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子ども(未成年)が逮捕された場合に弁護士の僕ならどうするか-10(息子との話し合い)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:少年事件 】

今日も、昨日に引き続き少年事件について書いていきます。

さて、昨日のブログでは、事件の本質=原因を見極めて、対策を打ちましょうということを書きました。

今回の設定では、事件の本質=原因は、

・息子の交友関係

・息子に人生の楽しみがなかったこと

です。

こうやって決めつけるのはよくないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、僕らの仕事は、この「決めつけ」に支えられています。

「決めつけ」とはいえ、この「決めつけ」は事件が進んでいくに連れて変化することも多いです。

というか、変化することを想定しながら、その時点時点で「決めつけ」ていき、その「決めつけ」に沿って対処法を考えていくのが、僕ら弁護士の仕事です。

事件の本質を何にも考えずに仕事を進めることはできません。何かしら「決めつけ」て、その「決めつけ」に従わないと、何をしたらいいか全くわからなくなってしまいます。

ちょっと脱線しますが、弁護士の良し悪しを見極める方法として、「先生はこの事件の本質は何だと考えていますか?」と聞いてみるのも一理あると思います。

弁護士が携わる仕事は、本当に千差万別で、同じ事件は1つとしてありません。

だから、それぞれの事件の特徴を押さえて、その特徴に従って処理しなきゃいけないと僕は考えています。

その「特徴」を、弁護士がどのように考えていて、そういう風に考えた結果、どんな対策(=行動)をとっているのか。

それを弁護士に聞いてみるといいと思います。

まあ、こういった「本質の見極め」と「見極めた本質を踏まえた事件処理(行動)」は、弁護士にとって基礎的な素養なので、これができていないと、「悪い」弁護士になるので、「良し悪し」というよりは、「悪い弁護士を排除する」方法として有益だと思います。

「良し悪しを見定める」のではなく「悪い弁護士を見つける」という感じですかね。

「良い」かどうかは、弁護士との関係も人間関係なので、馬が合う・合わないがどうしてもあります。

だから、いくら、↑の基準によれば「悪い」弁護士ではないとしても、話し方や態度が気に食わないのであれば、自分にとって「良い」弁護士ではないでしょう。

そういった弁護士は、クオリティには問題はないので依頼してもいいと思いますが、気に食わない弁護士にお金を払うのは癪に障るでしょうから、他の弁護士を探してみてもいいような気がします。

ただ、どれだけ馬が合うとしても、事件の本質を見極めたり、見極めた結果としての行動がダメダメだったりするような弁護士には依頼するべきではないでしょう。

さてさて、話がそれまくりましたが、今回の事件では、さきほど書いたような本質を踏まえて、

・息子の人間関係をどうするか

・人生の楽しみを何にするか

そんなことを考えなきゃいけません。こんなの、親だけで結論を出せるわけないので、私達夫婦は、警察署へ面会に行って息子と話し合うことにしました。

「今日は、〇〇(=息子の名前)の今後について、一緒に考えるために来たよ。前回面会に来たときは、お父さんと話すのすらイヤそうだったんだけど、今日は大丈夫かな?」

「あ、うん。大丈夫。前回は、ひどいことを言ってしまってごめん。」

「いや、お父さんのほうこそ、〇〇にあんな風に思われてしまっていることすら知らずに、ズケズケといろいろ話してしまってすまん。」

「オレのほうこそ、本当にごめん。お母さんから、お父さんが仕事を全部キャンセルして来たということも聞いて、オレのことを第1に考えて来てくれたのに、オレはあんな態度で本当にごめん。」

「いやまあ、いいよ。謝るのはこれくらいにして、これからのことを話したいんだけど、〇〇はさ、今回、覚せい剤を使ってしまった原因についてどう思ってる?」

「何も考えずに覚せい剤を使ってしまって、本当に自分に甘いなと思ったよ」

「甘い考えだった自分が悪い、ということ?」

「そうだね。もっと強くならなきゃいけないと思う。お父さんやお母さんに迷惑かけないような、もっと立派で強い人間にならなきゃいけないと思う」

「なるほどな。それも良い心がけだと思うんだけど、お父さんとお母さんはちょっと違うことを考えていてさ」

「違うこと?」

「確かに、〇〇が覚せい剤を使ってしまったことは、考えが甘かっただろうし、もっと強い人間にならなきゃいけないのもそのとおりだと思うんだけど、『考えが甘かった』とか『もっと強い人間』とかって、具体的にどんな風にしなきゃいけないのか、よくわからないだろ?」

