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『フキの恩返し』④

 膨らんだレジ袋を手に、門限ギリギリでフキはDAの寮へと戻った。

 生の食材を冷蔵庫に入れ、他の食材も食堂に連なるキッチンの片隅に置かせてもらう事にした。

 そうして、翌日。

 その日のフキ、そしてサクラのスケジュールとしては午前の座学、午後イチに基礎トレーニング。それ以降は自由となっていた。

 フキは怪我の事もあってトレーニングは軽めにするよう言われていたので、先に上がり、もんじゃ焼きの準備に入る事にした。

 事前に許可を取っていたホットプレートを、人気ひとけのなくなった食堂の片隅の六人がけ用のテーブルの中央に設置する。

 どうせサクラが食べるだけなので、もっと小さいテーブルでも良かったのだが、コンセントにホットプレートのコードが届くのがそこしかなかった。

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