見出し画像

オンライン婚姻家庭カウンセリングサービス介入による離婚の回避

《 福福の知りたい広州!vol.5 》

こんにちは。福福です。

「衝動的な離婚」が増加していると言われる中、広州市の取り組みに触れている記事があったので、一部をご紹介します。

オンライン婚姻家庭カウンセリングサービス介入による離婚の回避

『廣州日報』2021年2月2日の記事より一部抜粋。

広州市で全面的に導入されている、オンライン婚姻家庭カウンセリングサービス介入による離婚の回避

離婚を考えていたカップルが、カウンセリングを受けた結果、離婚を撤回した最近の実績例は下記のとおり。

2020年10月~12月:
 黄埔区、番禺区、南沙区の852組に対しカウンセリングを実施
 そのうち136組が和解し、離婚を撤回

広州市婚姻登記機関では、心理カウンセラー、婚姻家庭コンサルタントや弁護士などによる、婚姻・家庭全般にわたるカウンセリングサービスを実施している。

このカウンセリングサービスは、居住区にかかわらず、全市どの区においても申請できる。

【 福福より 】

衝動的な離婚を防ぐため、中国では2021年1月1日から、離婚申請後30日間の「冷静期(冷却期間、またはクーリングオフ期間)」を設ける制度が導入されたそうです。

婚姻登記機関での離婚手続きには事前の予約が必要ですが、現在広州市では予約枠がいっぱいで、「冷静期」にすら入れないと嘆く人が増加中とか。また、予約枠が600元で取引されているというネット情報も目にしました。

何事もスピーディーで手軽な現代。結婚の形も変化?進化?の過程なのかもしれませんね。

ライチ局長は、広州の結婚事情に関して何か感じるところはありますか?

【 ライチ局長より 】

 中国における離婚手続きの問題は、このように度々問題になります。

 例えば、投機目的の不動産購入が不動産価格の高騰を引き起こしていた際には、一家あたりの不動産購入数が制限されたのですが、その時には、わざと離婚をして資産を増やすということまで行われ、問題となっていました。
 
 とはいえ、中国でも離婚は子供の生育に悪影響を与えるため、衝動的な離婚は控えたほうがいいと言う認識はあります。そのため、このようなクーリングオフ制度が設けられているのです。

 離婚については、今回のテーマとは少しずれるかもしれませんが、中国で婚姻する時の改名問題について触れておきます。

 中国では、日本と異なり、結婚しても配偶者の苗字が変わることはありません。いわゆる「夫婦別姓」です。
 例えば、張さん(男)と王さん(女)が結婚したとしても、2人の苗字はそのままです。子供が生まれたら、一般的には男性側の苗字を引き継ぎ、張さんとします。女性側からしてみたら、日本で発生するような銀行口座などの名義変更など、結婚に関連する手続きが少なくてすみます。その反面、離婚による諸手続きの煩雑さや、子供の改名問題などは発生しません。母親と子供の苗字が異なっていることは、当たり前の社会なのです。

 日本で離婚する場合には、往々にして苗字を旧姓に戻すかどうか、子供の苗字をどうするか、という問題が発生します。旧姓に戻したら、改めて各種名義変更手続きが発生するだけでなく、「仕事の上でどう名乗るか?」「旧姓に戻すなら名刺を作り直すのか?」「職場にはどう説明するか?」「子供がいじめられないか?」など、離婚したことを社会に示すことによるコストが発生します。そのため、社会の側にも離婚に対して寛容になるような啓蒙活動が必要になってくるのです。

 また、一方で、中国の「家」の観念は日本より強く、結婚した女性の立場から言えば、家族の中で1人だけ異なる苗字として生きていくことは、無意識に一族からの疎外感を覚えることもあるでしょう。先程の例でいえば、張さん(父)、王さん(母)、張さん(息子)、張さん(娘)といった家族構成になるわけです。当然、張さんの両親は、孫を張家の人間として考え、王さんは一族にカウントしません。男系社会です。母親は、自分が張一族ではなく、王一族であることを意識しながら生きているということになります。

 このように、夫婦別姓という社会では、名前は縦に続く家系の結束を強める作用はありますが、核家族というユニット単位で父と母の絆を強めるという意味では強い作用は働きません。

 中国の結婚離婚問題を考える時には、このような夫婦別姓の社会であるということも念頭において考えていたら、違う観点が見えてくるかもしれません。


【 福岡広州ライチ倶楽部HP 】
 ※福岡広州ライチ倶楽部に関する情報や、入会等のお問い合わせはこちらから
  http://lychee-club.jp

【 福岡広州ライチ倶楽部Facebook 】
 ※広州に関するコラムや福岡広州ライチ倶楽部の活動内容の情報はこちらから
  https://www.facebook.com/fukuoka.guangzhou.lychee.club



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?