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[第8回]教室通いの日々と弦を押し込む独自の奏法について

ベトナム訪音記 第8回

タイニン省の伝統音楽教室VỀ NGUỒN(ベェンゴン)にて。教室に通う1日の紹介とベトナミーズギターの弦を押し込む独自の奏法について。

前回、譜面を読む練習方法について
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第7回 ベトナムの口三味線?基礎練習方法からみえる音楽と言語の関係

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教室通いの日々

譜面の読み方と基礎練習を一通り続けると、いよいよ楽器練習も始まります。そこからはひたすら教室通いと練習の日々。そんなとある1日の過ごし方を紹介。

1日の始まり、朝6:30に起床。ホテルから裏通りを見た景色。

出かける準備をして、ホテルの近所で朝ごはん。牛肉のフォー。もやしや生野菜をどさっと乗せて食べるのが美味い。

カオダイ教の総本山の敷地内を通り抜ける。朝からお祈りをする人がたくさん。

野生の猿が住んでいるが人に慣れている。「食べ物くれ!」

7:30〜8:00くらいに教室到着。たいてい先に他の生徒さんが練習中。

小さい女の子の生徒も。ベトナムの女の子や女性はセットアップのような上下同じ色の服をよく着ている。

自分の場所を決めて練習。混んでる時は教室の横の空き地で譜面を広げる。午前中4時間くらい練習。

12:00〜14:00はお昼休み。ホテルに戻ってご飯と休憩。シャワーを浴びたり昼寝したり。写真は食堂のようなお店のご飯とおかずもりもりセット。肉不使用のベジ飯。美味いぜ!

そして、またカオダイ教総本山の敷地を抜けて教室へ。

そして夜までひたすら練習。4〜6時間くらい。

夕ご飯は先生たちと食べたり、ひとりでお店で食べたり。帰ったホテルでは練習やメールなど事務的なことをしたりして過ごしました。

そんなほぼ同じような日々の繰り返し。通訳のティンさんは最初と最後の2日ずつ計4日だけの約束だったのでそれ以外はひとりで通いました。

弦を押し込む独自の奏法について

今回メインで練習をしたのはこのベトナム訪音記で何度も紹介をしているVong Co(ヴォンコー・ヨンコー)という曲。

この特徴的なビヨンビヨンという音、弦を押し込む「 Nhốn(ニョン)」や音を揺らす「Rung(ルン)」という独自の奏法。


ベトナミーズギターの全フレットがえぐれているのは、これらの奏法をするためと言っても間違いではないと思う。

ベトナミーギターを知らない人は是非第1回をご覧ください。
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第1回 衝撃!指板のえぐれたギター?ベトナミーズギターとの出会い

練習を続けていると

そうです、この弦を押し込む奏法に魅せられてここまで習いにきたのでした。やっと習えることになったものの、いざ弦を押し込んでみると、、、、
痛ーーーーーーーい!
時にはフレットの凹みの底につくくらい押し込んだだり、指を2本使って5度くらいベンドします。軽く揺らしたりは平気だけど、強く押し込むのはギター経験者でも痛いです。チョーキングに慣れている人は少しは平気なのかな?

練習を続けていると

水ぶくれができて、すぐに破裂。えーーーーーん痛いよーーーーー(汚い写真すみません)

しばらく手持ちの絆創膏を貼ってやり過ごしてましたが、すぐにダメになっちゃうので先生に相談。

セロテープを貼ってくれました。これで安心!(なわけない!)
先生スパルダだぜ。でも練習を続けるためには仕方なし。

何を表現しているのか

さて、この弦を押し込む「 Nhốn(ニョン)」や「Rung(ルン)」はそもそも何を表現するための奏法なのだろうか。先生に聞いてみるとどうやら日本でいうところの演歌の“こぶし”のようなものらしい。
日本でyoutubeを観た時に、背景を知らない僕はその物珍しさやビヨンビヨンという音そのものの印象からユーモアや楽しさを感じていました。
しかし実際には悲しさや憂いや祈りのような想いが込められていて、演奏される場所もお祈りの場所やお葬式といった場所であることを知りました。

ある時通訳のティンさんが結婚式をすることなりそこに音楽演奏を呼ぶというので「ベトナミーズギターの演奏を呼ぶの?」と聞いたら「呼ぶわけないよ!あれは悲しい時の音楽だよ」と笑われたこともありました。

最初は日本人とベトナム人の感覚の差を感じたけど、練習を続け演奏をたくさん観ていると少しずつ分かってくるような気がします。

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次回は
第9回 最後のテスト?演奏発表とお別れの会(仮)

タイニン省の伝統音楽教室VỀ NGUỒN(ベェンゴン)、2016年1月8日から始まったレッスン。いよいよ最終日の発表会です。

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