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交通事故の被害にあった場合に弁護士の僕ならどうするか-15(自賠責に対する請求ー事前認定)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:交通事故 】

昨日に引き続き交通事故について書いていきます。

さて、今日も後遺症の話ですが、そもそもの話としては、後遺症があると、後遺症を理由に損害額を増額することができ、だからこそ、後遺症があるかどうかが大切になってきます。

ただ、後遺症を理由に増額できるのは、その後遺症が、少なくとも、後遺症等級(ランク)のうち、14級に該当する必要がある、ということでした。

後遺症には、1級から14級までランク付けされていて、その中のどれかに該当して初めて、後遺症を理由とした増額が認められます。

で、裁判となれば、後遺症の等級を判断するのは裁判官ということになりますが、その前に、後遺症の等級を認定してもらうチャンスがあって、それが、自賠責に対する申請なんです。

さて、こう書くと、あたかも、自賠責の保険会社に対して、「後遺症の等級認定」を「申請」した結果、自賠責保険会社が、等級認定の結果を報告する、というように見えますが、そうじゃありません。

自賠責の保険会社に請求するのは、あくまで、保険金の支払いです。

自賠責(自動車損害賠償責任保険)は、自動車損害賠償保障法という法律に基づいて、あらゆる自動車が加入を義務付けられています。

自賠責に加入していない自動車は公道を走れないどころか、運転することすらできません。

公道以外でも、交通事故が起きる可能性はあるわけで(例えば、駐車場)、だからこそ、自賠責に加入していないなら、自動車を動かしてはならないんです。

さて、この自動車損害賠償保障法では、交通事故が起きた際に、自賠責保険会社が支払う保険金の額について、政令で決めると条文に書かれています。

この条文を受けて、自動車損害賠償保障法施行令という政令が昭和30年に発布されています(当時の内閣総理大臣は鳩山一郎です)。

まあ、保険金の金額は、発布当時から増額が繰り返されているのでしょうけど、現在だと、例えば、後遺症等級が14級の場合、後遺症慰謝料として75万円を、自賠責の保険会社が支払わなければいけません。

さて、このお金を自賠責の保険会社が支払うのはいいんですが、どうやって支払うのか、ということです。

ここで、いわゆる「事前認定」と「被害者請求」という2つの方法が出てきます。

今回の設定では、追突してきた自動車(ヤリスクロス)が、あいおいニッセイの任意保険に加入していました。

だから、俗に「一括対応」と呼ばれる手法で、あいおいニッセイが、治療費を病院に直接支払ってきました。

しかし、一括対応は11月いっぱいで打ち切られてしまい(事故は6月10日、通院初日は6月11日)、僕は、翌年の1月10日を症状固定日として、後遺症の診断書を書いてもらいました。

症状固定日を決めたら、次は、あいおいニッセイに対して、直接支払われた治療費以外の損害を請求していくことになりますが、当然、僕は、後遺症を理由とする損害賠償も請求します。

医師に後遺症の診断書を書いてもらっていますから、これを根拠に、後遺症慰謝料を請求します。

例えば、診断書によると、僕の後遺症は少なくとも14級に該当するから、後遺症110万円支払え!という感じです。

ただ、あいおいニッセイも、後遺症の診断書があったとしても、その後遺症が少なくとも14級に該当しなければ、後遺症を理由に増額する必要がないと知っているわけで、診断書だけを理由に増額することはありません。

あいおいニッセイも、診断書に記載された後遺症が等級認定されるのであれば、支払います。

じゃあ、どうやって等級認定されるかどうかを確認するかというと、あいおいニッセイが「事前認定」を、自賠責の保険会社に求めるんです。

説明します。

昨日もお話したように、あいおいニッセイは、被害者に払ったお金のうち、自賠責から払われる金額については、後日、自賠責の保険会社から回収するんですが、後遺症について、後で自賠責から回収できるかどうか、事前に確認しておくんです。

つまり、あいおいニッセイ(任意保険会社)から、東京海上日動(自賠責保険会社)に対し、今回の後遺症について、自賠責から後遺症慰謝料が支給されるか、事前に確認しておいて、自賠責(東京海上日動)が払うんだったら、あいおいニッセイも払うよ、というふうにするんです。

だから、「事前認定」と呼ばれるんです。「事前確認」という名前でもいいんですけどね(笑)

あいおいニッセイとしても、自社の判断で後遺症慰謝料を払った後で、自賠責から後遺症慰謝料を回収しようと思ったら、「いや、それは後遺症等級を認定できません」と自賠責の保険会社から言われたらたまったもんじゃありませんよね(笑)。

支払ったお金を後で被害者本人から返してもらうわけにもいかないので、支払う前に、自賠責の保険会社にお伺いを立てておくんです。

「今回の後遺症って、自賠責から支払うんですか?」とね。

で、あいおいニッセイからお伺いを立てられた東京海上日動(自賠責保険会社)は、自賠責調査事務所に、後遺症の調査を委託します。

で、その自賠責調査事務所の調査結果が、東京海上日動(自賠責保険会社)に報告され、その報告結果に基づき、東京海上日動が、後遺症を認めるかどうか(後遺症慰謝料を払うかどうか)を、あいおいニッセイに報告します。

この、東京海上日動からあいおいニッセイへの報告(後遺症を認めるかどうか)が、「事前認定」です。

この「事前認定」の結果、自賠責の保険会社から「後遺症慰謝料払うよ」と伝えられたら、あいおいニッセイも後遺症慰謝料を払います。

しかし、事前認定によって、自賠責の保険会社から「後遺症慰謝料払わんよ」と言われたら、あいおいニッセイも後遺症慰謝料を払いません。

こういう感じになっています。

明日は、「被害者請求」について書きます。

「被害者請求」は、被害者が直接、自賠責の保険会社にお伺いを立てます。

「お伺いを立てる」どころか、お伺いを立てた結果、後遺症が等級認定されたら、保険金(後遺症慰謝料)が被害者に直接支払われます。

「事前認定」だと、事前認定の結果を踏まえて、あいおいニッセイと交渉し、最終的に全体の金額について話がついたら支払われます。

あいおいニッセイが支払った後、あいおいニッセイが東京海上日動から回収するんです。

これと違って、「被害者請求」だと、東京海上日動が被害者(僕)に直接支払います。

東京海上日動が直接支払った後、東京海上日動が直接支払ったぶんを差し引き、その残りをあいおいニッセイに請求していくことになります。

まあ、今日はこの辺にします。

それではまた明日!・・・↓

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