は全体の約6〜7%であり、90%以上が倒産している。これが普通なのだ。GAFAですら日々進化・成長しているのに、トップにたってもいないのに何も変わらない、挑戦しない会社や人が生き残れる世界ではないのだ。

今の精神福祉の業界もここ20年ほどで法律や施設の数がどんどん整備されていって高度成長期だったのではないだろうか?経済的にどうかは置いておいて…。
だから、能動的に良くなろう・変わろうと行動しなくても勝手に良くなって行っただけだと思う。変わろう、成長しようとする人は馬鹿にされて嫌気がさしてやめていってしまうのでは?と思います。
しかし、こうした成長はいつまでも続かないことは歴史が証明している。

そもそも、無料で受けられる福祉サービスを成り立たせているのは資本主義である。
法人税や所得税など営利団体や収入のある人が収めた税金を投下して運営されている以上、資本主義や営利主義を否定することは福祉の財源を否定することになるので本来はできないのでは?と、強烈な違和感を感じる。

一言で言えば、頭ん中がお花畑である。

お金や経済について、正しいかどうかは置いておいて、考えることすらも放棄したお花畑なのである。

繰り返すようですが、今までの精神福祉の業界は何もなかったところから、法律や施設・資格やサービス内容までガンガン成長してきたし、一般企業も参入できるようになって、ますます良くなっていくだろう。

そうしたら、今までのやり方は利用者から飽きられ、選ばれなくなり、衰退していく施設や社福・NPOは後を立たないと思う。

そこで、僕は地域活動支援センターをアップグレードさせていくと決めた。

なぜなら、就労継続支援や就労支援、生活支援事業者にはない、できない地域活動支援センターの強みを活かした方が面白い気がするからだ。

就労を目的としていないから、助成金も補助金もコロナ禍における特別支援も少ない反面、就労を目的としなくても良いと捉えています。

考えてみてください。
就労を目指すということは、新しいビジネスを起こしてはならぬと同義ですし、会社を設立することも、アートなビジネスを目指すことも難しい。
そもそも、そんな新しいビジネスとかアートなんて不安定な職を誰も目指さないし、そんなものが奨励されるとは思えないと感じるかもしれません。

っていうか僕もめざせって言われたら、普通に嫌です。

ただ、ベーシックインカムが導入されたら、多分僕は新しいビジネスかアート系に挑戦すると思います。
だって生活コストは国が保証してくれるし、将来の心配もないし、失敗したって構わない。

これと似た状況にあるのが、地域活動支援センターの利用者です。

障害者年金や生活保護を受けながら生活をしている彼ら彼女らは、それでも社会との結びつきや、やりがいを求めて地域活動支援センターに来ます。
ダラダラ寝ていても良いのにです。

ベーシックインカムを試験的に導入している国や団体のアンケートには必ずと言っていいほど、起業への意欲・つまり新しい価値を世の中に生み出すことへの意欲を問う質問があります。これは、生活と将来の不安が無くなれば新しい文化や新しい価値が生まれることへの期待に他ならない。

だったらそれをやっちゃえばいいじゃん

そしていつか就労継続支援A型・B型の平均工賃の金額を上回ってしまえば面白いと思いませんか?


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