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馬券ではない競馬の楽しみ方~POGのススメ~

突然ですが皆さま、もしかして、「競馬の楽しみ方は馬券だけ」と思っていませんか?

馬券は確かに、楽しいです。お金を賭けるという非日常的なスリルを味わえて、運が良ければお金が増えるんですから、そりゃ楽しいです。うん。

でも中には、『馬が好きで競馬にも興味があるけど、ギャンブルには抵抗があって馬券は買いづらい・・・』なんていう人も、いるんじゃないでしょうか。レースを観ているだけでは味気ないですし。

あるいは、『競馬を観始めたけど、血統とか馬体とかよくわからない。馬券を買うにしても、損をしないようにもっと勉強してからにしたい』なんていう人もいるでしょうか。

実はそういう人にオススメのゲームがあるんです。POGっていう、誰でも気軽に、基本無料で馬主体験ができるゲームが。​

POGとは?

POG(ピーオージーもしくはポグ)とは、ペーパー・オーナー・ゲームの略称で、その名の通り「紙の上での馬主ゲーム」。デビュー前の馬を数頭ずつ指名して、紙の上だけの(=仮の)馬主になり、誰の指名馬が一番活躍するかを競うゲームです。

気心の知れた競馬仲間と楽しんでも良いし、POGファンの人が個人サイトなどで参加者を募っているので、それに参加するという方法もあります。

ただ、私のように友達のいないコミュ障にとっては、どちらもハードルが高い(真面目な顔)。なので私は、競馬雑誌や新聞、競馬情報サイトなど、企業が主催しているPOG大会に参加しています。

大会と言ってもペンネームで気軽に参加できますし、ほとんどの場合、参加費は無料なのに成績上位なら賞金やレアグッズなど、豪華賞品がもらえるのでやりがいがあります。

細かなルールは主催者によって違いますが、最大10頭まで選んで応募し、約1年間(ダービーの翌週~翌年のダービー)に自分が指名した馬が獲得した賞金額で他の参加者と競う、というルールが一般的です。

POGの流れ

ぽぐ

①指名馬を選ぶ
 毎年4月末ごろから、通称『POG本』という本が発売されます。その年にデビューを迎える2歳馬たちの情報がぎっしりと詰まった、サラブレッドのカタログのような本です。これを参考に、自分が馬主(仮)になりたい馬=指名馬を決めていきます。POG本は色んな出版社から発刊されますが、どれも2,000円前後で、大きな本屋なら間違いなく買えます。電子書籍版や、アマゾンなどネットで購入もできます。
 もちろんPOG本に頼らず、無料の競馬情報サイトやネットニュースなどを活用して指名馬を決めるという、究極の0円POGも可能です。

②参加登録
 雑誌など企業が主催するPOG大会の場合、5月ごろから参加者が募集され始めるので、それぞれの方法に則って参加登録をします。ハガキに必要事項を書いて郵送したり、いまの時代、ネットでポチポチするだけで良いので簡単。
 登録期限は、主催者によって大きく異なるので注意。指定された月日までにすべての指名馬を登録しなくてはいけない場合と、その馬のデビュー戦前までに登録すれば良い(その都度1頭ずつ登録する)場合があります。

③指名馬の活躍を見守る
 新馬(デビュー)戦はその年のダービーの翌週、6月初旬から始まります。しかし、馬たちは1頭1頭それぞれの成長具合によって、デビューする時期が違います。その後も、みんながみんな同じレースに出走するわけではないので、うっかりすると自分の馬が走るレースを見逃してしまうことも。企業主催のPOG大会の場合、雑誌やネット上に出走情報を掲載してくれるので、それを参考に自分の指名馬の活躍を見守り、応援しましょう。

④結果発表
 多くはダービーを区切りにするため、その世代のダービーが終了すると最終結果発表。好成績なら豪華賞品をゲット! 上位に入賞できなくても、100位単位などキリ番で賞品がもらえることもあるので、途中でさじを投げてしまわないように。

POGのメリット

あくまで私個人の考えるメリットですが、大きく3つあります。

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①無料で気軽に馬主気分を楽しめる
 そもそも、馬主ってどんなイメージがありますか?お金持ちの趣味って感じじゃありません?そうなんです。基本的に、平凡な収入の一般人は馬主にはなれないのが現実です。

サラブレッドはどんなに安くても車一台分くらいはお値段しますし、生き物なのでエサ代などもかかります。しかも、ただペットで飼うわけではありませんから、調教師に払う預託料やら、格の高いレースに出るための登録料やら、とにかく色んなお金が必要です。

現在は一口馬主といって、クラブの会員同士で出資し合って馬を共同所有する、という方法もありますが、それでも入会費からはじまって、月会費やら維持費やら・・・かかる費用は安くありません。

