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インタビューのワークショップ|初夏の遠野

GWに2つの「インタビューのワークショップ」をひらきます。場所は遠野/クイーンズメドゥ・カントリーハウス。4泊5日で、日程が二つあります。

Aグループ|2023年4月26日(水)〜30日(日)
Bグループ|2023年5月1日(月)〜5日(金)

参加人数:7名
参加費:67,000円
宿泊費:72,000円(遠野/クイーンズメドゥ・カントリーハウス)

お申込み>Googleフォーム「初夏の遠野」 
*両日程ともキャンセル待ちのお申込みに移行しました(3/18)

自分にとって「ワークショップ」は文字通り「工房」なので、集まる人たちは、同じ作業場で5日間めいめいの仕事に取り組む職人のような存在です。気の合う人々が集まるといいな。(だいたいそうなる。奇跡ですね)

その場でなにに取り組むのか? 訊かれると、ひとまず「きく技術と感性の再検討」と説明することが多い。

最近のお申込みの動機欄を読み返すと「ずっと我流でやってきたので、インタビューについて改めて考えたい」という人がいたり。「常に〝話す〟優位で仕事が成り立っていて、それでは限界が来そう」とか。「自分のフィルターで聞いてしまい、編集癖がある気がして気持ち悪い」「ケアする/されることについて考えを深めたい」とか。
あるいは「誕生日を迎える自分への贈り物として」とか、「時間をあけてもう一度参加したいと思っていた」など、いろんな方がいます。

2022年・遠野

「あの人はセンスがいいよね!」という褒め言葉は、その人がつくり出すものを指すことが多いですよね。けどそれは、その人が日々世界をどう感じているか?ということの結果だと思う。

つまりセンス/Senseは文字通り「感じること」で、アウトプットの技法に先行している。感受性。「なにをするか」「どうするか」という話の前に「感じる」ことがあるのは、ものづくりに限らず人とのかかわりでも、本人自身とのかかわりにおいても大切な足場なんじゃないか。「きく」ことを通じてそこを掘り下げるのを、実践的に楽しむ5日間になると思います。


「インタビューのワークショップ」について

昨年末の清里編をふりかえって、先月こんなことを書きました。以下抜き書き。

自分はこの仕事が好きで、納得度も高く、情熱もあるから、逆に「もしできなくなったらどうしよう?」という怖さがあった。

いちばん怖いのは自分が「飽きてしまう」ことで、そうなったらむろんつづけられなくなる。頼まれてやっている仕事ではないから。

「飽きたらどうしよう」「いや飽きない飽きない」と胸の中で呟きながら、回数を絞っていたのが数年前。「これは飽きようがない(構造的に)」とわかったのが今年の夏。そして「飽きたら次に行けばいい」という言葉が口から出たのが今回だった。

「きく」ことで可能になるのは、相手が「話せる」ことです。自分が「きけているかな」とか「きけていない…」といったことより、意識は〝目の前の人が話せているかどうか〟に向ける方がいい。

2017年・女神山

すると、人にとって「話す」ことはどんな体験で、どんな作用があるのか?という理解が重要になる。自分の経験をふりかえったり、坂上香さんの映画「プリズンサークル」を思い返したり、ひろがりを見せる「オープン・ダイアローグ」について調べたり。最近はそんな過程を重ねています。

集まった数名と一緒に、「きく」ことと「はなす」ことをめぐる数日間を歩いて、またそれぞれの日常に帰る。
すると人々の見え方が変わっていたり、「あの人いまごろどのあたりを歩いているかな…」と心に浮かぶ人が増えていたり。私にとっても、これまで参加した人たちにとっても、そんなワークショップになっているんじゃないかと思います。


クイーンズメドゥ・カントリーハウスについて

クイーンズメドゥは遠野北部の傾斜地にある、実験的な暮らしと滞在の拠点です。26年前に最初の建物が建ち、追って馬が来て、メンバーが市内や東京から通いながら営まれています。

滞在中の食事は、以前遠野「Commons cafe」で腕を振るっていた藤田紘子さんに依頼

私とクイーンズメドゥの出会いは、ランドスケープデザイナーの田瀬理夫さんの話をまとめた『ひとの居場所をつくる』(2013)の執筆でした。
その準備を進めていた頃に東日本大震災が生じ、日本社会がハンマーで殴られた後のような時期に書いた『いま、地方で生きるということ』(2011)の中に、初めてクイーンズメドゥに立ち寄って、馬と暮らす徳吉英一郎さんと交わしたインタビューが収録されています。

このワークショップに来る方は、この2冊を読むと滞在中の経験が変わると思う。とくに徳吉さんのインタビューには、このワークショップに関連することが含まれています。馬と人のかかわりの話。画像で抜き出すとこんな感じ。

クイーンズメドゥには、いま5頭の馬がいます。乗馬用でも、農業や馬搬に用いられるわけでもないし、馬房にいるわけでもない。周囲の山林に放牧されていて、ワークショップをしていると窓の外を歩く姿を見かけます。

利用価値を問われていない馬のあり方の不思議は、書き始めると長くなるのでひかえますが、クイーンズメドゥでひらく「インタビューのワークショップ」には、他の場所でひらくそれと違う性格がある。馬が教えてくれる部分がある、と思っているんです。

滞在中、徳吉さんに来てもらって、馬とのかかわり方を少し教わる時間も持ちたいと考えています。

クイーンズメドゥではいま「ハヤチネンダ」という新しい事業も始まろうとしています。これは田瀬さんたちが構想した山岳葬(造語。樹を墓碑に見立てる樹木葬に対し、風景・景観に魂を還してゆく墓園事業の一種)を発展させるもので、「いのちを還す森」という言葉遣いで後続世代の仲間たちが進めています。
このプロジェクトについても、少し調べてから来ると面白いかもしれません。



このワークショップは「いのちを還す森」づくりに取り組む一般財団法人ハヤチネンダが、遠野クイーンズメドウ・カントリーハウスにおける出会いや学びの充実にむけて始めたシリーズ企画「ステュディオス(Studious)」の一つとして、西村佳哲と共催します。

ハヤチネンダの「いのちを還す森」
ステュディオス