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ヨルシカ幻燈 感想レポ1

2023年4月5日 ヨルシカが音楽画集「幻燈」を発売。早速手に入れたので、聴いた感想を記していきたいと思います。

幻燈


「音楽画集」とは何か

今回の作品はアルバムとは少し違うようです。中にはCDやDVDが入っているわけではありません。各曲についての描かれた「絵」が入っています。

都落ち

専用のQRコードからサイトにアクセスし、ARカメラで絵を読み込むことで曲を聴くことができます。
わざわざこのような形式にした理由として、ヨルシカのコンポーザーであるn-bunaさんはこう言っています。「フィジカルとしてリリースする意味のあるものにしたらおもしろいんじゃないか」

最初の発想としてはNFTだったそうです。(NFTはその作品だけしか持ちえない価値をもったデジタルデータのこと)現在はCDやレコードを買う人はいても、コレクションとしての側面が強いと思います。実際に聴くときはスマホのサブスクやyoutubeなどで再生する人がほとんどだからです。しかしインターネットが普及する中で著作権の問題も議論の的になってきているわけですが、NFTのような唯一無二の価値を持つものが存在する時代が来ています。そこに着目して、ある種「手間をかけないと」聴くことができないといった発想にたどり着いたと話していました。
(spotifyのポッドキャストより)

実際に聴く

そんな画集ですが、とにかく実際に聴いてみました。ここで使用するブラウザの注意点などがあります。詳しくはヨルシカの公式HPを見てみて下さい。
最初、僕はあまり読まずにやってしまったのでエラーで曲が聴けなくなってしまいましたがヨルシカ公式の問い合わせフォームに連絡することで解決しました。


第一章

夏の肖像

1曲目です。画像は載せることはできませんが、白いワンピースの女性が木漏れ日が差し込む森の中の小道を歩く後ろ姿を描いた絵です。手前には人の影が描かれており、この人から見た光景と思いました。
歌詞には
「だからもっと踊るように ほろりほろり落ちるように さよならは花咲くように それは夏の木漏れ日のよう」
と。何か別れを示唆したような言葉が連なっているように感じました。曲はアコースティックギターのゆったりとしたテンポから始まります。使われているのはギターとドラムくらいで、シンプルで綺麗な音づくりにとても聴き入ってしまいます。
ヨルシカの曲はエルマとエイミーという二人の男女の物語を紡いだコンセプトの曲が中心になっており、今回もなんだかその物語の一片にあるような感じがします。今はいない彼女と一緒に木漏れ日の中を歩いた時の記憶を語っているような曲でした。

都落ち

この曲はデジタルリリースされており、サブスクリプションでも聴くことが出来ます。またyoutubeにもMVが公開されているので見てみて下さい。都落ちというタイトルは万葉集第二巻百十六番の都落ちから来ているそうです。n-bunaさん…変態すぎます。
絵には赤いスカートをはいた女性が白い日傘を持ち、あたり一面緑で囲まれた中、小川の淵に立つ姿が描かれています。

「花咲くや 赤ら引く頬に さざなみ寄るは海 
あなたは水際一人微笑むだけ 今、思い出に僕は都落ち」

都落ちとは当時の都である京都から地方へ行くことですが、この女性と別れて「僕」が都落ちする様子を描いたものなのでしょうか。曲全体としては和を感じるような音作りに思います。ギターでこれを表現できるのはさすがだと思いました。サビの部分はキャッチーな感じで頭にも強く印象付けられますし、suisさんの明るい歌い方にも思わず乗ってしまいそうになります。
しかし歌詞をよく聞いてみると、都落ちに際して二人の別れを惜しんでいる様子が伝わってきて実はとても切ない歌なんだと感じさせられます。インタビューではsuisさんは「切ない歌だからこそ明るい感じで歌おうと決めていた」と語っており、切なさを明るくふるまって振り切ろうとしているようにも感じられ、とても胸がきゅっとなるような歌です。

「朝焼け、綺麗だね 船はもう発つんだぜ 海猫が泣いたね 貴方も泣くんだね」

ここで僕も泣きました。

ブレーメン

この曲は結構前にリリースされていたものなのでもはや聴きなれています(笑) ただ、画集に「動物たちは都を夢見て行進する」と書かれていました。ブレーメンは文字通りブレーメンの音楽隊をモチーフにして作られていて、ヨルシカの曲にしては珍しく楽観主義的な歌詞になっています。僕はこの歌詞が大好きなのですが、まさか2曲目の都落ちとつながっているとは思いませんでした。n-bunaさん御見それいたしました。


4曲目以降はまた時間があるときに書いていけたらと思います。それでは


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