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J2の地方クラブのチケット売上55,000枚超えはなんでだろう?

今週末開催予定のJ2清水vs横浜の国立の観客動員数が凄すぎる。
なんでだろう?


なぜJ2の国立に人が集まる?

J2で関東圏でもない静岡のチームなのに、なんで人が集まるんだろう?

清水はJ2降格でも観客動員数は増えた

清水は去年から2年連続でJ2暮らし。
それでも、リーグ戦のホームの平均観客数は、J1に居た2022年よりも、J2に降格してからも増えていて、2023年は14,393人、2024年は15,145人だった。
コロナでかなり客が減少したので、そこからの回復期なのだろうが、スタジアムの収容人数が約2万なので、中継を見る限りほぼ満員。
2位の仙台が12,879人なので2,000人ほど差がある。

J1だと、レッズの3万人越えには届かないし、16,000人以上の平均観客数のチームは14チームも居るので、J1が始まった時からあるオリジナル10のチームとしては少ない。
それでも、国立のチケット販売が55000枚超えなのはなんでだろう?

これまでの国立動員数は?

J1だった2022年の国立は清水vs横浜FMで56,131人。これは2022年の最多入場者数だった。
この年は、前年の無観客オリンピックで、新しい国立競技場を見てみたいという人とか、清水の創立30年だったりとか色々な要因があったようだ。
2023年は、J2に降格したが、清水vs千葉で47,628人で、J2の歴代観客動員数で1位になった。2024年は、既にJ2歴代記録を超えて、2022年を上回る勢いで推移している。

なぜチケットが売れるのか?

会社の営業力

千葉ロッテを黒字化した社長が、2020年に清水に来て、そこから色々な社内改革をした。特に営業力を強化してスポンサーやファンを集め徹底的に集客し、経営を黒字化して安定した。
アウェイチームにも、全国どこでも大応援団が行ってホームチームを上回る声援で、どこでもホームにしてしまっている。
清水サポーターが旅行で行くことで、地元にも金が落ちる相手チームや地元も喜ぶ形で貢献している。(敵地では勝利もプレゼントしてるし( ;∀;))
新スタジアム建設についても、市やスポンサーらと連携して行い、もっと利便性が高い清水駅から直結でできないか計画していて未来像も描けてる。
ただ、2020年から2022年に降格するほどチームが弱体化して、2023年に1年でJ1に上がれないなど、監督選びとチーム作りには失敗した。いくらファンが集まって黒字経営ができたとしても残念過ぎる。( ;∀;)

秋葉監督の魅力

2023年、ぶっちぎりの最下位からV字回復させ、昇格まであと1歩まで迫った。ファンと一緒に笑って泣いて、時々戦術的な魅力あふれるチームにした監督。俺は好きだなー。
去年まで、ホームで勝てないチームを、今年はホーム不敗で乗り切り、アウェイでもトントンにして、前半は去年の町田を上回るペースでぶっちぎりの首位で折り返し、ライバルの連勝を横目に夏場の不調を乗り切り、9月23日に1点差で首位に返り咲いた。

J2で飛びぬけた選手層と個の力

元日本代表キーパーの権田が失点を防ぎ、元日本代表、戦術「乾」という攻撃の起点が居て、キャプテン北川も既に10点取る活躍。
今シーズンは、半分ぐらい選手が入れ替わって、外国人もいっぱい入ってきて、ようやくフィットしはじめた。昨年まで居たJ1得点王チアゴサンタナが移籍しても盤石な選手層だった。
ポゼッションやビルドにこだわらず、なるべく早く前へボールを運んで得点チャンスを多くし、相手陣内に押し込んで、両サイドに振って守備をずらしながら、乾が中にスルーするみたいなことができるようになった。
乾が怪我で離脱している間も、ショートカウンターと運とガッツで乗り切った。
J2自体が少し前まで選手の爆買いで市場を席巻した中国スーパーリーグよりも市場価値がある中で、J2トップの選手層を要する個の力で得点を稼いでいる。

「個の力でガンガン行こうぜ!」戦術で快楽指数が高くなる!

