過ぎ去りし黄金の君
小学生の時、私の夢は姉と同じく「漫画家」だった。
どうして漫画家になりたかったのかと言うと、今思えば「漫画描いて暮らせるなんて楽しくて最高じゃん」くらいの考えしかなかった。それ以外になりたい職業が思いつかなかったのは、漫画家以外どんな職業が世の中にあるのか知らなかった、とも言える。幼稚園児の頃は「お花屋さんになりたい」とか「ケーキ屋さんになりたい」とか言ってたはずだが、小学生時代は漫画としか考えてなかった。何でだろう。
当時私が世界で一番素晴らしい人間だと思っていた(ガチで)姉がノートに漫画を描き殴り始めたのを真似して、私もノートに漫画を書き始めた。ろくに知識の無い忍者のギャグマンガとか、当時「りぼん」ではやっていたキラキラ女子高生の青春ライフものとか。
ストーリー漫画は下手のくそだったが、4コマ漫画は謎の自信を持って書いていた。家にあるゲームの4コマアンソロジーとかを暇な時間に読んでいるうちに、何だか自然と面白い起承転結が描けるようになっていた。ありがとう、「うめぼしの謎」と「すすめ!ダイナマン!」
何故こんな話をし出したかと言うと、最近「考えて躊躇するより、まず行動した奴が成功を収める」みたいな理論をよく聞くからだ。
「行動か~。言わんとしてる事は分かるけど、私人生でそんな事一度も無かったなぁ~。まぁ、なんか性格的には元から慎重すぎるというか、考えすぎる所があったからねぇ~」
と思ってた。
今日皿洗いをしながら、幼いころを不意に思い返していた。学習机に向かって、下手な絵で漫画を描いていた頃だ。
昔はインターネットで気軽に素材集めるなんて事も出来なかったからねぇ。うちはインターネットが導入されても長らくADSL回線だったから、パソコンでインターネットは母の命令であまりできなかったし…。でも持ってる本とか録画素材を良く観て、見様見真似でドラムやギターを書いて、バンドマンの漫画を描いたりもしたわぁ~。ああ、そういやぁ、その漫画も描きたいシーンだけ描いて完結させなかったわぁ…。そう考えたら私結構完結させてない漫画結構あるな…。公表してるものじゃないから別にいいんだけど…設定とかキャラとか世界観とか思いついたらまず描きたくなっちゃうんだよなぁ~。今はそんな勢い無いわぁ~。
……あれ。
それってつまり、「考えるより行動してた時代が私にもあった」って事じゃん。
小説を書き始めてからもそれはしばらく変わらなかった。当時は直筆で書いてたから、まず書きたいイメージやシーンをメモに書き溜める。それを組み合わせて章を作る。
年を重ねるにつれて、色々な事が楽しくなって、日々考える事が増えて、いつの間にかそうした日々がすっかり忘れ去られてしまった。もう思い出すのも難しい、私の中の黄金期。
今年は自信のある4コマでも一本、noteかTwitterで上げてみようか
神からの投げ銭受け付けてます。主に私の治療費や本を買うお金、あと納豆を買うお金に変わります。