見出し画像

亡者と化した僕が視た夏の日の原風景

また、梅雨がやってきた。
きっと今回の"ジメジメくる暑さ"も過酷でしょう。

今年は何せマスク着用必須なので、しんどいに決まってる。
僕にとっては外の仕事が久しぶり過ぎて、しかもクルマ。クルマの中で熱中症にならないか心配です。

皆さんも早いうちから対策する事をオススメします。


さて、いよいよ夏目前。

深緑の季節から梅雨…と言った移り変わりの中で思い出すのは、幼い頃の田舎であり、そしてつい数年前に行っていた仙台の事です。

今回は仙台で、とある場所に行った時のお話し。

画像1


僕は今から約5年前、イベント屋のMCとして仙台へ新規開拓へ行ってました。
その頻度は"毎土日祝ほぼ全て"
ですから大型連休のように休みが連続したら、場合によってはずっとホテル住まい。

そんな生活を2年間ずっとしてました。

その時は結婚したばかりで、2人の将来と子どもの事を考えたかった。
…しかし当のダンナに時間が無いか、居ない。
そして平日は平日で忙しいので帰りが遅い。
そんな社員皆が口を揃える程のブラック企業でした。

…と話すとツラい日々に感じるでしょう。

しかし多忙や労働に見合わない対価、形骸と化している社内制度であっても、接客業特有の"充足感"「使命感」が生活と心身を麻痺させ、ツラさを消し飛ばしてしまうのです。

この時点で僕は、何かに取り憑かれていたと云えます。

東北行きは自ら志願しました。
会社に入る目的のひとつが「イベントのチカラと僕のチカラで応援し、盛り上げたい」だったからです。

プライベートで3.11被災直後にボランティアで地域の皆さんに触れた事があったので、それ以上に何か役に立てないかとイベント屋を選んで心技体を修めていってました。

結果ライバルに打ち勝ってのアサインでした。
ただ、純粋な想いで選ばれた訳ではないと今は思い返すと分かる。

アピールし、ライバルの思考を先回りし、
仕事を奪いクオリティを上げて突き返すような、
明らかに蹴落としにかかっていました。

それはそれで良い、相手もそうしてきているのだから。
そこに何の疑いもありませんでした。

アサイン当初は歓喜したもののフタを開くとあまりに極端で過酷で、何故か転居をさせて貰えず新幹線で通い。
行くのは自分1人ですので設営から運営、撤去に至るまで僕だけ。現地にパートさんがいる訳でもありません。
本来"最低2人でやるものを1人で回さなければいけない苦しさ"

でも達成感、充実感、やりがいを十分に感じ満足してしまうんですよね。
更に1人と言う事は、成功すると全部自分に返ってきます。もちろん失敗しても自分です。

燃え尽きるくらいの意気込みで毎度やってたので比較的盛況だった反面、失うモノも多かった。

いつの間にか僕は「亡者」になっていました。

仕事として結局は「売上」とよく云う。

どんなに凄い事、高尚な事をしても「数字」が伴わない限り意味がない。そんな感じでした。
僕の企画は好評で、いつしか企画部隊のヒットメーカーになっていました。入社2年目の事です。

ホープ、後継者、エース…これまで得られなかった評価と給与。
気付けば身も心もお金に染まって自分の本来の姿に見合わない分不相応な生活をしていながら、疲れている自分が居た。

そんな時、たまたま出張先の合間を縫って出掛けた先が

「仙台市天文台」でした。

「せっかく時間があるなら出掛けてみれば?」
唯一信用と信頼を置く同期からの助言だった。

電車に揺られて行った先は、力強い緑と爽やかな青、そこに、うだるような暑さを伴った場所でした。

画像2

夏の盛り。大音量のセミの声、風に揺れる木々の音。

駅から目的地までは歩いて30分程かかると云うのに、
歩かずにはいられませんでした。

炎天下、しかし田舎道を吹き抜ける風が涼を届けてくれる。そしてふと高架を渡る時に、ある光景を見て目を疑ったのです。

画像3

お分かりになるでしょうか。
…拡大しましょう。

画像4

傍に自転車を停め、側溝で、虫網を持って遊ぶコドモたちの姿。

これを撮ったのは8年程前とは云え「今でもこんな事が出来るのか」と、まるで自分自身も少年期にタイムスリップしたかのような感覚になり、目を奪われた僕は、暫しそれを眺めていました。

郷愁感と一緒に抱いたのは、自己嫌悪。

自分は伸び伸びと生きているのだろうか。

自分の本当の姿とは何だろうか。

自分にとって大切なモノは何だろうか。

…浮かんだのはいつでも支えてくれる奥さんでした。

これではいけない。
この時そう感じ、来年のGW後に辞めよう決めた。

そう、亡者となった僕はこの原風景で生き返る事が出来た。

今、とても大変な時期ではありますが皆さんにとっての原風景、地元に帰らずとも得られるものは必ずあると思います。

コドモだった時のあの夏の一時を思い起こす一助になればと思って書きました。

…この記事、書き始めが5月末頃で、やっと書いたとは云え決してまとまりは無いと思ってます。
熱量を感じてくださったら幸いです。

かつてコドモだったオトナたちへを久しぶりに更新出来ました。

原風景に触れる事は大切ですね。






この記事が参加している募集

熟成下書き

もし良いなと思われたらサポートお願い致します。今後のコンテンツ作成の励みになります!