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【経営メモ】社長として、財務諸表の数字背景が分かっておらず、痛い目に会った話し。

会社の健康状態を測るのに、財務諸表を最低3期に遡って読むのは大切な作業である。
また、見る時は、PL, B/S, Cash flowの3つを合わせて見ることが重要になる。

よくありがちなのが、B/S、Cash flowを財務部に任せて、PL上、それも単年度のPL上で十分な利益があれば問題なしと、短絡的に考えると、ほぼ間違いなく痛い目にあう。

今日は、私の痛い経験から、販売会社の財務管理でよくトラブルケースというのを書いてみようと思う。

  1. 顧客との間に、複雑なリベートやインセンティブがあり、その清算のリードタイムが極めて長い場合。  
    この場合は、PL上の売り上げや営業利益が、実はまだ最終数字ではなく、リベートを引いた数字にupdateする必要がある。利益があるつもりだったが、実際は儲かっていなかったというケースもある。

  2. 代理店から先の顧客との間に、複雑なリベートやインセンティブがあるケースも同じである。タイムリーにそうした費用が代理店と清算されていない場合、あとから実はもっと販促費用が掛かっていたというケースがある。

  3. PL上は実績として売り上げが既に立っているが、支払期限を過ぎても顧客からの支払がされないケース。単なる支払い遅延はよくあることだが、そもそもの商品の顧客着荷数の認識が合わない。若しくは、着荷しているがお客が不良品と判断したなどで、トラブルケースはよくある。

  4. 経費、支払い側の数字でよくトラブルのは、会計基準の発生主義に基づいて、特に金額が大きな広告業者などへの支払いを見込みベースでPL計上(会計基準の発生主義により、最終費用が確定する前に、タイムリーに見込み費用でPLに計上する)、その最終数字がupdateでない状況でのPLを最終形として見て判断してしまう。

  5. 社員へのボーナス支払い。前年度中に計上していた金額と今年度の支払いで、過不足があった場合に、その分を今年のPLに反映させなければならないが、タイムリーに反映されていない場合がままある。

  6. 財務3表を一緒に見ていればよいが、そうでない場合には、オフィス、工場の投資におけるcash outとPL計上の減価償却、または、CRM、EC、はたまたアカウンティングなどのISシステム投資におけるcash outとPL計上のアモタイゼーションの関係など気をつけて見なければエラーを起こしやすいところである。

  7. 特に、CRMやECなどのシステムを専門業者からライセンスで使用している場合は、そのライセンス費用体系が複雑だったりして、上手くフォーキャストに反映できていないケースもままある。

  8. toC向けの物販ビジネスの場合は、クリスマスセールスや年末セールスなどの繁忙期にはAR (売りあ掛け金)が膨らむ。そして、その数ヶ月前には、それに備えた大量仕入れをしているので、一時的にキャッシュフローの不足に落ちいる。予め銀行から借り入れるなど調整しておかないと痛い目に会う。

  9. 自社にある在庫は全て良品在庫前提でPL/BS計上されていたが、実は不良品が数多く混じっていた。そもそも、在庫の棚卸ができておらず、在庫不足が後になって分かった。メディア等への貸し出し管理がされていない、など。

  10. 自社にある在庫は全て良品ではあったが、季節外れ型落ちになっている在庫の評価減をしていなかった。

  11. 市場在庫に対する修理保証費用が正しく計上されていない。物販の場合、物によっては5年保証がうたわれていたりするが、その無償修理コストを計上するのはなかなか複雑である。

財務の専門家からみれば、もっと詳細かつ、専門的なチェック項目があることとは思うが、このレベルの事は、社長も理解しておいた方がよいと思う。
3諸表、特にPLの数字は、どういう背景の数字が計上されているかによって、その意味合いが大きくことなるので要注意である。

更に、経営で大切なのは、毎月毎月飽くことなく、これらの数字をきっちりと確認することである。
同時に、財務系のスタッフ、更にはセールス・マーケティングスタッフ等の非財務系のスタッフの労力をなるべくかけずに、数字の説明を見えるようにするのが正しい経営であると思う。

そのためには、財務の作業をシステム化、セールスが顧客の売掛金、販促金を見れるようにし、顧客への請求書などもデジタル化。
そうするためには、BPRで業務flowを改善してといった、会社の足腰を本気で強くする作業に入るということになるのである。

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