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原発銀座の対岸はロシア、南北朝鮮、中国。外交上の関係は決して良好ではない

ソフトエネルギー社会(55)
 
3 電力供給における障害
 
(1)原発安全神話にしがみつく日本
 
 電力大手10社でつくる電気事業連合会会長が読売新聞のインタビューに応じた。政府が2030年度に向け、非効率的な石炭火力発電所を休廃止する方針を発表したことについて原子力発電についても言及し、「二酸化炭素を出さず、安全保障面でも有効だ」と指摘。安全運転を前提に、「原発が全電力需要の3分の1程度をまかなうのがベストだ」との見解を示した。(20/7/31読売新聞朝刊13版8面)

 しかし、少なくとも国際社会は原発を「安全保障面でも有効だ」とは考えていない。

 アラブ首長国連邦(UAE)は20年8月1日、アラブ諸国で初めてとなる原子力発電所を稼働させた。

 懸念は、原発の安全性だ。地政学リスクとして、近隣国のイエメンでは、UAEが支援する「南部移行評議会」などが、イスラム教シーア系武装勢力フーシと戦闘を続ける。イラン製ドローンを持つフーシは、敵対するサウジ国内に断続的な空爆を重ねており、19年9月には、サウジの石油関連施設が巡航ミサイルで破壊される事件も起きた。(20/8/4読売新聞朝刊13版7面)

 地政学リスクは中東に限った話ではない。日本の原発は全て海岸に建設されている。特に北陸地方日本海側は原発銀座とされている。

日本海の向こう側に存在するのは、北からロシア、南北朝鮮、中国である。外交上の関係は決して良好ではない。物理的にも対岸から遮るものはない。

どの角度からもミサイルを撃ち込まれる脅威にさらされている。(つづく)

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