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雪のような苺のお菓子

昨年の今頃は、お隣にとても可愛い女の子が住んでいた。
中学入学を機に、引っ越してしまって、今年は少し寂しい。

女の子は体が弱く、学校を休みがちだった。
家にいることを知っていたので、11月のある日、ドアにそっとアドベントカレンダーをかけておいた。
クリスマスまで、毎日一コマずつめくれるようになっていて、一粒ずつチョコレートが入っている。

いつもは、家で本を読んでいるのだと、お母さんに聞いていた。
ひとつ年上の娘が、学校で賛美歌312番の伴奏をすることになってピアノで練習していると、お隣からもピアノが聞こえてくる。
違う賛美歌の曲だった。
それが、絶妙なタイミングで聴こえてくるので、娘は大喜びした。
「今日は、元気みたいだね!」
なんとなく姉妹のように似た感じの二人は、どこかで繋がっているみたいだった。

クリスマスが近づくと、ブライアン・ワイルドスミスの金の縁取りが綺麗なマリア様の絵本を出してくる。
一緒に読みたかったようだが、寒いと調子がよくない日が続くようで、なかなか会えないでいた。


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ある日の夕方、その子がお菓子を持って訪ねてきてくれた。
女の子は、玄関に飾ってあるオーナメントを褒めてくれた。

くるみ割り人形やテディベア、雪だるまにサンタ、雪の結晶・・・。

それぞれに写真を入れられるようになっている。
本来なら、写真を入れるところだけれど、私が不精なために、一度も入れたことがないまま飾ってあった。

「かわいい。」
そう言ってくれて、はにかむように笑顔を見せてくれた。
「アドベントカレンダー、嬉しかったです。」
そして娘に、苺に白いチョコレートと粉砂糖がかかったお菓子を手渡してくれた。
雪のような・・・。

こどものための聖母マリア物語を、今年も出してきて読んでみる。
今年、春はすでにコロナで大変だったけれど、元気に学校に行けているといいな。
雪のように綺麗な肌をした女の子。
あの子の瞳の透明感が、とても好きだったのだ。

美しい絵本は、イコンのように金の枠の中にお話の内容が描かれている。








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