幼い頃は、朝目覚めてから体に力が満ち渡り、ようやく手先の方に力が入るまでに一定のラグが存在した。 わたしはそれを、夜の間に抜けてしまった魂を体に詰め直すような時間だと思っていて、天井をじーっと見つめながら指先をピクピク動かせるようになるまで待つのが常だった。 そしてうまく力の入らない足で、よろめきながらベッドから抜け出し、まだピリピリと痺れが残るような手をこそばゆく感じながらゲーム機を握ったりして遊び始めるのだ。 つい最近まで私は、それが人間というものなのだと思っていた
わたしは大海原を大冒険しているサカナ。新しい場所へグングン泳ぎ、飛び跳ね、気ままに舞う。わたしは自由。何をしてもいいし、何もしなくてもいい。生まれた環境から飛び出し、知らないことをたくさん学び、成長していくの。 けれど、わたしが大海原と思っていた水は現実にはそれなりの大きさの水槽。なんの枷もついていないと思っていた足には浮かび上がりすぎないように重りがついている。 そしてわたしはそのことに少しがっかりしつつも、すっかり安心してさえいるのだ。
18歳の頃の私がただ本が好きだという理由だけで文を書き、やっと少しお話のようにある程度の形にまとめることができた文章を載せたいと思います。 _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 「星の下を歩く」 僕は歩く。とてつもなく長い一本道を。昼も夜も、休むことなく。たくさん出会ってたくさん別れて、泣いて笑って、転んで飛んで、それでも歩く。でもさすがにちょっと疲れたんだ。立ち止まってしばし休憩してもいいだろうか。 「そこで何をし
恋をしている時。あの人に近づきたい、好きになってもらいたい、どうしたら気に入ってもらえるかな、気づけばそんなことばかり考えて一日が過ぎていく。 そんなある日ふと聞こえてしまった、あの人が語っていた理想の女の子像はあまりにも自分とかけ離れていた。 瞬間、自分の価値が絶対的に捉えられなくなってしまって、好きな人の価値観の上でしか存在できないような気持ちになる。その人にとってどうでもいいような自分ならば、生きている意味がないのだ。 仕事をしている時。上司に認められたい、どうし