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本によってつながれた私たち②

哲学にハマる私たち

 とある日の放課後、私とヒメカちゃんは図書館にいた。
「私たちが目にしている世界って本物なのかな」
ヒメカちゃんがそう言った。
ここは図書館で、当然哲学に関する本がある。
なので、人の少ない図書館で私たちは片っ端から関連する本を漁った。
「定期的に哲学に関することをお互いに考えて、その考えたことを先生とか友達に言ってみて色んな人から意見をもらってみようよ」
どちらがそう言ったのかは覚えてないけれど、そうと決まればさっそく題を決めて一週間互いに考える期間とした。
題は、「目の前に広がる世界は本物なのか」だった。
一週間して、私たちは意見を交換し合った。
「私は、偽物だと思う。例えば、寝ているときに私たちは夢を見る。その夢を見ている間は自分が夢を見ているとは思わず確かにそこに存在しているように感じる。今私たちが生きている世界も、夢なのではないか」
「私たちはお互いに見ている世界が違う。私が見ていないならそれは存在しないと思う。見ている世界はそれぞれ違うと思う。だからそれを本物とは言えないんじゃないかな」
ムズカシイ。
結論なんてわからない。
でも、こうやって語り合うのはすごくワクワクした。

クラスが離れた私たち

 高校一年生の色鮮やかな日々は嵐のように過ぎ去った。
あまりにも一瞬で、私は夢を見ていたのではないかと思うほどだった。
二年生になって、ヒメカちゃんとはクラスが離れた。
クラスが離れたことにより、
私たちが交流する機会は明らかに少なくなっていった。
昼休みと選択授業の時くらいしか会うことがなくなってきた。
関わる時間は減ってしまったけれど、私たちの仲はそんなものでは揺るがない。そう信じていた。
一緒に色んな所へ行った。
放課後に駅に寄ってご飯を食べたり、図書館へ行ったり、私たちはクラスが離れてもよく一緒にいた。

私の彼女に対する純粋な思いは
いつから執着へと変わってしまったのんだろう?

乱入者

 私とヒメカちゃんは図書委員会に入った。
図書委員会でとある男性と知り合った。ここでは名前はTとする。
私はこのTから猛烈なアプローチを受ける。
それまで整然としていた私の人生に突然現れた奇異な存在だった。

高校二年生の夏、私はTと花火を見た。
今思えば、それはわかりやすく言うところの「デート」というもので
口には出さないけれど、お互いにそう認識していただろう。
帰りに私は告白された。
私は断った。
それ以来全くと言っていいほど、彼と会話を交えることはなくなった。
私の心は彼と知り合う前の状態にはもう戻れない。

私の毎日はそれまで、男性の姿はなかった。
彼と知り合って私は変わってしまった。

人に気に入られる、自分が誰かの注目の的となることは
正直気持ちがよかった。
そして、彼から告白をされたとき
「自分にはもっといい人がいるのではないか」
という考えが脳裏をよぎってしまった。

他人からの評価が何よりも重要で、
人の目線を気にして生きるようになり、
私は「傲慢」な存在になってしまった。
それはある意味では、人間らしくなったのかもしれない。

続く


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