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幼児退行する哲学少女

るりは不安や不穏を追い払いたかったのでしょう。この頃から、すみっコぐらしの世界に救いを求めるようになり、すみっコのキャラ図鑑を読んだり、すみっコたちと一緒に農園を作るゲームをして時間をやり過ごすことが増えていきました。

この頃から、るりの表情に変化が出てきました。
必死に、すみっコの世界に逃げて生きようとするるり。このるりは、5歳ぐらいの子どものような表情と仕草をすることがあり、幼児の頃の自分に戻りたいのかなと感じさせました。

動物キャラのヘアバンドをかぶってふざけて、写真を撮ろうとすると、小学生のように両手でピースを作ってはしゃいだ顔を見せました。小さい子のように、私の布団に何年かぶりに入ってきたこともありました。

一方で、不穏に捕えられて、虚無的なやさぐれた表情をすることもありました。ぼんやりしているのだけど、死や病や傷といったことについて考えているのかなと思わせる暗い目をしていて、親の私でもちょっとゾクっとすることがありました。

そんな時は、希死念慮を詠った詩を読んだり、反出生主義という思想について調べたりしていたようです。るりは以前から哲学の本を読むのが好きでしたが、鬱の時に「人はなぜ生まれてくるのだろうか」と考えることで(鬱だからこそ考えるのかもしれませんが)、より鬱が深まった気がします。

躁鬱という気分の両極端だけではなくて、自分の中の子どもと大人という両極端も行ったり来たりしていたというか…。健康な子どもですら不安定な思春期に双極性障害を発症したことで、るりの精神はグラグラ揺れ、どんどん危険な方へと向かっていってしまいました。

せめてもう少し発症が遅かったら…思春期が終わってもう少し精神的に安定した時期の発症だったら…結果は違っていたのでしょうか。


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