心の機微を閉じ込められる唯一のカメラ、LUMIX S5II。インスピレーションを掻き立てるカメラに共通する2つの条件
こんにちは。スーパーカブで旅をしながら写真を撮っているKeng Chi Yangです。
今回は、LUMIX S5IIをお供にして約2週間、1,500kmの小さな旅に出て来ました。
その中で感じたS5IIの魅力を、撮って出しの撮り下ろしでお伝えします。
心の機微を閉じ込められる唯一のカメラ
「一人旅のわくわく」は、ただ気持ちが高揚するだけではありません。静かな轟音とでも言う様な、ざわめきと心地よさが同居する。そしてそれはとても不安定で、いつも唐突にやって来る。しかし、一度目を逸らしてしまえば、何事もなかったかの様にフと消えていく。
現場を離れ、冷静にPCへと向かって編集していると、やれ白飛びが、あゝ色温度はどうだと、どうしても大人になってしまわざるを得ません。撮影現場ではもっと即物的で、儚く、ある種の無邪気さを伴っていたはず。
美しい、エモい、幸せだ、風の音や気温の場合だってある。
その心のときめきを、現場で思う存分に写真へと込められればどうでしょう。より美しい思い出となるに違いありません。
この気持ちを思う存分に写真へ閉じ込めたい。
と、以前までは思っていました。この切なる願いを叶えてくれたのがS5IIです。
質実剛健で変幻自在
私が求めるのは、インスピレーションを掻き立てるカメラ。
これを実現するためには、二つの条件があります。
つまり、質実剛健かつ変幻自在であること。
これらは相反する様に聞こえますが、ダイナミックレンジや高感度耐性など、どのような環境でも安心して使えるカメラでないと心置きなくカメラに振り回されることができません。
1つめに関しては、都市風景写真家である新納翔先生のnote記事がとてもわかりやすいです。
こちらは初代S5の記事ですが、操作性などに関してはほぼ同じ。
ファインダーを覗いたまま、全ての操作が思い通りにできることは、ときめきを邪魔しないこと。これは撮影時に最も重要なことだと考えています。
更に、S5IIになってからは高感度耐性が非常に高くなり、位相差AFが搭載されたことでAF精度もブラッシュアップされ、もう言うこと無しです。
2つ目の項目に関しては、リアルタイムLUTが叶えてくれました。以下で少し解説します。
リアルタイムLUTの可能性
LUTをカメラ本体へ読み込み、そのままJpeg + RAWへ同時記録できることがS5II最大の特徴だと思っています。
これが、先に述べている「心の機微を閉じ込められる」ことに繋がるのです。
複数のLUTをカメラへ読み込んでおき、ファインダーを覗き込みながらぐるぐるとLUTを変える。
それだけで、被写体と対峙した時に感じる心象にも似た印象を、後でRAW編集することなど考えなくとも、その場で感じたままに記録できる。
今まででは考えられなかったことです。
できるだけ緩やかなシャドウに中間調のメリハリ、ハイライトの抜け、そして濃すぎない彩度。これらを満たすフォトスタイルは中々ありません。
それがLUTを読み込める様になったことで、ファインダーを覗けば自分が見たい世界を見ることができる。これほどまでに写欲が昂ることはありません。
もっと言えば、思い切って露出オーバーで撮ることや、限りなくシルエットに近い状態で撮影することも思いのまま。綺麗な状態で記録して後で編集しても、露出オーバーで撮った際の霞んだシャドウや、白飛びギリギリを攻めたハイライトの煌めきは再現できません。
より自分が望んだ形で撮影できるので、結果的に良い写真が生まれると信じています。
ホワイトバランス
ホワイトバランス(WB)は普段からほぼオートのみですが、WBシフトは多用しています。
LUMIXのカメラはWBシフトを極端に弄っても破綻しません。LUTへの影響はありますが、色の濃淡や色被りの補正などを行うのに便利です。
現場で後の編集作業などを考えずに完結できるから、インスピレーションへ素直になれます。
アスペクト比
以前からも感じていたことですが、旅を始めてより強く感じることがあります。