「うーん、今回のような犯罪をしてしまうような人間から抜け出さなきゃいけないなと思っているんだけど」

「まあ、その考えもいいと思うんだけど、『犯罪』といっても、世の中の犯罪全部を知り尽くすことは無理だろ?『犯罪をしない人間になる』といっても、なかなか、それだけ考えても、何をすればいいかわかんないと思うんだよ」

「自分に厳しくしなきゃいけないとオレは思っていて」

「えーっと、『自分に厳しく』といっても、じゃあ、どういう風にすればいいかわからないし・・・」

妻:「お父さん!そんな風に責めないであげてよ。〇〇だって、自分なりに今後のことを一生懸命考えているんだから、そんな頭から否定しちゃダメでしょ」

「別に否定しているわけではないけど」

「言葉では否定してないつもりでも、態度では十分否定しているわよ。お母さんからも聞きたいんだけど、〇〇からの言葉を聞いていると、今回の事件は、自分に原因があると考えているみたいよね?」

「そりゃそうだよ。考えが甘かった自分が悪いじゃないか」

「お母さんも、〇〇自身が悪いとは思っているんだけど、それだけが原因じゃないと考えていてね。お父さんも同じ考えよ。」

「オレが悪いだけじゃない?」

「そう。今回、〇〇が覚せい剤を使ってしまったわけだけど、そもそも、〇〇の友達のお兄ちゃんの友達が覚せい剤を持ってきてたわけでしょ?〇〇が自分で覚せい剤を手に入れたわけではなくて」

「まあ、そうだけど」

「だから、覚せい剤を持っているような友達関係にも原因があると考えているのよ。お父さんとお母さんは。」

「あー、まあ。」

「あんまり言いたくないけれど、今回逮捕されてしまったのは、〇〇の友達関係に原因があると思うのよ。よくない友達と付き合ってしまって、その延長線上に覚せい剤を持っている人が現れたわけだから。」

「まあ、ね」

「勘違いしてほしくないのは、友達が悪くて〇〇は悪くないとは言っていないということ。そういった悪い友達関係を作ったのは、〇〇に責任があるしね。」

「まあ、確かに。」

「それと、もう1つ、原因があって、これはさっき〇〇が言っていた『甘い考え』とも少し共通するんだけど、〇〇は、覚せい剤を注射で打つのを拒否しなかったよね?」

「まあ」

「拒否しようと思えば拒否できたんじゃない?」

「でも、年上2人がいたし、逃げ出す空気じゃなかったし」

「逃げ出したら殴られたり、何されるかわからなかったの?」

「いやまあ、そこまでじゃなかったけど」

「それじゃあ、なりふり構わず逃げ出すこともできたんじゃない?そうやれば、覚せい剤を使わずに済んだはずよね?」

「まあ、それはそう。」

「〇〇は、逃げ出そうと思えば逃げ出せたのに、その場の『空気』を優先して、覚せい剤を打ってしまったのよ。それは、『考えが甘い』のもあるんだけど、覚せい剤を使うような友達関係の他に、人生の楽しみがなかったんじゃないかな、とお母さんとお父さんは考えているの。」

「・・・・」

「テレビやスマホを見ていれば、覚せい剤が犯罪だということは〇〇も当然知っていたと思う。なのに、覚せい剤を使ってしまったわけだけど、人生に楽しみがあれば、覚せい剤で逮捕されて楽しみが奪われるのがイヤだろうから、覚せい剤には手を出さなかっただろうと考えているの。」

「・・・」

「〇〇に人生の楽しみがなかったことは、わたしたち両親にも大きな責任があるとは思うんだけど、〇〇の人生は〇〇のものだから、これからどういう風に、〇〇の人生とお父さんとお母さんが支えていけるのか、そういったことを話し合いたいなと思って、今日は来ました。」

「・・・・そうか。」

「そうかって?」

「お父さん・お母さんとこんな話したことなかったね。」

さて、今日はこの辺にします。尻切れトンボですみません(汗)

それではまた明日!・・・↓

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