それだけのお金を費やしても、怪我や病気をしてしまったり、性格が競馬向きではなかったり・・・、1円も稼ぐことなく引退してしまうこともあります。

とどのつまり、よっぽどお金に余裕があって、損をしてでもなりたいっていうくらい馬が好きな人でなくては、馬主にはなれないんです。

でも、お金はないけど競馬は好き!馬大好き!!という人もいますよね。そういった人でも気軽に馬主体験ができるのが、POGなんです。

②馬券にも役立つ知識や相馬眼が身につく
 たまに「POGはお金を賭けられないから、つまらない」という人がいます。確かに、無料で気軽にできるからこそ、馬券のようなスリルはありません。

ですが、POGで指名馬を選ぶうえで役立つ知識というのは、そのまま馬券購入のときにも役立ちます。馬体を見たり直感で馬券を買うという人も、相馬眼や直感力を鍛えることができます。

どうしても金を賭けなきゃ気が済まん!!という人は、自分の指名馬の馬券を買えば良いのです。活躍しそうな馬、勝ちそうな馬を探し出すという点は結局、POGも馬券も同じなんですから。

あと、「初心者で知識がないから、POGは難しそう」という人もいますが、POGを通して勉強していけばいいのです。無料なので失うものもないですし、「なんか強そう」という理由で選ぶところから始めたって良いんです。

実際、私も馬券は嗜む程度ですが、「おもしろい名前~」とか「カワイイから~」みたいな理由で買っていたころは年間回収率が30%でしたが、POGを始めて身についた知識を生かすようにしたら、70~80%で安定するようになりました☆(よくわからない方へ:回収率とは、賭けた金額のうち何%取り戻せたかという数字です。平均値はまさしく70~80%と言われています)

③“思い入れの馬”ができる
 あのキタサンブラックの馬主・北島三郎さんも「ブラックは息子」と言っていましたが、デビュー前の未知数の状態から成長を見届けていると、なんだか親心のような気持ちが芽生えます。

POGを始めてみるとわかりますが、指名した全頭が活躍するなんてことはあり得ません。指名したうちの何頭かは、たった1回勝つということすらできずに引退するでしょう。それどころか、デビューすら叶わず消えていく馬もいます。

それを経験すると、きっと、無事にデビューしただけで偉いねぇ!と褒めたくなります。たとえ活躍できなくても、一生懸命走る姿を見るだけで心が熱くなるでしょう。逆に遊びながら走る子は、まったくこの子は!と腹が立ちつつも可愛く思えます。

そうして我が子のように見守ってきた馬たちは、POG期間が終わっても、本物の馬主さんが引退と言うまで走り続けます。そして引退した後も、繁殖馬になれれば数年後、子どもがデビューするかもしれません。その子をまたPOGで指名する、なんていう楽しみもあります。

POGを通して、さまざまな思い入れのある馬を増やしていくと、より深く、長く、競馬と言う趣味を楽しめる。そう思います。

初心者におススメのPOG大会

初心者の私が実際に、毎年参加しているPOG大会をご紹介。

『優駿POGグランプリ』
JRAが発刊している月刊誌『優駿』が主催しているPOG大会。雑誌自体は武豊さんも愛読しているとかで、さすが公式というすこしお堅い雰囲気。ただ写真が美しく、お値段730円ながらたまに付録でDVDがついてくる。電子書籍版もあり。

POGルール(2020年度の場合)
対象馬:誌面で紹介した馬のみ
指名頭数:10頭
参加方法:ハガキか公式サイトを通じて
登録期限:指定された月日まで
入賞賞品:武豊騎手の直筆サイン、競馬場指定席への招待など

時期が来ると(例年5月号)、『2歳馬特集』という特集が組まれ、そこで紹介された馬の中から10頭選んで応募します。対象馬を限定してくれるうえ、誌面上で基礎情報を掲載してくれるため、『POG本』を購入しなくても気軽に参加できます。
期間中の自分の順位や指名馬の出走情報などは、雑誌の誌面上のほか、公式サイトでも見ることができます。

netkeiba『POGダービー』
日本最大級を謳う競馬情報サイトが主催するPOG大会。まずはサイトにユーザー登録する必要がありますが、無料ですし、POG以外にも活用できる機能があるので損はしないはず。スマホアプリも有り。

POGルール(2020年度の場合)
対象馬:デビュー前の2歳馬すべて
指名頭数:最大10頭(10頭未満でも可)
参加方法:サイトの専用ページから
登録期限:その馬のデビュー戦前日まで
入賞賞品:Amazonギフト券、指名馬の写真パネルなど

