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「キングダムの好きなキャラ」を聞くのは結構危険だと思う

 外出が制限されるいま、いい機会なので「キングダム」を一気読みしてみました。
 この漫画、とにかく会社の偉い人(クライアント含む)の評判がよい。ので、飲み会で結構話題に上がるのですよね。あーはいはいビジネスマンって三国志好きだもんね、と受け流しつつ(キングダムのよくある勘違い。実際はさらにその前の話だよということをすぐに知る)、ここまでハマるとはどんだけ面白いのか?というのは気になっていたところだったのです。とはいえ、その面白さって、ものすごいmasculineな感じで、「Disney好き、ラブコメ好き、少女漫画/女性漫画好き」な私はいまいちハマらない可能性もあるなと思っていたのです。
 ところが、そんなものは杞憂の杞憂で、約3週間で無事に最新57巻まで読破。今回もまた良いところで終わるんだなぁ。。
 というわけで、いまさらのいまさらではあるのだけど、私が考える、「キングダムってここがすごくて好き!」を以下5点でメモ。

1.登場人物、ストーリー展開のバランスがいい!
 私自身がキングダムにハマれたのは、ほんとにこのバランスだったと思う。ここは史実と違って、戦場にも女性が何人か出ていて、男一色の世界ではない。フェミニズム視点でいうと足りないところもきっとあるのでしょうけど、河了貂、羌瘣といった「自分で自分の道を決めて、行動する」女性たちが魅力的に描かれている点はかなり好感を持ちました。
 また展開も、戦場一色でないところが好き。それは、前半がまず他の国を攻める前に秦国内の内乱をおさめる必要があったからではあるのですが。個人的には、愛憎渦まくまさしく昼ドラな後宮まわりのお話は結構好きでした。太后様濃すぎる。
 戦のあとには必ず文官による調整の過程もはさまれ、その部分が幕間の機能も果たしているのも好き。ドラマたっぷりの戦闘→束の間の文民活躍(幕間)の流れはこれからも変わらないと思うので、これからも幕間も楽しみに読み進めていきます。

2.ドキドキハラハラ、でも実はなんだかんだ安心できるストーリー
 強敵ばっかり出てきて、ほんとにこの戦い勝てるの??のオンパレードなキングダム。ですがご安心あれ。秦が中華を統一するという最大のネタバレはすでにされている。また、主人公信が将軍になるのも第一話であっさりネタバレしている(これ知ったの、アメトーークのキングダム芸人見てからなんですけどね。しかし一部終了前の放送だったとは!)。ので、その後の展開に安心したい人はWikipediaで当該人物の記事を読むなり、なんだったら司馬遷の『史記』を読めば大筋はわかるのです。
 進撃の巨人なんて、展開がわからなすぎて普通に主役クラスがあっさり死にかねなかったので、ここの安心感ほんと違いすぎる。

3. 話の引っ張らせ方が上手い
 キングダムがすごいなと思うのは、そのような史実という最大のネタバレがありながら、きちんと読ませることができているということ。それだけ、史実の行間の肉付けがうまいということもあるし、その最大のネタバレに代表されるように「いかにそのような展開になってしまったか」を描くのがうまいなと思うのです。作中でも、時折先の展開をナレーションで先に宣言して進むことがあるのですが、それでも飽きない。というか、なぜその展開になるのかが気になって読んでしまう、というからくり。比較的直近の回で、かなり順調に戦ってた味方(一応伏せる)が「このあと、討たれるのである」と予告されたときには「ええ、どうやってー!?」ってなりました。

4. 映像を見ているかのような画面構成
 戦闘シーンの画面構成は流れるようで、映像のよう。3であげた引っ張らせ方も含めて、非常に映画的なつくりだなあと思いました。と思っていたら、作者の原先生はもともと映画が大好きで映像の勉強をされていた方らしい。恐ろしく納得です。

5. ビジネスマンがハマるの納得!ビジネスに応用できる考えがいっぱい
 どんでん返しの連続なキングダムですが、戦に勝つためには「しっかりした戦術+個々人の能力」であることがこれでもかとばかりに示されます。
 また、個人的に勉強になったのは、「企業戦士」ともいえる上昇志向の強い会社員がどのような考え方をしているかということ。要は武功を上げて、百人将、三百人将、千人将、、、って成り上がっていく発想なのですよね。自分には、この発想はないかな。笑

ビジネスのエッセンスも盛り込まれ、魅力的な人物がたくさん出てくるキングダム。ゆえに、ビジネスマン同士で「キングダムの好きなキャラ」を話題にするのは、盛り上がるであろうとと同時にちょっと危険な気もするのです。
 だって、それってそのまま、自分の生き方や目指す姿を見せているように見えてしまうから。「ひょうこうのような本能型を極められたいのね」「かんきみたいにアウトローに我が道をいきたい…?」「昌平君のような頭脳派でありたいのね」みたいな。そうすると、圧倒的なカリスマ・王騎が好きって言っておくのは一番無難なんだと思います。主人公が最大の師匠としている王騎。異論ないですからね。

ちなみに私の好きなキャラは飛信隊の女子2人と蒙恬で、今のところ嫌い(苦手)なのは王賁と録嗚未です。生まれ云々で見下す人はやっぱり嫌だなぁ。


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