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ブクロライフ

2019年3月、「ブクロライフ」と称した写真群を東京は丸の内にある富士フイルムイメージングプラザに展示していた。

当時発売されたばかりの、中判デジタルカメラとしては小さくて機動力のあるGFX50Rのプロモーションの一環として、富士フイルムから請われて撮影したものだ。なので撮影はすべてGFX50Rで行った。

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私が所属しているトライフォース柔術アカデミー本部は池袋にあって、そこにはトップを目指して日々研鑽している若手選手が何人かいる。そのひとり、澤田伸大選手を撮った作品。

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当時彼はサワダーハウス(澤田の家なので)と称される、道場から歩いて5、6分の2DKのアパートに暮らしていた。そこはいわば、道場の寮といったところで、他の若手ふたりと一緒に3人で暮らしていた。

澤田は撮影を行った少し前に、ノーギと呼ばれる、柔術衣(ギ)を着ない、ラッシュガードとショーツ(短パン)の格好で戦う競技で世界チャンピオンになっていた。黒帯アダルトカテゴリー(29歳以下)での世界一は、日本人男子として初めての快挙だった。

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世界チャンピオンになったからといっても生活が変わるわけではい。興行とは関係のない、所詮アマチュアの世界である。オリンピック競技化しているわけでもない。それでも人生を懸けるべき何かがそこにはあるのである。基本、道場と自宅を往復する毎日。そんな若者の生活と環境の一端を見てみたい。誇張せず淡々と撮影することで、浮かび上がるものがあるのではないか。ある種、特殊とはいえこれもまた偽らざる、現代の若者の肖像なのである。といった趣旨で撮影、展示した。澤田のことを少しでもみなさんに知ってもらいたいという思いもあった。

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池袋駅北口といえば、豊島清掃工場の煙突である。見上げればそれは必ずそこにあって、どこからでも見える。高さ210m。都内にある清掃工場の煙突の中では最も高い。言うなれば、池袋駅北口のシンボル。あの頂き(トップ)を目指して、日々変わらぬ日常を過ごしている。時に路上を這いつくばりながら。そんなイメージで撮影した。

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トライフォースの若獅子寮、サワダーハウスはもうない。現在3人は別々に暮らしている。ただし、柔術に打ち込む日々に変わりはない。

柔術に懸けた青春。長い人生、いずれ彼らはこの日々をいかに振り返るのだろうか。

頂いたご支援は取材費に充てさせていただきます。その体験を写真や文章を通じ、みなさまにフィードバックできたらなと考えます。