剣城かえで@耽美小説家

耽美小説家。美と薔薇と麗人が永遠の主題。耽美ダークな幻想小説と、寓話的な話を書きます。自分が思う美しさや美に纏わる物事についての考えをエッセイにすることは小説と同じくらい好きです。【小説】https://kakuyomu.jp/users/xxtiffin

剣城かえで@耽美小説家

耽美小説家。美と薔薇と麗人が永遠の主題。耽美ダークな幻想小説と、寓話的な話を書きます。自分が思う美しさや美に纏わる物事についての考えをエッセイにすることは小説と同じくらい好きです。【小説】https://kakuyomu.jp/users/xxtiffin

    マガジン

    • 名前のない薔薇

      特に分類することもないエッセイや散文。 個人的なことを書くかもしれません。 剣城かえでの日常や生活のこと、とりとめのない、雑なテーマの文章です。

    • 薔薇がこぼれた原稿用紙

      日常で出会った思考。 四辻ですれ違った悲しみ。 雑踏でぶつかった寂しさ。 耽美主義者が思う、美に基づいて見つけた、生活感のない日々と書くこと、美醜に馳せた想いを書いたエッセイ。 (カクヨム、個人ブログにも同じ内容のものを掲載しています)

    • ROSE LOST 麗人薔薇柩の招待状

      悪魔的美貌の麗人『薔薇柩』が、現実と幻惑の世界で演じる美しさへの耽溺の物語。 転生しなくても行ける別世界をお届けする耽美幻想小説です。 幸福を放棄して不幸を忘れられるような幻想を、掌編オムニバス形式でお読みいただけます。

    • いつか薔薇のルリユール

      いつか何かの物語になるものたち。 いつか花束にするための薔薇。 いつかの耽美小説。

    • ティフィンの微睡み

      普通の日記です。雰囲気が主成分です。 楽しんで読んでもらえたら嬉しいです。

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    『10時のおやつと食べること』

    『10時のおやつと食べること』  10時のおやつって、あまり言わないのだろうか。  おやつは15時。これだけが普通なのか、私はよく分からない。  私の祖母の実家が小さなお店をやっていまして、そこに遊びに行くと、祖母の義理のお姉さんが、10時になるとおやつを食べるように、お店の棚にあるお菓子やらアイスクリームを食べさせてくれたのです。今はお店は閉めてしまって久しいのですが、そんな幼少期の思い出があります。親戚の子供たちはお菓子を食べさせてもらっていました。おやつって、15

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      • 14.『悪辣な炎』

         その揺らめきが、光に擬態した淡い闇であったことに気がつくと、麗人は夢から醒めた。淡い、思い出の、闇の中から。  薔薇庭園(ゴレスターン)はまだ炎に包まれていた。業火の勢いの向こうに、かすかな暁闇が見える。吐き気がして目を覚ました。都は死に包まれていた。ベッドの中の麗人はシーツに包まれながら、額に落ちる長い髪を一房、指先で払った。麗人の美貌は、青白さよりもおぞましい色褪せ方をしていた。それでも美貌に、美しさに一点の曇りもない。ただ、不快を訴える何かが、鋭い眦の険をより殺伐とさ

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        • 沈黙の塔02.(2021/07/24)

           愛することが、虚ろな日々を送っていた。誰かのことを大切な存在だと思う予感に気づくと、その人が生きている世界から消えて別の世界へ行こうとした。愛がないことは、幸せなことだった。愛する気持ちが不在な人間だった。その気持ちがない割に、奇妙な幸せを感じていた。愛は、素晴らしいものなのだろうかと思いを馳せても、心は動かない。漣の音よりも静かな世界の中で、抑揚のない気持ちが何処かへ流れていく。深く考えることのない思いは、忽ち霧のように消えてしまう。自分にはあまり想像がつかないけれども、

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          • 沈黙の塔01.(2021/07/09)

            「引っ越そうかと、思っているんだ」  書き終えた原稿の上にそっとペンを置いて、小説家は呟いた。雑多で、ものが多い部屋の中に、その呟きを聞くひとは誰もいなかった。いつ冷めてしまったのかさえ思い出せないコーヒーを啜る唇はかさついていた。ぽつりと置いた言葉と同じくらい、乾いていた。  大切に書いた原稿、インクがまだ乾ききっていない文字の上に、そっと、指先を置く。戯れになぞると、インクは掠れて、伝えたい言葉は紙の上にぼやけて滲んだ。 「何処か、また違うところに」  本と紙で、部

