見出し画像

デザイン(Design)とエンジニアリング(Engineering)

皆さんが製造業の設計開発にあまり馴染みがなければ、この2つの言葉にピンと来ないかもしれません。そもそもなぜこの2つの言葉を取り上げるのか理由が分からない可能性もありますね。

デザインは和訳すると設計なのですが、日本国内でデザインといえば多くの場合意匠的なデザイン、工業デザインを意味して使われます。デザイナーというと服飾のイメージが強いですね。工業的な世界で考えても製品や建造物の外観を決める人がデザイナーと呼ばれ、機械的な製造業や設計者を思い浮かべる人は殆どいないと思います。

海外でもその傾向はありますが、もう少し広くデザインという言葉が使用されていると感じます。

Steve Jobsは次のような言葉を残しています。

Design is a funny word. Some people think design means how it looks. But of course, if you dig deeper, it’s really how it works.

つまりデザインとは外観のみならず機能設計のことも指すのだと言っているわけです。本来的には設計者は機能設計もミッションの1つであり、デザインも業務に含まれるということになります。

一方のエンジニアリングですが、これは日本語では「工学」ですね。

ただこれも不思議なことに、「エンジニアリング会社」というと、まず業界以外の人はどんな会社のことかよく分からず、業界内のひとは、EPC(Engineering - Procurement - Construction) をメイン業務とする会社のことだと理解します。例えば日揮や東洋エンジニアリングです。

多くの製造業が、製品の設計・開発において「工学」を駆使しているはずなのに、奇妙な話ですね。

一般的な設計者を英語で表現すると、これは日本も欧米もEngineerになります。ただ先程述べた通り、設計者はデザイン(機能設計)も業務の1つです。そう考えるとEngineerという単語が適切なのかな?とも思ってしまいます。

コンピューター援用について見てみます。デザインを支援するツールを英語にするとComputer Aided Design (CAD)となりますが、支援していないとは言いませんが、図面を2Dにせよ3Dにせよコンピュータの仮想空間で表現することが、どのくらい「デザイン」を支援していることになるんでしょうね?

エンジニアリングを支援するツールではComputer Aided Engineering (CAE)となり、強度解析、熱流体解析、電磁場解析などを数理モデルを基に実施することになります。これも仮想的に実験を行い(シミュレーション)工学的検証を支援しているのですが、もう少し幅広にエンジニアリングを支援するITツールが無いのかな?と思うこともあります。

このように、単語の本来の意味、設計者の業務、日本と欧米との使われ方の違い、コンピューター援用、などを見ると、デザインとエンジニアリングという言葉も中々一筋縄ではいかないな、と考えてしまいますね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?