目の前の風景を3:2のフォーマットだけで表現するには、世界はとてつもなく大きく、思っているよりも狭い。
言葉にするのは難しいのですが、ファインダーを覗いている時の居心地の違い。何か撮りたい目的がある時は、4:3でファインダーを覗いていて、とても居心地が良い。
逆に3:2は散漫で、ゆっくりと腰を据えて居るかと言われればそうでも無い。
人が外の世界を見ている時は、大抵こんなものでしょうね。視えていても、捉えていない。何も考えずにパチパチと小気味良くシャッターが切れる。背面液晶で撮ると心地良いのが3:2。
今回は何故か3:2でほとんど撮影していないのは、カメラから受けるインスピレーションが強く、より現場で追い込みができているからでしょう。
記事に使用している画像も「4:3」「16:9」「2:1」「65:24」と幅広い。これも撮影時に全て簡単に変更でき、勿論、3:2と1:1でも撮影可能です。
現場で完結できる
ここまで胸を張って「現場で完結できる」と書ける理由は、S5IIの撮って出しデータの品質の高さが理由のひとつ。
レンズの性格も相まって無理なシャープネスも掛かっておらず、スムース且つ立体的なJpeg画像が得られる。これには正直驚かされました。
さらにスマートフォンでLUMIX Syncを使えば、カメラからそのままデータ転送できるので、煩わしいパソコン作業からもかなり解放されます。
旅人だけでなく、ライトユーザーやSNSが大好きな方こそ、このカメラの有り難みを享受する機会が多いでしょう。
f1.8シリーズが化けた
これまではLUMIX S1Rに、レンズはS Proシリーズを愛用してきました。しかし、今回使用したS5IIは小型軽量モデル。折角なので、同じく小型軽量な35mm f1.8、50mm f1.8だけで撮影をしてみました。
正直なところ、これまでは私にイマイチしっくりとハマらなかったレンズ群でしたが、LUTを使うことで新たな発見がありました。
S Proシリーズはとても強く、生命感の溢れる素晴らしい画が出てくるレンズです。それに比べf1.8シリーズは、良い意味で素朴なレンズ。クセも少なく真面目な性格で、スッと肩の力を抜いた繊細な画が特徴です。
真面目なLUMIXらしく、しっかりと住み分けがなされていて、更に好感度が高まりました。
今回使用したLUT
全てLUMIX Color Labから「無料でダウンロード」できるLUTを使用しています。
ちなみに、私が使用したLUTの組み合わせは以下です。
S5IIはLUTを10個まで登録できるので、今回はマイフォトスタイルに全て充てています。特に「S-Deep Forest Low contrast」「dramaticviolet」の2つを多用しました。
ダウンロードできる全てのLUTがハイクオリティで、撮影していてとても楽しいものでした。
全てを試し切れていないので、まだまだこれからも楽しめそうです。
補足で書いておきますが、取り込み方は簡単です。ダウンロードしたLUTをSDにコピー、メニューのLUTライブラリから読み込むだけで使える様になります。その後はメニューのマイフォトスタイルでリアルタイムLUTを選択した状態で、読み込んだLUTを充てるだけです。
マイフォトスタイルに登録しておけば、いつでも即座に呼び出しができる様になります。説明書を見なくても勘でできたので、その程度の難易度だと思ってください。
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございます。
S5IIへの愛が伝わったでしょうか。誰にでもオススメできる、革新的で万能なカメラだと思います。
これからも私の良き相棒となってくれるに違いありません。今日もこれからS5IIにまだ使っていないLUTを読み込んで、お散歩に出かけようと思います。
ご拝読いただき、ありがとうございました。Keng Chi Yangでした。
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