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          • 名前のない薔薇

            • 1本

            特に分類することもないエッセイや散文。 個人的なことを書くかもしれません。 剣城かえでの日常や生活のこと、とりとめのない、雑なテーマの文章です。

          • 薔薇がこぼれた原稿用紙

            • 24本

            日常で出会った思考。 四辻ですれ違った悲しみ。 雑踏でぶつかった寂しさ。 耽美主義者が思う、美に基づいて見つけた、生活感のない日々と書くこと、美醜に馳せた想いを書いたエッセイ。 (カクヨム、個人ブログにも同じ内容のものを掲載しています)

          • ROSE LOST 麗人薔薇柩の招待状

            • 14本

            悪魔的美貌の麗人『薔薇柩』が、現実と幻惑の世界で演じる美しさへの耽溺の物語。 転生しなくても行ける別世界をお届けする耽美幻想小説です。 幸福を放棄して不幸を忘れられるような幻想を、掌編オムニバス形式でお読みいただけます。

          • いつか薔薇のルリユール

            • 18本

            いつか何かの物語になるものたち。 いつか花束にするための薔薇。 いつかの耽美小説。

          • ティフィンの微睡み

            • 7本

            普通の日記です。雰囲気が主成分です。 楽しんで読んでもらえたら嬉しいです。

          • 耽美と虚無の並行遊び

            • 87本

            1分ほどで読み終わる短いエッセイです。 主にTwitterからの転載になります。 たまにTwitterにないエッセイが出現します。

          • 紅茶

            • 2本

            日常の虚しさに想いが流す血の匂いを嗅ぎつけて現れる、銀髪の怪傑『魔術師』が虚無に捧げる言葉と真理のお話。 負の場所にある心を、零地点へと導く掌編オムニバス。

          • 戯れの切れ端

            • 3本

            エッセイだったり、散文だったりする、曖昧な文章たち。 怒りが悲しみの二次感情ならば、私は美しいと感じたことを文章にして心と頭から追い出さないといけない。 美しいと感じたことを文章にしないと、私が思った美しさは悲しみに変わるから、名前も分類もなく書いたものを綴じておくファイルです。

          • ロード・オブ・ヴェルサイユ

            • 6本

            第三身分の耽美主義者が、ヴェルサイユという一つの象徴を目指していく過程で思ったことや出会ったことを書いたエッセイ。 創作の話や雑談、くだらないことを大真面目に考えたい。 閲覧には、記事一つにつき鍵を一つ100円で買っていただきます。 フォロワーさんにも見てもらえなくていいような気分で、好きなことを記事にします。

          • 花瓶

            • 4本

            雑記。自己紹介記事から即売会レポートなどの未分類記事を綴じたもの。

          • 名前のない薔薇

            • 1本

            特に分類することもないエッセイや散文。 個人的なことを書くかもしれません。 剣城かえでの日常や生活のこと、とりとめのない、雑なテーマの文章です。

          • 薔薇がこぼれた原稿用紙

            • 24本

            日常で出会った思考。 四辻ですれ違った悲しみ。 雑踏でぶつかった寂しさ。 耽美主義者が思う、美に基づいて見つけた、生活感のない日々と書くこと、美醜に馳せた想いを書いたエッセイ。 (カクヨム、個人ブログにも同じ内容のものを掲載しています)

          • ROSE LOST 麗人薔薇柩の招待状

            • 14本

            悪魔的美貌の麗人『薔薇柩』が、現実と幻惑の世界で演じる美しさへの耽溺の物語。 転生しなくても行ける別世界をお届けする耽美幻想小説です。 幸福を放棄して不幸を忘れられるような幻想を、掌編オムニバス形式でお読みいただけます。

          • いつか薔薇のルリユール

            • 18本

            いつか何かの物語になるものたち。 いつか花束にするための薔薇。 いつかの耽美小説。

          • ティフィンの微睡み

            • 7本

            普通の日記です。雰囲気が主成分です。 楽しんで読んでもらえたら嬉しいです。

          • 耽美と虚無の並行遊び

            • 87本

            1分ほどで読み終わる短いエッセイです。 主にTwitterからの転載になります。 たまにTwitterにないエッセイが出現します。

          • 紅茶

            • 2本

            日常の虚しさに想いが流す血の匂いを嗅ぎつけて現れる、銀髪の怪傑『魔術師』が虚無に捧げる言葉と真理のお話。 負の場所にある心を、零地点へと導く掌編オムニバス。

          • 戯れの切れ端

            • 3本

            エッセイだったり、散文だったりする、曖昧な文章たち。 怒りが悲しみの二次感情ならば、私は美しいと感じたことを文章にして心と頭から追い出さないといけない。 美しいと感じたことを文章にしないと、私が思った美しさは悲しみに変わるから、名前も分類もなく書いたものを綴じておくファイルです。

