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『風の歌を聴け』 音楽プレイリスト

村上春樹のデビュー小説『風の歌を聴け』に出てくる音楽のプレイリストです。






以下、音楽の記述の、講談社文庫版でのページ数。
曲名が出てきてない場合は、私の好みのチョイスです。


p28
モーツァルト
「正面の壁からはモーツァルトの肖像画が臆病な猫みたいにうらめし気に僕をにらんでいた。」

p32
ラジオ体操のメロディー

p46
ジョニー・アリディ
アダモ
ミシェル・ポルナレフ

p49
ミッキー・マウス・クラブの歌

p51
ブルック・ベントン
「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」

p53
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル
「フール・ストップ・ザ・レイン」

p57
ビーチ・ボーイズ
「カリフォルニア・ガールズ」

p62
ベートーベン
「ピアノ・コンチェルトの3番」
グレン・グールド、レナード・バーンステイン(p66)

p63
マイルス・デイビス
「ギャル・イン・キャリコ」

p64
ハーパース・ビザールの新譜

p70
ボブ・ディラン
「ナッシュヴィル・スカイライン」

p89
M・J・Q

p90
マービン・ゲイ

p92
エルヴィス・プレスリー
「僕たちはエルヴィス・プレスリーの主演映画を観た。主題歌はこんな唄だった。…」

p95
エブリデイ・ピープル
ウッドストック
スピリット・イン・ザ・スカイ
ヘイ・ゼア・ロンリー・ガール

p110
ピーター・ポール&、マリー

p116
マントバーニのイタリア民謡

p144
エルヴィス・プレスリー
「グッド・ラック・チャーム」


ボーナス・トラック
グレン・ミラー
「ムーンライト・セレナーデ」

「『風の歌を聴け』という最初の小説を書いたとき、もしこの本を映画にするなら、タイトルバックに流れる音楽は『ムーンライト・セレナーデ』がいいだろうなとふと思ったことを覚えている(ポートレイト・イン・ジャズ)」





小説の簡単な感想。

おそらく10年以上ぶりに読み返した。
読みやすい。そして、才能があると思った。
だが、鼻につく感じはあった。簡単に女の子とイチャイチャする感じは、シラけた。この感じは、嫌い。
つまり、プラス面とマイナス面、それが今と変わらず、デビュー作で、すでに存在していた。最初から。
そして、一生に一度しか書けないタイプの小説だと思う。
なので、新鮮さと真剣さがあった。
だが、最終的に、手放しで好きともいいがたい。そんな感じ。
くりかえすが、あきらかに才能があると感じた。
なるほど賞を獲るはずだ。


前に読んだときも思ったが、「鼠」というネーミングの意味がわからない。その必然性が。
『風の歌を聴け』の評論的なサイトを読むと、大江健三郎の『万延元年のフットボール』の中に「ネズミ」というワードが出てくるらしい。「ネズミ? その哲学者のあだなもネズミなんだ」という箇所があるらしい。『万延元年のフットボール』、いずれ読もうと思っているが、まだ読んでいないが、タイトルでもわかるように、これは村上春樹の第2作目の長編小説『1973年のピンボール』とそっくりなタイトルだ。村上春樹は、明らかに意識してタイトルをつけているはず。
文芸評論家・思想家の柄谷行人は『1973年のピンボール』は『万延元年のフットボール』のパロディであると指摘しているらしい。


これまで『騎士団長殺し』第1部、第2部、『1Q84』BOOK 1、 BOOK 2 、BOOK3 と村上春樹プレイリストをつくってきたわけですが、デビュー作の『風の歌を聴け』で、すでにこれほどミュージシャンの名前が小説の中に登場していたとは! かなりの音楽好きな作家なんですね。薄い厚さの文庫本なのに、プレイリストは1時間半くらい、26曲ほどになりました。小説を読むのと音楽プレイリストをつくるのとで、ぜんぜん別次元の2種類の楽しみ方ができるのが楽しい。

そして、実はこっちの方がメインなんじゃないかとさえ思えてくる。語られる小説の、外の、音楽たちが。最近ヴィトゲンシュタインを読んでいるんですが、有名な「語りえぬものについては、沈黙せねばならない」の、語りえない部分が、音楽に託されているという感じがする。


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