対象がすべての2歳馬なので、その膨大な頭数の中から自力で指名馬を探し出す必要があります。ただ、登録期限がその馬のデビュー戦前日までなので、たとえば競馬新聞などでの評価や人気、当日騎乗予定の騎手など、参考にできるデータも豊富にあります。
ネットケイバというだけあって、すべてがネット上で完結します。スマホアプリもあるので、自分の順位や指名馬の出走情報など、いつでも確認できてとても便利です。

初心者向け・指名馬を選ぶポイント

さいごに。1シーズンに生まれるサラブレッドは、約7000頭です。その中から指名馬を選ぶという果てしない作業が、POGが敬遠されてしまう最大の難点だと思っています。そこで、私なりに初心者さん向けに馬を選ぶ際のポイントを紹介をするので、どうか、どうか、食わず嫌いをせずに気軽に、お試し感覚で良いので、POGに挑戦してみてください!

①血統
 なにはともあれ、やっぱり競馬の基本は血統。サラブレッドには血統表というものがあり、ツウな人ならそれを見ればある程度、どんな能力を持った馬か推測できてしまいます。
 しかし、初心者にそれは難しいです。そこでとりあえず注目すべきは、その馬の両親がどれだけレースで活躍した馬なのかです。競馬界には「ダービー馬はダービー馬から」という格言があります。簡単に言えば、強い馬は強い馬から生まれる、ということです。
 オグリキャップのような、無名の馬から伝説級の馬が生まれる可能性もなくはないですが、やはり最初のうちはキラキラの良血馬を選ぶのが無難です。
 ただし、牝馬(メス)はたとえレースで活躍しなくても、良い子どもを産みそうだったら繁殖牝馬(母馬)になります。そのため、競馬での成績よりも、おなじ母馬から生まれた兄や姉の活躍を調べて、「お母さんとしての成績」を見ることも大切です。

②『POG本』での取り扱われ方
 POG本に7000頭の情報をすべて掲載するというのは不可能です。そのため、血統が良い期待馬は巻頭などでドーン!!と大きく取り扱い、そこから徐々に写真が小さくなって、最後は名前だけになります(名前すら載らない馬もいます)。
 ①で「無難に良血馬を選ぶべし」と言いましたが、私の経験上、巻頭でドーン!!と紹介されている良血馬は、なぜかデビューしてみたらサッパリ・・・ということが多いです(※個人の感想です)。それよりも、本での取り扱われ方は地味ながら、生産者など関係者が「父や母も活躍した馬ですから、期待しています」などとコメントしている馬の方が、成績が安定している気がします。POG本の隅々まで読んで、そんな“隠れ良血馬”を探し出すことが、私の密かな攻略法です。

③馬体写真を並べて見る
 本物の馬主なら、牧場やセリで実際に馬を見ることができますが、POGでそれはできません。間違っても、牧場などに素人が押しかけてはいけません。POG本などに掲載されている馬体写真で、我慢しましょう。
 ただ、初心者の方は写真を見てもどこに注目すれば良いか、戸惑ってしまうと思います。ツウな人なら筋肉の付き方や体型など、それぞれの見方があるのでしょうが。
 とりあえず、自分なりの着眼点が確立されるまでは、何頭かの馬の写真を並べて眺めてみることをお勧めします。すると筋肉モリモリの馬や、毛ヅヤがピカピカの馬、気品のある立ち姿の馬など、目立つ馬は自然と目につきます。
 私は初めて挑戦したPOGで、「筋肉のモリモリさ加減が他と違う・・・!?」と感じた馬を指名馬にしたのですが、それが色々と伝説を生んだヘンリーバローズでした。
 あと、全然信じてもらえなくてもいいので、聞いてください。あのアーモンドアイも、POG本で見たとき「綺麗な馬だなぁ」と特別に感じたんです。ただ、指名馬の性別のバランスを考えて、同じページに載っていた同じロードカナロア産駒の牡馬を選んだんです。その子も頑張ってくれたのですが、本当に、なぜアーモンドアイさんを指名しなかったのか・・・いまだに悔しいです・・・。

・・・と、まぁ、まずはあまり難しく考えず、本当に「強そうだな」「賢そうだな」「綺麗だな」というところから、馬を選んでみましょう。また、今はなにやら、『ウマ娘』というアニメやゲームが人気らしいですね? そのウマ娘の中に好きなお馬さんがいるなら、その子孫をPOGで指名するなんていう遊び方もできます。

それでは、さいごに改めて、“基本無料で、気軽に、誰でも馬主体験ができるゲーム”、POGをきっかけにもっと競馬が盛り上がりますように!よろしくお願いしまーす!!

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