いち写真家として考えること
色んな意見があると思う。
まだ緊急事態宣言が出される前、私が所属している柔術道場が休館に入る前日、4月3日の練習まで参加し、その写真をSNSにあげた。
すでにあの時点でも、三密を避けるようにとの自粛要請がある中、濃厚接触ともいえる柔術の練習をやり、その写真をあげることは、批判されるリスクもあったけれど、それでもアップしたのは、実際にこの世界には柔術(格闘技)で飯を食っている人達がいるからだ。その事実を知ってもらいたかった。
たしかに小さな世界かもしれない。でもそういうマイノリティーの声も届く、聞いてもらえる社会、多様な価値観を共有できるのが豊かな社会だと思う。
だから、先日(4月17日)の格闘技興行『Road to ONE』の開催も、個人的には意義があると思っている。実際それが開催されることにより選手、スタッフ、我々フリーランスにもお金(ギャラ)が発生するわけだから。助かる。
私も撮影することで生計を立てているひとり。
それに、個人的には、今後もコロナとは付きあっていかなければならないと考えている。緊急事態宣言が解かれても、その翌日から綺麗さっぱりコロナがなくなるわけではない。そういう意味ではある程度は、コロナウィルスとは共存していかなければならない。
専門家ではないので、具体的な付きあい方法については言及しない。無責任なことは言えないからだ。正直、正解も分からないし。(そういう状況も含めて付きあっていくということ。未知の新型ウィルスなのだからしょうがない)
綺麗さっぱりなくなるわけではないコロナが存在する現実社会で、今後スポーツや音楽イベントなどを数年間レベルで、一切やらない社会を目指すというのであれば、100%すべてを自粛するという選択肢も理解できるが、実際にはまだそこまでの社会のコンセンサスがあるわけではない。
オリンピックも現時点では一年後にやると言っているわけだし。
であるならば、細心の注意を払って、必要最小限の人数で、格闘技イベントを開催するという決断を覚悟をもって行う者達がいても、致しかたないと思う。先ほども述べたが、個人的にはむしろそういう人達がいた方が社会としては健全だと思う。みんなが右倣えではない社会。(今はそういう時期ではない、足並みを揃える時なのだという意見があるのは分かっていて、敢えて書いてる。大会主催者もむろんそれは分かっていて、それでも開催しているからだ)
自らの頭で考え模索し、決断して、覚悟をもって行動できる人間。
もちろん批判の声があるのも理解している。
ただ、実際にイベントを開催したから、結果なにが問題で、この先ももし続けていくなら、どこをどう改善すべきかということも明確になるわけで。(やらない可能性も含めて検証)。それが蓄積され、データとなって、今後格闘技に限らず、他のスポーツや音楽イベントなどの開催時にも、その経験が活かされていくのだと思う。
繰り返すが、今後もう一切イベントを半永久的にやらないというのであれば、話は別。ただそれは現実的ではないだろう。
そういうベースとなる自身のスタンスがある上で、大会関係者の意図に賛同し、撮影させてもらった。
常々言っているが、写真家は場にいることがなにより大切。被写体となる他者が存在しないと成立しないメディアであり表現だからだ。その場に立ち、目の前の事象を撮影(記録)する。その観点から、以下に、4月17日の写真をアップします。
4.17のドキュメントである。
ちなみに、選手とレフリー以外はマスク着用。セコンドは一名まで可。
ケージサイドで動く、撮影者、スタッフは防護服、マスク、ゴーグル、手袋を着用して臨みました。(リングアナはマスクだけなし。)
すべての関係者が当日は、電車・バスなどの公共交通機関の利用は禁止とされ、会場には自家用車かタクシーで入ることが義務づけられた。その費用は主催者が負担。
試合は無観客で、当日ABEMA(AbemaTV)で中継されました。
写真は基本的には撮影した順で並べてある。
スタッフミーティング
第1試合 ムエタイストロー級 3分3R
HIROYUKI × ポン・ピットジム
第2試合 グラップリングフェザー級 10分1R
宮田和幸 × 田中路教
第3試合 MMAフェザー級 5分3R
工藤諒司 × 椿飛鳥
第4試合 MMAバンタム級 5分3R
祖根寿麻 × 後藤丈治
第5試合 ムエタイ 72.5kg契約 3分3R
緑川創 × 西川大和
第6試合 グラップリングライト級 10分1R
青木真也 × 世羅智茂
シンプルに写真家だから、写真をたくさん見せた。良いものが撮れた時は見せるべきだろうという基本的な観点に立ち返っている。
ますます時代は混沌としてきた。ある種、写真の時代、個の時代と言える。
どっこいそのうねりの中に立って、時代に並走し記録していく。
頂いたご支援は取材費に充てさせていただきます。その体験を写真や文章を通じ、みなさまにフィードバックできたらなと考えます。