選手の個の力で圧倒する中、戦術に関しては、ビルドもポゼッションを重視せずに、ボールを奪ってゴール前に早く運んで得点機会を多くする「ガンガン行こうぜ!」と乾や外国人の「個のテクニック」に頼った力でゴリ押しのノウキン戦術で、攻撃は最大の防御であるとばかりに、敵陣に押し込むスタイル。
一方的に攻めているが、相手の守備陣営を崩せず、点が取れないことが多いし、敵にカウンターで先制され、ガチガチに守られると、そのまま負けるパターンも多い。
得点力はNo1だが、失点も多い。
得点したとしても、再現性のないミラクルな得点が多く、必勝パターンがない。乾と外人と運任せで、ただ、先制した後に、点を取るために攻めてきた敵から大量得点することはできる。絶対的ストライカーが得点しているのではなく、色んな人が得点している形は悪くないが、再現性がないのが痛い。

圧倒的に攻めて、ミラクルな得点シーンが見える。
負ける時は先制されてガチガチに守られているが優勢には見える。

「ガンガン行こうぜ」の攻撃的で入るか入らないかは運しだいな所が興行として分かりやすく楽しいかもしれない。ハラハラドキドキは良いから、勝利の方程式を組み込んでくれとは思うが、まあ、いいや。

ちびまる子的なファンと娯楽のなさが丁度よい

静岡市には、はっきり言って娯楽がない。浜松市の方が娯楽があるくらい。
サッカーが唯一のエンタメと言っても良いし、サッカー王国「静岡」という自負をまだ持っている人も多い。高校サッカーも結構強い。
静岡市民は温和でのんびりしていてレッズのような過激さもなく、仲間とライブを楽しむ感覚で、勝ち負けに、そこまでこだわらない。サッカー以外にライブがないからサッカーに集まっている。
温泉のようなちょうどいいファン熱で、沸騰までせず、でも、凄く皆で一緒に楽しもうというザ・普通の人たちの唯一の娯楽。
野球のように毎日だったら疲れてしまうが、一週間がちょうどよい。
「ガンガン行こうぜ」で時々ミラクルな得点が見られるのが、丁度よいのだ。戦術的に戦われても分からんし、守備的なのは面白くないので、秋葉監督の見せる「選手もファンも楽しいサッカー」と、感動物語が丁度よい。
ちなみに俺は静岡出身のエスパルスファン。俺も、その一因です。

日帰りにちょうど良い距離感と静岡出身者の集いという側面

静岡なら、関東なら、どこでも気軽く行ける距離感で、国立競技場は交通の便もよく車でも行ける。
静岡出身者で関東に居る人も、静岡の知人に会うために、懐かしいエスパルスを見るために国立に集える。

10,000名のタダ券の呼び水

10,000枚のチケットをタダで配っているのも呼び水にはなっているでしょう。他のJ1チームでもやってるけどね。

国立で年に一回のお祭り感

新日の正月ドーム興業のように年一のお祭りに育てた会社が凄い。
J2降格後もも、継続したのが素晴らしい。
静岡の人、年に一回、国立で会おう的な感じが丁度よい。

首位決戦というカード運

勝ち点差1で1位清水vs2位横浜FCの首位決戦というカード運が良い。
得点No1の清水と最少失点の横浜FCの盾と鉾の分かりやすさも良い。
ここで勝った方が、J2優勝&J1昇格に近づく。

まとめ

市民が集う楽しい「サッカー祭り」を年一で国立で!

・会社の営業力
・秋葉監督の魅力
・選手の個の力と魅力
・「ガンガン行こうぜ」という楽しさ重視のプレースタイル
・ファンの丁度良い熱
・年一の特別なコンテンツに育てた継続の素晴らしさ
・地の利やカード運

などなど、色んな要因が重なって、地方のJ2チームが国立に集客できるのだと思う。天地人が揃ったのは、やっぱり3年かけてやってきた成果だな。

サッカーのファンや下部組織を巻き込んだエコシステムは、かなり優秀で、ゲームにも適用できるので、こちらもまとめたい。
以前まとめた、依存ビジネス要素とも類似性があると思う。

ライブと興行、野球の興行やアーティスト、芸人などの凄さも妄想したい

毎日数万人も動員するプロ野球や、チケット即完のアーティストや芸人のすごさについても調べて、知見を増やしたい。

行くなら今!


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