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十字軍の功罪

世界史気になるシリーズ 16
オヤジブログ怪気炎 vol.192

ローマ教皇の号令で各地に騎士団が編成され、エルサレム奪還を目指して行軍する。
計8回に及ぶ遠征のうち、聖地エルサレム奪還という目的を果たしたのは、1099〜1187年と1229〜1244年のみでエルサレムに到達できなかった十字軍も多かった。
中には東ローマ帝国を倒してラテン帝国を打ち立てた第4回十字軍や教皇に破門されたまま遠征に出たフリードリヒ2世の第6回十字軍などがあり、総じて当初の目的に照らし合わせれば首尾よく進んだとは言い難い。実態として各地で虐殺を繰り返し、精緻奪還のためなら手段を選ばないような手法が今日の視点から捉えると甚だよろしくない。
けれども結果としては、それまで封建領主として、それぞれの領地に一国一城の主として君臨していた騎士達が徒党を組んで大移動した影響は大きい。交通の発達、貨幣・物資の流通により商業が栄え、イタリア各地の諸都市が発達した。静かだった経済が動き始めたのであります。
反面、成功に終わらなかったことでローマ教皇の地位や権威は失墜してしまう。また騎士は遠征の借金のカタとして領土を商人に預けていたが、これらの借金は返済されず結果として騎士階級は没落し王権が強まった。
宗教と軍事行動が深く結びついていることは、現代でもよくみられる。軍が動くことによる利権に群がる人々と純粋な信仰心から宗教を支えている人々の間に、ボクは大きなギャップを感じてしまいます。

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