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空は蒼青、山はこんもりと濃い緑

久しぶりに外出した。自転車で行った。
風はまだ冷たかったけれど、軽いめまいもしたけど、それでも行った。息づくいのちを感じたくて。

空は蒼青、澄み切っていて佇んでいる青空の片隅にいる白雲も、まるで生きているようだった。
山はいよいよ緑を増し、みずみずしく、生き生きとしていた。

道すがら、名もしらぬ草ぐさが、花ばなを誇らしげに咲かせていた。
紛れもない初夏のいのちだった。

心の赴くままに自転車を走らせた。いつの間にか冷たかった体から、汗が吹き出し、これが生きる事か。私は生きている、と感じた。

更に走った先には、私が生まれて初めて見る甲斐犬がいた。老いていたけれど、誇り高く、気高く、そして優しかった。

その脚をや爪を見て、このイヌはアスファルトの上ではなく、山で生きるいのちだと思った。

聞けば和犬は、狼にいちばん近いイヌだという。

狼は古代、大神に通じた。
私達は自然を侮り過ぎた。容易く、そして気安く近づき、そして畏れを忘れた。

いつの間にか、生きることが疎かのなって、こころでもたましいでもなく、頭で考えるようになった。

ヒトはどんどんどんどん自然から離れていった。
私達は、山や海のたみだったのに。平原や草原の民だったのに。
いのちは、もともとある場所から離れたらいつのまにかひび割れてそして壊れてしまう。
あの山も、あの空も、この世のいのちを育むもの全て。

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