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指と指孔の距離

ツイッターで連ツイ(連続投稿)したときにはnoteにもまとめておくことにします。

ランディさんと始めるリコーダー 第4回」でも、閉じるときは軽く叩くように、開けるときには跳ね上げるようにというのを何度も繰り返し書きましたし、指を動かす速さは、ゆっくりのテンポでも速いテンポでも変わらないということも書きました。このことは広く知られて欲しいのですが、意外と誤解している人が多いようです。

そう思っていた矢先、ツイッターで、ケルトの笛屋さん@celtnofueという方が、次のような投稿をなさっていました。

良い機会なので、これに対する引用リツイートの形で、次のようなことを書きました。「このド素人様のような思い込みで誤解しているケース」みたいな毒含みですが(笑)、多少の推敲を加えるだけで、そのまままとめます。

キーのない笛では、指は指孔から出来るだけ離して保持するのが鉄則です。そのことが広く知られていないのは残念なことです。ときにはキーのない笛を教えている人でさえ、このド素人様のような思い込みで誤解しているケースがあるのは困ったことです。
一番重要なのは、指孔の近くに指を保持すると音高に影響することです。アルトリコーダーの左手のあたりだと1cm以下だと大変危険です。1cm以下に決して近づかないようにするには2cm以上はキープと思っておく方が良いです。3, 4cmでも全然問題ないです。
次にというか同じぐらい重要なのは、開⇄閉の遷移時間です。ポルタメントにするのでなければ、遷移時間は可能な限り短いのが良く、遷移時の速さが速いほど良いです。そのためには指は大きく動かすのが良く、ある程度遠くから叩き、遠くまで跳ね上げると良いのです。ここは異論の余地はないです。
指を速く動かすには指孔からの距離が短い方が良いと誤解している人が結構いらっしゃるようなのですが、逆です。遠い方が速くなります。そもそもテンポがゆっくりでも速くても、指を動かす速さは変わりません。指を動かす頻度が違うだけです。アレグロの32分音符であっても、閉のまま開のままで保持する時間より、開閉にかかる遷移時間の方がずっと短いのです。そうでなければ急速な音階は連続的なグリッサンドに聴こえてしまうはずです。
指の移動距離が大きいと指を動かす頻度を高めるのが難しくなるのでは?という疑問も成り立ちうるのですが、僕の経験上は、急速なパッセージでしっかり指を動かすときは、指の動きを大きくするように意識する方が上手くいくように思いますし、レッスンのときも、指を大きく動かすようにしてみてくださいという方が上手くいくケースがほとんどです。ただ、僕自身の動画を見ると、意外と大きい動きに見えなかったりもするので、何かのバランスはあるかもしれません。その辺は、いろいろなリコーダー奏者の動画も今は見放題なので、参照してみてください。どう見られようと、僕自身は、指の動きを小さくという風に意識したことはなく、しっかり大きくと思っていることは明言しておきます。
キーのある管楽器については、キーノイズが目立ち過ぎないようにとかキーが壊れないようにとかの要素も加わってくるでしょうし、鍵盤楽器のように指の動き自体が表現に関わる楽器では全く違う話になるでしょう。そういうことは十把一絡げの思い込みでなく、細やかな議論が望まれます。
以上です。

優れた演奏家の方でも、指の動きが小さい方が速く動こせるに違いないという思い込みで、指の動きは小さくと指導されているケースもあるようなので、僕の意見を表明する良い機会をいただきました。「異論の余地はありません」とは書きましたが、議論のきっかけとしていただければ幸いです。

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