          • ロード・オブ・ヴェルサイユ

            • 6本

            第三身分の耽美主義者が、ヴェルサイユという一つの象徴を目指していく過程で思ったことや出会ったことを書いたエッセイ。 創作の話や雑談、くだらないことを大真面目に考えたい。 閲覧には、記事一つにつき鍵を一つ100円で買っていただきます。 フォロワーさんにも見てもらえなくていいような気分で、好きなことを記事にします。

          • 花瓶

            • 4本

            雑記。自己紹介記事から即売会レポートなどの未分類記事を綴じたもの。

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            • ティフィンの微睡み(2021/07/05)

              耽美主義者の、ふんわりな日記です。 *誰かが側に、いると寂しい。 誰かと二人でいることの方が、孤独を感じるのはどうしてなのでしょうか。 私が感じている孤独や寂しさ、虚しさは、少しずれているような気がしています。 読み方は分からないのですが『入寂』という言葉があるそうです。 使うシチュエーションは不明ですが、黄泉の国へ旅立つという意味だそうです。 古い言葉では、虚しくなる、というのも死ぬことを意味します。 私は何処へ、行きたいのだろう。 *学校。 学校のことは劣等感製造工場

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              • ティフィンの微睡み(2021/07/03)

                耽美主義者の、ふんわりな日記です。 *チョコレートをたくさん買う。 週末はおやつを買います。 いつも買っているけれど。 今週はチョコレートをたくさん買いました。 かわいいチョコレートバーと、丸いチョコレート。 丸いチョコレートは、飴のように食べています。 ちょっとだけ、寂しいような気分です。 *髪を切る。 長い髪を、20センチ以上切りました。 自分が嫌いでたまらないと思うことがあったのです。 残念なことに、恋を失ったわけではないのでした。 私の髪は、恋よりも大切なのでした

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                • 13.『革命のグランギニョル』

                   醜く太った少年は、籠の中に囚われて、鎖されていた。白百合に囲まれながら、綺麗な王冠をかぶって、籠の中にいた。牢獄ではない。見上げても天井が見えないくらい高い、細長い籠の中で、少年は小さな目を瞬いた。咲き誇る白百合が、不穏に揺れていた。百合の群れの中に、赤い薔薇が一輪だけ、肩身が狭そうに小さく咲いている。少年──ルイは籠の柵に近づいた。籠の外には、内側と同様に白百合が咲いている。濛々と濃い花粉の匂いで満ちている。ルイは別に花を愛でるような気質はなかったが、自分に釣り合わない匂

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                  • 12.『薔薇うさぎと波打つ現実』

                     小屋の褥は薔薇だった。奇妙なことに背が伸びない、赤い薔薇。他の花に例えるならば、その広がり方は芝桜に似ていた。薔薇の花は大きいが、棘がない荊棘が──それは果たして荊棘と言えるのか──蔓と葉を伸ばして横に絡み合い、高貴な織物を機織(はたお)るように、薔薇は編み込まれて咲いていた。美しいけれども、単純に美を感じていい類の美ではない薔薇の存在感だった。厚いベルベットのような花びらの巻かれている間に、何かしらの悪意が挟み込まれている気配の上では、子うさぎが元気に跳ね回っている。  

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                    • 『私が幸せにできるのは、きっと私だけ』

                      愛する人がいても、愛している人を幸せにしたいと思っても、幸せにできるのは自分だけなのかもしれない。 でも、誰も幸せにできないから何もしなくていいわけではなくて、勝手に生きていい理由にはならない。 誰も幸せにできないことを愛することは知っていて、愛は常に生き方を問うているだろうか。

