お茶のいろは。

「京都出身だ。」と人に伝えると、たいていの場合はいくつか京都についてのやりとりをすることになる。昔学校行事で行ったことがあるだとか、おみやげに困らないだとか、そういうなんでもないことだ。

先日、外国人の女性と話をする機会があった。日本の文化や考えかたに興味があるそうで、京都出身だと伝えると彼女は目を輝かせていた。彼女はカバンの中から茶色いお茶の入ったペットボトルを取り出し、「緑茶とほうじ茶は一体どうちがうの?」と聞いてきた。

昔なんとなく人から聞いた話を思い出しながら、「一般的に緑茶と呼ばれているものは煎茶といって、生のお茶っぱを熱処理して乾燥させたもの。ほうじ茶は煎茶や番茶をキツネ色になるまで強火で炒めて香ばしさを出したものですよ。」と答えると、彼女は今度飲み比べてみるわ、と熱心にうなずいていた。

その夜、伝えた話が確かだったか心配になってしまって、日本人の友人に「緑茶とほうじ茶ってどうちがうの?」と聞いてみると、「...色?」と返ってきた。そういうことじゃない。

きっともう、日本のことを好いてくれている外国人のほうが、日本人よりもずっと日本のことをよく知っているんだろう。僕だって京都出身だと言いながら、お寺にもめったに行かないし、歴史や文化にとくに詳しいわけでもない。

せめて自分の生まれた土地や、ふだん飲み食いしているもののことくらいは、話せるようにはなっておきたいとは思うけど、勉強というのもおっくうだから、最近は展覧会なんかでそういう企画が行われていると出かけてみることにしている。

ちょうど少し前に、キリンが「お茶のいろは」という施設を原宿に期間限定でオープンしたそう。今度、行ってみようと思う。

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