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[第10回]ベトナムのお茶文化と当たらない宝くじ

ベトナム訪音記 第10回

タイニン省の伝統音楽教室VỀ NGUỒN(ベェンゴン)にて12日間のレッスンが終了。振り返って考えるタイニン省の生活とベトナム文化について。

前回、レッスン最終日について
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第9回 レッスン最終日!演奏発表会とお別れ会

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11日間のレッスンを終えて

2016年1月19日夕方。
最後の発表会とお別れ会を終えて、11日間のレッスンが終了した。
振り返るとあっという間の短い期間だった。
僕は技術の習得や知識を得ることに必死だったので、ほとんどの時間をギター練習などベトナム音楽を学ぶことに費やした。観光も一切せず、土地の生活や文化について積極的に知ろうとする余裕がなかった。

でもそんな自分にも現地の人とコミュニケーションをとり生活や文化に触れる機会があった。それは「お茶」の場だった。

ベトナムのお茶文化

ベトナムの人はよくお茶をする。休憩や誰かが遊びに来るたびに、家の軒先やカフェで1日何度もコーヒーやお茶を飲む。毎日会う人とも何かにつけてお茶をする。(毎日よく話をすることがあるものだと関心してしまうほど。)

それは、コミュニケーションの場であり憩いの時間でもあり、家族や友人を愛する彼らにとって人生においてとても大事な時間なのだと感じる。

お茶を入れてくれる先生。僕が練習で煮詰まっている時や、誰かが遊びに来た時にはいつもお茶を飲もうと声をかけてくれた。

音楽教室には頻繁に人が遊びに来ていた。それは元生徒さんだったり近所に住む先生の友人だったり色々で、誰も遊びに来ない日はほとんどなかった。

笑顔でお茶をする先生の友人たち。

街中でもよくお茶をしている人たちを見かけた。平日の昼間でもお茶をする人たち、特に年配の男性をよく見かける。仕事はどうしているのだろうかと心配になるけど、談笑している彼らを見ていると、とても幸せな光景だなと思った。(ベトナムの女性はよく働くと聞くから奥さんが働いているのかしら?)

きっとたわいの無いことを話しているのだろうけど、ベトナム語で会話ができたら楽しいのになと素直に思う。

当たらない宝くじ

そんなお茶の時間にちょっと驚くことがあった。
ベトナムでは街中に色々な売り子さんがいて、その中に宝くじ売りという人たちがいる。汚れた洋服を来て売り歩くその人達はまるで物乞いのよう。実際にホーチミンのカフェで声をかけられた時には物乞いだと話も聞かず断ったこともあったし、周りにいた現地の人たちも軽くあしらっているように見えた。

だけど、タイニン省の音楽教室に来て、教室前やカフェで同じように声をかけられた時、先生やその場で一緒にお茶をしていた大人たちは進んでその宝くじを買うのだった。

物乞いは断るものと思い込んでいた僕は正直「え!?なんで買うの?」と理由を聞いてしまった。すると、一緒にいた先生の友人が「彼らの生活のために買うんだ」と答えてくれた。そこには、施しを与えるといった上から目線や、大げさに同情するような様子はない。そうすることが当たり前のように言っていたのがとても印象的だった。

1枚10,000VND=50円くらいだけど、タイニン省では安いバインミーが買えるくらい。決してはした金ではなない。

タイニン省の人たちはホーチミンのような都市部の人たちと比べると決して裕福ではないと思う。それでも都市部の人たちよりも進んで宝くじを買っているように見えた。実際に宝くじ販売は社会的弱者のためのセーフティーネットのような役割があるらしい。ベトナムのタイニン省という田舎まで来たからこそ見れた文化だったのかもしれない。

宝くじ屋さんが去った後に「まぁ当たらないけどね」と無邪気に笑うおじさんたち。たかが宝くじ一つだけど、困った時、貧しい時は助け合うことが当たり前だと言っているようで何だかジーンときてしまった。

ベトナム音楽の生まれる場所

通訳さんを通してだったり、指差し単語帳のベトナム語や、筆記、片言の英語などでコミュニケーションをとった「お茶」の時間。それは振り返ると練習と同じくらい貴重な時間だったと思う。

今回習い始めたベトナミーズギターやその音楽は、そこに住む人たちの生活に密接につながる伝統音楽。どうやってこの魅力的な音楽が生まれ、演奏され続けているのか。もっともっと根底から知りたいと思った。

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次回は
第11回 ホーチミンの楽器街

ホーチミンで帰国前最後の1日。

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