きっかけ
高校2年生。ちょっと前に誕生日を迎えた。
未だに誕生日が近づくと、毎年何のケーキを
食べられるのか考えるだけで気分が上がる。
そんなくだらない事ばかり考えている私が
なぜルールメイキングに取り組んでいるのか、
それは去年の春まで遡る。
去年、2020年4月、私は今通っている学校に
入学した。私のコースは芸術の授業は選択できず、
1年間、書道の授業を受けていた時のこと。
私は普段は髪の毛を下ろしていて、書道の授業は
毛先に墨汁が付かないように髪の毛を括って
文字を書いている。ポニーテールにしても、
髪の毛が長くてどうしても字を書いている途中に
首を沿って髪の毛が流れてくる。
私は無意識に髪の毛を括り直した。
括り直してから少ししたら、斜め後ろに座っていた
クラスメイトから声をかけられる。その子によると
「この学校は校則でお団子が禁止されている」という
ことらしい。私は無意識に団子を結んでいた。
私はその時、初めてそのルールを知って思わず
「え?」と声が出た。自分の髪型を確認したとき、
私は反射的にクラスメイトに聞き返した。
「なんで禁止されてるの?」
そう聞いたが、その子は何も言わない。
何秒か経って、やっと話す!と思い、耳を傾けると
「私もわからない」「学校がそう決めたから」
そう返してくると、私は違和感を覚えた。
髪色やピアスは学校の治安が悪いと思われてしまう
からいけないと言うのはまだ分かる。が、団子結びは
誰にも迷惑をかけていない上、その髪型をしているから
と言って何らかの偏見を持たれてしまい、学校に影響が
出てしまう訳でもない。私の頭の中はハテナで埋め尽くされた。
私は『書道に集中したい』と言う
向上心ゆえの行動で、校則を破ろうと思って、
髪の毛を括り直した訳じゃない。
何がどういけないのか
自分でも考えたけど答えは浮かばなかった。
その日はずっと、私はその疑問を抱えながら
シャーペンの先を睨んで過ごした。
次の日、
私は先生に聞くと、意外な答えが返ってきた。
「先生もこの規則ができた理由は詳しく分からない、
だけど“この学校の校則でそう決まっているから”
やっぱりお団子をするのは良くないよ。」
この時、先生ですらどういう経緯で作られたか
分からない校則をもう一度見直すことが必要だと
思ったと同時に、時代に合った校則にしたい
という新しい目標ができた。
そう思い続けて半年過ぎ、私はルールメイキング
というみんなが主体的に校則に関われる取り組み
の存在を学校の掲示板のポスターで知った。
校則ができた理由を詳しく知りたくて
先生に勧められて、対話形式の会議に参加した。
その会議では、校則について疑問を持ったり
他に考えを持っているのは自分だけじゃないのだ
と知れて、やっぱり疑問を持つということは
間違った事ではないと改めて確認できた。
それから、前期の生徒会の皆さんが積極的に
この活動に取り組んでいるのを知って、
私も選挙を乗り越え、生徒会に入った。
自分の考えていること、そしてみんなが
学校に対して思っていることをまとめたり、
いかに理解しやすいように伝えるのか
考えたりしてみた。言葉で伝えるのは少し難しくて
初めは探究のプレゼンテーションで、スライドの
文字を強調してみたり、色を変えたり
色々挑戦してみる中で、それが楽しいと
どんどん思うようになってきた。
10月末、私は前期の生徒会の皆さんのように
積極的に学校に関わりたくて生徒会に立候補し、
無事、生徒会長になった。会長になったからには、
きっと朝礼や公の場で話す機会が増えて、今より
もっと言葉に気を付けないといけないという
プレッシャーが無いと言えば嘘になる。
私はこの(ルールメイキング)プロジェクトに
取り組んでいる。これからも『伝える』ことの
重みを、それから正しく表現するヒントを
これから私は見つけたい。
今、私のように公の場で
発言する人達に伝えたいこと。
正しく自分の考えを沢山の人が理解して
誤解の無い伝え方を知るということは
思ったよりもずっと難しくて、実際に
身を持って聞き手の立場を経験しないと
分からないものだということ。