見出し画像

心のイス

学生の頃に建築家ル・コルビュジェの美術館や、イスの写真を見たことがありました。
建築家には、建物だけでなく、イスなど家具のデザインもされる方が多くいます。

建物とイス。
ずいぶん離れているもののように感じ、不思議に思っていましたが、大人になってから建築家は利用する人に自身のプロダクトを通してどんな気持ちになって欲しいかまで考えている、一種の”コミュニケーション性”を大切にしているのだと理解するようになりました。

開放的な気分になってほしいのか、ほっと一息ついて欲しいのか、仕事に集中したいのか。このことは、建物のデザインとイスのデザイン、両方に共通することだと思います。

カウンセリングの部屋

私たちカウンセラーは、対面の部屋でカウンセリングを行う場合には、
どんな部屋で、どんなインテリアだと相談に訪れた方が話しやすい雰囲気になりそうか、色々と心配りをしましょうと言われます。

特に、イスという直接体に触れるものは、その形状によって座る人の気持ちが変わってくるかと思います。

硬い直角のイスと、ふかふかのソファ。

どちらを部屋に置くかで、相手は背筋を伸ばして緊張して座るか、それとも、ゆったりと身を預けてリラックスするか、変わってきます。
つまり、部屋に置かれるイスの形状に、カウンセラーが、相手にどのような気分で過ごして頂きたいかの思いが込められているように感じます。

 コミュニケーションと心のイス

カウンセリング・ルームのイスを考えた場合、これは日常のコミュニケーションと通じるものがあると思いました。
なぜなら、相手と会話をすることは、相手を受け入れるための心のスペースを作っていることと言えるからです。
私はこれを『心のイス』と、呼んでいます。

例えば、「こちらが緊張していれば、相手も緊張してしまう」と、よくいわれることですが、これは硬くて背もたれが直角の心のイスを相手に提供しているようなもので、そこに座った相手もリラックスできず緊張してしまう、というイメージです。

また、心のイスはイメージなので、座る人の姿勢によってイスのほうが変化していく、という不思議なことも起こります。

心の中では柔らかいイスを用意しているつもりだけど、相手がいつまでも緊張して座っていると、だんだんとこちらの心のイスも相手に合わせて硬くなっていくかもしれません。
また、最初は硬いイスを用意していても、相手がリラックスして座っているとつられてイスが柔らかいものに変化していく、というイメージです。

これは、『コミュニケーションの相互作用』と、いえるかと思います。

日頃、自分はどんな心のイスを相手に用意しているだろうか? あるいは、どんな姿勢で相手の心のイスに座っているだろうか? ということをイメージするのは、自分のコミュニケーションを振り返るのに役に立つかもしれません。

イスのイメージはあくまで私の主観ですが、もしかするとしっくりくる方もいらっしゃるかなと思ってシェアしてみたくて書きました。

自分の気持ちや行動を振り返って、自分にぴったりくるイメージが浮かぶとき、一歩、自己理解が深まることがあります。
カウンセリングではそのお手伝いをしています。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。  
メザニンカウンセラーSATOMI
編集:メザニン広報室

メザニンではオンラインカウンセリングを提供しています。
ご興味がありましたら、下記からご予約承っております。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?