                      • 02.『酒と焼き菓子』

                         酒が並ぶ棚の前で辺りを哨戒する人影があった。酒を買いに来た客が現れると棚を離れ、誰もいなくなると戻り、瓶を見ていた。小柄なその人はマントに体も顔も隠し、誰かの視線に触れられることを怖がっているかのような佇まいだった。居心地の悪さと良心とを天秤にかけて、酒瓶を一本、素早く掴み取る。マントの中に瓶をしまう。  しかし小柄なその人の動きは、何かを欺くには正直が過ぎていた。瓶を隠した姿は、嘘をつくには愛らしさが過ぎていた。 「おい、お前。今、何を隠した」  びくりとして顧みるとそこ

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                        • 01.『やまない雨』

                          「どうして、生き続けなければならないのか――苦しみながら、生きねばならないのか」  雨が降っていた。いつから降り出したのかを、どうしてか思い出せない雨だった。よく晴れた空を、見た記憶を探していた。広い砂浜で、無くしてしまった一粒の砂を探すような試みだった。見つけることを諦めながら光を探し続けないと、気休めがなかったのだ。だが、縋ることにも疲れていた。光の存在を、無いものだと決めつけることができないままで。  雨の街には枯れ葉のような色彩の、傘を持つ人々が往還を彷徨っている。

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                          • 11.『溶けゆく薔薇獄』

                             麗人を取り囲むようにして、薔薇は咲いていた。使命感に満ちた鋭さを含んだ棘が、大輪の薔薇の間に間に悪意とともに隠れていた。麗人は擦り切れた黒い襤褸(ぼろ)に、高貴なその身を包まれて、長い睫毛を瞬いた。気分が落ち込むような、悲しく軋るような旋律が、何処か分からないところから流れているのが聞こえていた。  麗人は身体の内側がぞわぞわと落ち着かない奇妙な感覚を、嫌な予感のように思いながら、感覚から目を逸らして、上を見た。荊棘が何かと複雑に絡み合って構成された籠の、内側にいる──麗人

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                            • 『本当に愛してくれる誰か』

                              できないことがあったとしても、どんな姿になったとしても、愛してくれる人はいたのでした。頑張らないと愛されないと思っていた。頑張ればあのひとは私のことを愛してくれる。もし貴方が思う誰かがいたら、そのひとは貴方が頑張っても決して愛してはくれないひとだと、無性に誰かに伝えたいのでした。

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                              • 10.『始まっていた失楽園』

                                 黒い巨城を囲む広大な薔薇庭園の片隅に、庇のある小屋があった。薔薇の花壇に囲まれたカフェテラスのような佇まいの場所に、屋外用のテーブルと、一人分の席がある。麗人は薄手のストールを羽織って、雨の匂いがする風に吹かれながら、硝子のカップに瓶を傾けていた。ワインにしては色濃く、血液にしては黒みのない液体が、静かに注がれる。結わいていない黒緑色の柔らかな波を打つ髪を一房、ピアスの穴に穿たれた耳にかけて、麗人は赤い液体に口をつけた。薔薇の大樹が、麗人の居場所を隠すように咲く庭の片隅は、

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                                • 09.『雨の死骸と鎖された唇』

                                   麗人が買ったものは、傘ではなくて、薔薇だった。  青いレンズの色眼鏡に、夕闇の涙が滴る。鋭く美しい、長い睫毛に縁取られた明眸が、眦の険をぴくりとさせる。指先だけが露出した手袋に包まれた手のひらを暗い空に向かって開くと、ぽつぽつと、小雨ではあるが、雨が降り始めていた。緩く横に結わいた黒緑色の長い髪、目にかかった横分けの前髪を、麗人はそっと指先で払う。厳つい色眼鏡のレンスの下で、深海色の瞳が、寂しい雨を見つめていた。さめざめと流す涙にしては、あまりにも静かな雨であった。  麗人

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                                  • 08.『薔薇庭園にみる海』

                                     背の高い薔薇の木の下、冷たい石の褥に横たわり、麗人は一人だった。麗人の所有物である城、その敷地は車が通れる一本道を除いて薔薇園になっている。石畳に入ったひびからも新たな薔薇が咲き、薔薇以外の花は存在しない、豪奢な庭であった。しかし、それでいて花壇の間の小径は寂しい色を続けている。病を忘れて乾いた病葉が、土の上を覚えている。  薔薇の獰猛が支配する庭に緑は萌えることはない。薔薇によって廃されて滅んだような、瘴毒の強い場所。その片隅に、麗人は居た。枝を整えて切った、果実の木のよ

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