研究ノート:チェコの女性旅行家B・M・エリアーショヴァー(ブルナ・ルカーシュ)

チェコの女性旅行家B・M・エリアーショヴァーについて発信します。

研究ノート:チェコの女性旅行家B・M・エリアーショヴァー(ブルナ・ルカーシュ)

チェコの女性旅行家B・M・エリアーショヴァーについて発信します。

記事一覧

エリアーショヴァーが山田耕筰に出会った日本郵船の伏見丸。

徳冨蘆花『不如帰』のチェコ語訳と当時の肺結核流行について

 新型コロナウィルス感染症が蔓延ってまもなく、感染症というものを主題とした文学作品、なかでも近現代文学の作品を読み直し、その内容を、これまでのわたしたちの生活を…

図録「花の国への旅」刊行

2019年12月、チェコ共和国ブルノ市にあるモラヴィア州立図書館に開催された展示「B・M・エリアーショヴァー:花の国への旅」の図録が無事刊行されました。エリアーショヴ…

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汽船「La Lorraine号」で旅をしたチェコの女性旅行家たち

日本を最初に訪れたチェコの女性旅行家

 B・M・エリアーショヴァーは、チェコの女性として初めて世界一周の旅行を実現し、日本まで足を運んだ旅行家とされている(じっさいにウィキペディアなどにもそう書かれ…

旅行家か、滞在者か。

 大正期・昭和初期に四度も来日し、数多くの日本の文化人と交流を持ったチェコの女性旅行家、小説家、翻訳家でもあるバルボラ・マルケータ・エリアーショヴァー(Barbora …

B・M・エリアーショヴァー

B・M・エリアーショヴァー(1874~1957)は、明治・大正・昭和初期に4度も日本を訪れた中欧チェコ出身の女性旅行家、作家ならびに翻訳家である。このノートでは、20世…

エリアーショヴァーが山田耕筰に出会った日本郵船の伏見丸。

徳冨蘆花『不如帰』のチェコ語訳と当時の肺結核流行について

 新型コロナウィルス感染症が蔓延ってまもなく、感染症というものを主題とした文学作品、なかでも近現代文学の作品を読み直し、その内容を、これまでのわたしたちの生活を根こそぎ覆した今回の感染症と結びつけて考えるという動きが起こった。過去の〈流行感冒〉を取り上げた作品はさまざまな示唆に富んでいるが、このような動きは、昔の作品の中から何かを、例えば、実用可能な知識を学び取るためではなく、むしろ今日の状況に照らし合わせながら過去の作品を、今までとは違った観点から眺め、新たな解釈を試みるこ

図録「花の国への旅」刊行

2019年12月、チェコ共和国ブルノ市にあるモラヴィア州立図書館に開催された展示「B・M・エリアーショヴァー:花の国への旅」の図録が無事刊行されました。エリアーショヴァーの仕事を紹介する(まともな)論文や記事が少ないなかで、これが貴重な資料になると思います。小生は、エリアーショヴァーより早く日本を訪れたルイザ・ネドバロヴァーのことや、エリアーショヴァーと山田耕筰の交流などについて書いた小論文を寄稿しました。

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汽船「La Lorraine号」で旅をしたチェコの女性旅行家たち

日本を最初に訪れたチェコの女性旅行家

 B・M・エリアーショヴァーは、チェコの女性として初めて世界一周の旅行を実現し、日本まで足を運んだ旅行家とされている(じっさいにウィキペディアなどにもそう書かれている)。しかし、じつはエリアーショヴァーより数年も早く、今は埋没され誰も知らない、もうひとりのチェコの女性旅行家が日本を訪れている。  彼女の名はルイザ・ネドバロヴァー(Louisa Nedbalová)といい、日本でも知られる世界的に有名な作曲家ならびに指揮者オスカル・ネドバルの妹にあたる。  1905年のこと。東

旅行家か、滞在者か。

 大正期・昭和初期に四度も来日し、数多くの日本の文化人と交流を持ったチェコの女性旅行家、小説家、翻訳家でもあるバルボラ・マルケータ・エリアーショヴァー(Barbora Markéta Eliášová, 1874~1957)の活躍およびその功績については、少なくとも筆者が知るかぎり、日本ではこれまでほとんど紹介されていない。現在のチェコでは、東南アジアのみならず、南アフリカやオーストラリアなどを歴遊した女性旅行家としてその名が知られている。しかし、知られているとはいえ、決して

B・M・エリアーショヴァー

B・M・エリアーショヴァー(1874~1957)は、明治・大正・昭和初期に4度も日本を訪れた中欧チェコ出身の女性旅行家、作家ならびに翻訳家である。このノートでは、20世紀前半の日本でチェコの文化を紹介し、また同時にチェコで日本文化を積極的に紹介した彼女の〈架橋〉的な活躍や功績を紹介したい。